- バルチック海運指数の概要
- バルチック海運取引所の週間レポート(今後の見通し)・2024年9月6日公表分
- 今後の見通し
- バルチック海運指数とは?
- バルチック海運指数の構成指数の一覧
- バルチック海運指数をわかりやすく簡単に解説
- 関連銘柄一覧(日本株)
- 海運株とバルチック海運指数の関係と影響
- 海運の景気サイクルの説明
- バルチック海運指数は経済成長の先行指標!
- バルチック海運指数の上昇要因・下落要因は?
- 中国の製造業PMIと連動しやすい?バルチック海運指数
- バルチック海運指数が先行指標とならない?その理由は?
- バルチック海運指数の水準と目安
- バルチック海運指数の公表日は、いつ?
- 非公表日(バルチック海運指数が公表されない日の一覧)
- バルチック海運指数を算出対象とするグローバルサプライチェーン圧力指数はこちら
- チャート(バルチック海運指数・現在リアルタイム)
- チャート(バルチック海運指数とコンテナ運賃指数)
- チャート(バルチック海運指数と海運業指数)
- チャート(バルチック海運指数と日本の海運株)
- [速報] 最新データ・時系列(historical data)
バルチック海運指数の概要
バルチック海運指数は船の輸送コストを表す指数で、鉄鉱石、石炭、穀物の荷動きが反映される指数です。経済成長の先行指標で、中国の輸入動向の指標ともなります。バルチック海運指数は、簡単にいうとばら積み船の運賃の動向を表した指数で、運賃の動向は海運株の業績に直結するため注目されています。
当ページでは、バルチック海運取引所公表の週間レポートやシートレードマリタイムの今後の見通しも掲載しています。バルチック海運指数の長期チャートや基本レンジ、平均値、バルチック海運指数と海運業指数(TOPIX)との比較チャート、日本の海運大手3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)との比較チャートも掲載しています。
- 当ページは、バルチック海運指数(BDI)の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- Source:The Baltic Exchange
- バルチック海運指数は、外航不定期船の運賃指数であるため、外航不定期船と関わりの深い企業の株価と連動性が高い指数です。特に運賃上昇による業績拡大が期待される海運株への影響が大きいです。ただし、同指数は指数であり、実際の取引価格とは異なります。
- 1985年1月4日=1000を基準として算定されています。
- BDI(Baltic Dry Index) historical data&chart
バルチック海運取引所の週間レポート(今後の見通し)・2024年9月6日公表分
バルチック海運指数は、船のサイズごとの指数を複合して測定されている指数です(以下の解説欄を参照)。バルチック海運指数の算出元のバルチック海運取引所は、バルチック海運指数を構成する船のサイズごとのレポートを公表していますので、それを翻訳機で日本語訳したものを以下にそのまま掲載しています。
週間レポートは公表され次第、更新しています。
- 文中でBCIやBPI、BSI、BHSIの文言が出てくることがありますが、それは船のサイズごとの運賃指数です。下の解説欄の「構成指数」の欄に説明がありますので参考にしてください。
- dwtとは、載貨重量トン数という意味です。限度まで貨物を積載したときの全重量から船舶自体の重量を差し引いたトン数、つまり、その船が積むことのできる貨物の重量です。
Capesize(ケープサイズ)
ケープサイズ市場は、特に太平洋で週の初めに好調なスタートを切りました。太平洋では、3大鉱山会社のうち2社が活動を開始し、C5ルートの着実な上昇につながりました。しかし、週が進むにつれて、太平洋の活動は鈍化し始め、C5指数は週半ばに11.785ドルで始まりましたが、11.135ドルに下落しました。木曜日には貨物の問い合わせが増え、料金が改善したため、わずかな回復が続きましたが、中国南部に接近する台風ヤギに対する懸念は残りました。大西洋では、C3の活動はより抑制され、固定スケジュールは限られ、当初はビッドとオファーの差が持続しましたが、週が進むにつれて差は縮まりましたが、大幅な上昇は見られませんでした。北大西洋からのフロントホールルートがいくらかのサポートを提供し、市場は、特に大西洋横断ルートで前向きなセンチメントを維持しましたが、固定スケジュール全体のボリュームは低かったです。全体的に市場は回復力を見せ、BCI 5TCは週初めの始値26,935ドルから上昇し、27,832ドルで取引を終えるなど、より強い調子で週を終えた。
Panamax(パナマックス)
