
世界第1位の貨物指数である「バルチック海運指数」の長期チャート・短期チャート・時系列をすべて掲載。最新データを速報でリアルタイム更新しています。
バルチック海運指数は船の輸送コストを表す指数で、鉄鉱石、石炭、穀物の荷動きが反映される指数です。経済成長の先行指標で、中国の輸入動向の指標ともなります。バルチック海運指数は、簡単にいうとばら積み船の運賃の動向を表した指数で、運賃の動向は海運株の業績に直結するため注目されています。
当ページでは、バルチック海運取引所公表の週間レポートやシートレードマリタイムの今後の見通しも掲載しています。バルチック海運指数の長期チャートや過去のすべてのデータから算出した基本レンジ、平均値をチャートに表記しています。また、バルチック海運指数とコンテナ運賃指数とグローバルサプライチェーン圧力指数、海運業指数(TOPIX)、日本の海運大手3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)との比較チャートも掲載しています。

AIによるバルチック海運指数の重要度評価
バルチック海運指数は、資源や輸送セクターの動向を分析する上で不可欠。上昇は世界経済の活発化、下降は経済活動の減速を示唆するため、マクロ経済の先行指標として高