パナマックス市場にとってまたしても軟調な週となった。オーナーは最近の圧力を感じ続けているためであり、特に大西洋盆地では早期のトン数とバラスターのトン数が引き続き割引されているため、オーナーの抵抗が見受けられなかった。P1Aルートは1週間を通して8,000ドル台で推移したが、比較するとはるかに少ないAPS積み込み港取引によって困難に直面していた。EC南米からの活動はインデックス到着日で横ばいであったが、早期到着日はバラスター船の大群によって大幅に割引された。アジアは全体的に需要が好調で、週半ばにはレートが底を打ったようで、オーナーの抵抗がより実証されたようであった。インデックスより劣るタイプでNoPac航路のレートが14,000ドル台前半となった一方、インドネシアの需要の多くは引き続き、5桁レベルに改善した小型/旧型トン数のレートによって吸収された。期間中の活動は最小限であったが、81,000 重量トンの中国納入が 5/7 か月ベースで 14,900 ドルに達したとの報告が出た。
Supramax(スープラマックス)
夏の小休止が大西洋にまだ影響を及ぼしている一方で、アジア地域ではやや好調な雰囲気が漂い、この分野ではむしろ複雑な状況となっている。北大西洋と南大西洋では新規の問い合わせが不足し、すでに低迷している市場に下押し圧力がかかっている。ウルトラマックスは、南米ECへの固定配送で、フロントホール航路で16,000ドルプラス600,000ドルのバラストボーナスで購入できると聞いている。その他の地域では、56,000重量トンの固定配送地中海で、西アフリカへの航路で約11,000ドルである。
一方、アジアはやや活況のようだったが、週末には即日出荷の供給量が増えているとの声もあった。西アフリカ行きの58,000重量トンの中国固定船は、最初の60日間が14,500ドル、それ以降は16,000ドル。南からは、インドネシア経由のシーチャン行きの60,000重量トンの固定船が中国に返船し、14,750ドルだった。インド洋では、南アフリカからパキスタン行きの60,600重量トンの固定船が18,500ドル、プラスバラストボーナス185,000ドルで取引され、やや動きが見られた。期間市場はむしろ低調で、61,000重量トンの中国固定12~14か月船が15,500ドルで取引された。
Handysize(ハンディ―サイズ)
今週、ハンディセクターでは、両海域で目に見える動きは最小限にとどまった。大陸と地中海では、9月の日付のトン数リストは比較的長いままであるが、新規需要はかなり薄いようだ。バルト海経由でルアンダへ穀物を積んだ34,000 dwtの固定配送スコー航路は12,500ドル。南大西洋では、ネガティブな感情が週を通して続き、新規の問い合わせはわずかであったが、大きな措置は取られなかった。今週、米国湾の勢いもわずかにネガティブにシフトし、新規の問い合わせはほとんどなく、トン数リストは増加している。サンペドロデマコリス港のオープンプロンプト38,000 dwtは、石炭を積んでバランキージャからポーランドへ約17,500ドルで固定された。アジア市場からの新情報はほとんどなかったが、一部の情報筋は利用可能なトン数の増加を指摘しており、市場のさらなる軟化を予想している。
今後の見通し
こちらの「今後の見通し」の欄の更新は不定期です。関連する海運業界各社のレポートが公表され次第、更新します。
以下は、海運業界向けニュースのシートレードマリタイム(Seatrade Maritime)直近公表の今後の見通しを日本語訳したものです。
海運市場はケープサイズ部門と鉄鉱石取引の牽引により2024年上半期は回復した。この好調な傾向は下半期でも続くのか?
「ドライバルク市場は総じて今年上半期は非常に好調だったが、セクター間では差別化が必要だ」大型船舶セグメントは小型船舶セグメントよりも好調に推移しており、最小サイズのハンディサイズ市場は2023年上半期と比較してわずか20~25%の増加にとどまっている一方、スープラマックスの料金は30~35%増加しています。
「本当に目立ったのはケープ市場であり、昨年上半期に比べてほぼ2倍の成長を遂げている」
セクター間のパフォーマンスの違いは、基礎となる商品の流れによって左右されている。ケープサイズでは、鉄鉱石取引は2024年第1四半期に前年比で約20%増加し、増加分の4分の3はブラジルによるものであった。「ブラジルから中国への長距離ルートは、本当に役立っています。同様に、ケープ諸島を支援することで、今年これまでに西アフリカからのボーキサイト貿易が約1,000万トンから1,100万トン増加しました。そして、もちろん、それは中国への長距離ルートです。対照的に、主にパナマックス船とスーパーマックス船で輸送される石炭貿易を見てみると、その貿易量は前年比で約1,500万~2,000万トン減少しています。
2024年下半期は?
通常、商品市場の取引量は、鉄鉱石、石炭、穀物の牽引により第3四半期と第4四半期に増加します。今年は季節性が崩れる理由は見当たりません。仮にそれが明らかだとすれば、今後6か月間はドライバルク市場がさらに堅調になることが示唆されます。
混乱は過去1年間、すべての海運市場に影響を与えてきた要因です。パナマ運河は深刻な干ばつから回復し、通航量が通常の水準に戻りつつあり、パナマックス船部門への打撃がいくらか和らぐはずです。しかし、より大きな問題は、紅海とフーシ派による船舶への攻撃です。
今後一部の商品に見られる季節的な強さとは別に、ドライバルク市場、特にケープサイズ部門に多大な影響を及ぼしている紅海で何が起こるかに大きく左右されるだろう。この混乱が緩和されなければ、今年の残りの期間、市場は引き続き堅調に推移すると予想されるが、不安定さも特徴となるだろう。
船舶供給の見通し
市場の好調により、あらゆる分野でドライバルク船の廃棄が抑制され、その結果、船隊は比較的老朽化しているが、運賃を考慮すると、船主は船舶を海上に維持するインセンティブがある。市場の回復により中古価格も上昇し、5年物ケープサイズのベンチマークは約6,000万ドルに達した。
中古船価格の高騰により、一部の船主は新造船市場にも参入するようになった。そのため、数年先を見据えると、最近発注された船によって船団の規模が拡大することが依然として予想されます。同時に、造船所は今年約2,500万トンの新規納入を見込んでおり、引き続き好調を維持している。新規受注を考慮すると、納入は今後数年間続くだろうが、根本的な貿易の流れや地政学的紛争に大きく左右されるだろう。
海運市況の見通しは、当ページの以下のチャートの欄で紹介しているコンテナ運賃指数のページで掲載している今後の見通しも参考になりますので是非ご覧ください。
バルチック海運指数とは?
バルチック海運指数(英語:Baltic Dry Index)とは、ロンドンのバルチック海運取引所が算出・公表している、外航不定期船の運賃指数です。石炭や鉄などのさまざまな原材料の輸送コストの変化を示す指数で、バルチック海運取引所が海運会社やブローカーなど配送業者から、鉄鉱石・石炭・穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船(ばら積み船)の指定された配送経路の価格などを聞き取って評価し算出された指数です。
バルチック海運指数は船ごとに20を超える経路(ルート)で複数の配送料金を評価して算出され、算出された各指数の複数の地理的出荷経路を分析して指数を複合しており、価格は収集した後に平均化されています。
船のサイズ
バルチック海運指数は、船のサイズごと(Capesize・Panamax・Supramax・Handysize)に指数が測定されて複合されている指数です。
ケープサイズとは?
Capesize(ケープサイズ)とは、最大積載量100,000トン以上の船です。通常は130,000-210,000トン(単位:dwt)の範囲の船です。主に石炭や鉄鉱石を長距離航路で輸送するための船です。時に穀物の輸送にも使用されます。ただし、この船はパナマ運河を渡るには大きすぎる船で、そのサイズのために歴史的に主要な運河を通過することが制限されており、船舶は喜望峰またはホーン岬を経由することを余儀なくされているため、「ケープサイズ」という名前が付けられています。
パナマックスとは?
Panamax(パナマックス)は、最大積載量65,000-80,000トン(単位:dwt)の船です。主に石炭、穀物、砂糖やセメントなどの少量のバルク製品の輸送に使用されます。この船はパナマ運河を辛うじて渡れるサイズの船で、パナマックスとはパナマ運河を通過する船のサイズ制限の用語です。
スープラマックスとは?
Supramax(スープラマックス)は、ハンドリーマックスとも呼ばれる、最大積載量52,000-60,000トン(単位:dwt)の船です。パナマックスでは入港できない港で使用されています。インフラが限られている港に適したクレーンが取り付けられているのが特徴で、鉱石、セメント、リン酸塩、鉄鋼製品、肥料、穀物など、さまざまなドライバルク貨物を運ぶ船です。
ハンディ―サイズとは?
Handysize(ハンディ―サイズ)は、最大積載量が18,000-50,000トン(単位:dwt)の船です。ばら積み船としては最も一般的な大きさの船で、世界のほとんどの港に入出港できる手頃なサイズの船であるため「ハンディ―」と呼ばれています。ほとんどの場合、クレーンが取り付けられています。主に鉄鋼製品、穀物、金属鉱石、リン酸塩、セメント、丸太、木材チップ、およびその他の種類のいわゆる「ブレークバルク貨物」の輸送に使用されます。
バルチック海運指数の構成指数の一覧
バルチック海運指数は、上記の船のサイズごとの指数を複合して測定されている指数です。それぞれの指数は以下です。
BCI(バルチックケープサイズ指数)
BCI(Baltic Capesize Index)とは、「バルチックケープサイズ指数」と呼ばれる、ケープサイズ(大型ばら積み船:ケープサイズバルカー)の運賃指数です。
BPI(バルチックパナマックス指数)
BPI(Baltic Panamax Index)とは、「バルチックパナマックス指数」と呼ばれる、パナマックスの運賃指数です。パナマックスは、Panamaとmaximumを合わせた造語です。パナマ運河を渡れる船としては最大サイズの船です。
BSI(バルチックスープラマックス指数)
BSI(Baltic Supramax Index)とは、「バルチックスープラマックス指数」と呼ばれる、スープラマックスの船の運賃指数です。
BHSI(バルチックハンディサイズ指数)
BHSI(Baltic Handysize Index)とは、「バルチックハンディサイズ指数」と呼ばれる、ハンディサイズの船の運賃指数です。ハンディサイズの船は、世界のばら積み船船腹量の中でも最大の比重を占めています。
バルチック海運指数をわかりやすく簡単に解説
一見すると複雑なバルチック海運指数ですが、バルチック海運指数を簡単にいうと、船の輸送コストを表す指数です。世界の荷動きが同指数に現れるのが特徴です。乾貨物を運搬する船の運賃を加重平均した指数で、その船が何を運んでいるのかというと、鉄鉱石が3割、石炭が2-3割、穀物が1割です。それらの荷動きが活発かどうかがわかる指数です。ただし、バルチック海運指数は「指数」ですので、実際の取引価格ではない点は注意が必要です。
ドライバルクとは?
ドライバルクとは、鉄鉱石・石炭・穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船(ばら積み船)のことです。この運賃指数がバルチック海運指数です。
関連銘柄一覧(日本株)
バルチック海運指数の日本株の関連銘柄は以下です。
証券コード(銘柄コード) | 銘柄名 |
---|---|
9101 | 日本郵船 |
9104 | 商船三井 |
9107 | 川崎汽船 |
9110 | NSユナイテッド海運 |
9115 | 明治海運 |
9119 | 飯野海運 |
9127 | 玉井商船 |
9130 | 共栄タンカー |
9171 | 栗林商船 |
9173 | 東海汽船 |
9176 | 佐渡汽船 |
9179 | 川崎近海汽船 |
9193 | 東京汽船 |
9308 | 乾汽船 |
9363 | 大運 |
9367 | 大東港運 |
9067 | 丸運 |
海運大手3社の特徴
日本の海運大手3社は、日本郵船・商船三井・川崎汽船です。それぞれの特徴は以下。
日本郵船の特徴
日本郵船は、総合海運大手です。日本郵船は海運だけでなく、航空運送・物流・客船など経営多角化をしていることが特徴です。また、環境負荷の相対的に低いLNG(液化天然ガス)を燃料にした船舶を竣工するなどESG経営にも注力しています。
商船三井の特徴
商船三井は、世界最大級の航路網に強みのある企業です。ドライバルクやエネルギー輸送に強みがあります。経常利益の大半を海運業で稼いでいます。
川崎汽船の特徴
川崎汽船は、海運大手3社の一角ですが、相対的に財務体質の劣後性が目立つため、今後は財務体質強化が求められています。
海運株とバルチック海運指数の関係と影響
海運とは?海運業とは?
海運とは「海上を利用した旅客や貨物の輸送」ということです。海運業とは海運の業界ですが、船で大量の物資を運ぶ仕事です。数量ベースでは、日本の貿易の9割以上を占めています。海上輸送量は物流全体の7割を占めているため、世界のサプライチェーンの中心となっています。
海運は世界経済・市況、資源価格次第で業績が大きく変わる業種で、為替動向で収益構造が変化しやすく、安全保障問題や地政学リスクに大きな影響を受けることもあり、先行きの予想など大きく狂うことが多い傾向があります。基本的には世界経済の成長に伴って拡大する業種です。世界景気が拡大していれば輸送需要が増えるため運賃は上昇し、海運株の上昇要因となり、世界景気が減速していれば運賃は低下し、海運株の低下要因となります。
旅客に関しては、航空機の成長とともに海運は衰退しましたが、貨物の輸送は活発であり、コストの安さや海上輸送のメリットである重量のあるものや大きなものまで制限がかかりにくいことから、物流の国際間の貿易の中心は海運です。ただし、輸送に時間がかかるというデメリットもあります。
海運と原油の関係
船は原油を燃料としますので、海運株にとって原油安はメリットと考えられています。原油価格の推移は以下のページで掲載しています。
ただし、企業側はデリバティブ取引によってリスクを軽減しているため、原油安が収益増にそのままつながるかといえばそうではありません。逆に原油高はコスト高となりデメリットとなりやすいです。
海運の業績の先行指標「バルチック海運指数」
さて、海運株の業績の先行指標として見られているのが、当パージで掲載しているバルチック海運指数です。運賃上昇・低下による業績拡大・縮小から、外交不定期船と関連のある企業の株価への影響が大きい指標として認知されています。海運株にとって運賃動向は業績に直結します。バルチック海運指数の上昇は運賃の上昇を意味しますので、業績拡大期待から海運株は買われやすくなる傾向があります。
もちろん運賃だけが影響するのではなく、海運株は中国動向に振らされやすい面もあります。中国の経済動向は特に影響が大きいですし、例えば中国が長期休暇になる国慶節や春節なども海運の動きがスローダウンする要因となりますし、これらは運賃の低下要因ともなります。また、海運業の好不況サイクルも株価動向に影響しやすい傾向があります(以下で解説)。
コンテナ船市況とドライバルク市況が注目される
海運業の業績を測る上で注目されるのが、コンテナ船の市況とドライバルクの市況です。
コンテナ船市況とは、コンテナ(ボックス)を大量に輸送する船のことで、市況というのはここでは「運賃」を指します。市況と業績は概ね連動しやすいので注目されます。
ドライバルク市況とは、乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃のことです。
海運の景気サイクルの説明
海運の環境規制による影響
脱炭素を目的に、大型外航船へのCO2(二酸化炭素)削減の国際ルールが2023年から開始されます。既存の船も対象となっており、この規制に対応できない古い船はスクラップされる可能性が高いです。船が少なくなりますので供給が絞られると考えられ、海運の好不況サイクルにも変化を及ぼす可能性があると指摘されています。つまり、強制的に船が足りない状況が作り出されるということで、海運業の業績にはプラスになりやすいとする向きが多いです。
バルチック海運指数は経済成長の先行指標!
バルチック海運指数は世界の需給動向を示す指数として、将来の経済成長の先行指標として捉えられています。株価はグローバル市場が成長している時に上昇し、失速している時に下落しやすいですが、バルチック海運指数は需給要因に依存している指数である点に違いがあります。
バルチック海運指数は、2008年の景気後退局面(リーマンショック)を察知した指数として注目度が高い指数となっています。
バルチック海運指数の上昇要因・下落要因は?
バルチック海運指数は、海上の荷動きの量であったり、主要港湾の船腹の沖待ち増加を受けた滞船、荷役のためのインフラ能力の過不足、天候要因で変動します。
バルチック海運指数は乾貨物を運搬する船の運賃を加重平均した指数ですが、その船が運搬しているのは鉄鉱石が3割、石炭が2-3割、穀物が1割です。これら鉄鉱石・石炭・穀物の最大の輸入国は「中国」です。ゆえに、バルチック海運指数の上昇は、中国のこれらの輸入が活発化していることを反映しやすいです。
一例を挙げると、中国の石炭の需要が上がっていたり、中国の生産が減少して在庫が減少したため石炭の輸入を増やしていたり、LNG(液化天然ガス)価格が下落して石炭価格が下落して割安になったため石炭の輸入が増えているなどすれば、バルチック海運指数の上昇要因となります。逆であれば下落要因となります。
中国の製造業PMIと連動しやすい?バルチック海運指数
バルチック海運指数は上記のように中国の輸入動向を反映しやすいため、中国の製造業PMIと相関しやすい傾向があります。中国の製造業PMIは、以下の画像のページで確認することができます。
中国製造業PMI(国家統計局)はこちら
中国財新(Caixin)製造業PMIはこちら
バルチック海運指数が先行指標とならない?その理由は?
バルチック海運指数は、テクニカル要因で一時的に上がったり下がったりもしやすい指数でもあります。ゆえに、単に将来の経済成長の先行指標として見ていると、それを反映していない可能性もあるので注意が必要です。また、鉄鉱石・石炭・穀物に関する規制があって、生産を減らして在庫が減ったので輸入を増やして積み増しているだけであった場合は、それを指数が反映せず、将来の経済成長の先行指標とはなりませんので、バルチック海運指数が上昇・下落している場合は、その背景を考えながら見る必要があります。
バルチック海運指数の水準と目安
当ページで掲載しているチャートには、過去から現在までのデータからバルチック海運指数の基本レンジや平均値を表記しています。傾向ではかなり効いていますので、バルチック海運指数の水準と目安はこれを参考に見ていただくといいと思います。バルチック海運指数の基本レンジは、標準偏差±1σをレンジの上限・下限として表記しています(基本レンジと平均値は毎月月初にデータ更新しています)。
バルチック海運指数の公表日は、いつ?
バルチック海運指数は、バルチック海運取引所が毎営業日算出・公表しています。当ページでは、そのデータを速報で掲載してます。
非公表日(バルチック海運指数が公表されない日の一覧)
バルチック海運取引所が予定しているバルチック海運指数の非公表日(公表しない日)です。
- 2024年1月1日
- 2024年3月29日
- 2024年4月1日
- 2024年5月6日
- 2024年5月27日
- 2024年8月26日
- 2024年12月25日から31日
※2023年12月時点で発表されている非公表日です。
バルチック海運指数を算出対象とするグローバルサプライチェーン圧力指数はこちら
バルチック海運指数を輸送コストの一つの算出対象の指数として使用され、各国のPMI(購買担当者景気指数)やISM、在庫指数などを基に算出される、世界のサプライチェーンの圧力(混乱度)を測れる指数「グローバルサプライチェーン圧力指数」は、以下のページで掲載しています。
チャート(バルチック海運指数・現在リアルタイム)
[月次] バルチック海運指数(BDI)の長期チャート
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- 月次チャートは月末値を反映。
- チャートはバルチック海運指数の平均値に黒色の点線、基本レンジ(標準偏差±1σ)に緑色の点線を引いています(毎月初データ更新)。
- Chart [BDI(Baltic Dry Index)-Monthly]
[日次] バルチック海運指数(BDI)のリアルタイムチャート
- こちらの日次チャートのデータ更新が最も早いです(オンタイムでデータ更新されます)。
- Chart [BDI(Baltic Dry Index)-Daily]
チャート(バルチック海運指数とコンテナ運賃指数)
[週次] バルチック海運指数と中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)の比較チャート
- 毎週金曜日時点のデータを反映しています。
- Chart [Baltic Dry Index and CCFI(China Containerized Freight Index)-Weekly]
- 中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)との比較チャートです。バルチック海運指数はばら積み船の運賃動向を表した指数で、中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)はコンテナ船の運賃動向を表した指数です。
- チャートは、中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)のデータ更新の際に更新されます。中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)は、バルチック海運指数に次ぐ世界第2位の影響力のある貨物指数です。以下のページで掲載しています(解説付き)。
[週次] バルチック海運指数と中国輸出コンテナ運賃指数の相対チャート(パフォーマンス比較チャート)
- 基準日(2006年11月10日)=100として指数化
- 相対チャート(パフォーマンス比較チャート)とは、基準日時点の値を100として、各銘柄の変化の増減を表したチャートです。各銘柄のパフォーマンスを比較して見るのに適したチャートです。
チャート(バルチック海運指数と海運業指数)
[日次] バルチック海運指数と日本の海運業指数(TOPIX)のチャート
- 「海運業指数(TOPIX)」は、TOPIX構成銘柄から選定される東証公表の東証株価指数33業種の業種別の海運業の株価指数です。
チャート(バルチック海運指数と日本の海運株)
[日次] バルチック海運指数と日本郵船のチャート
- [9101] 日本郵船
[日次] バルチック海運指数と商船三井のチャート
- [9104] 商船三井
[日次] バルチック海運指数と川崎汽船のチャート
- [9107] 川崎汽船
[速報] 最新データ・時系列(historical data)
日付 | バルチック 海運指数 | 前日比 |
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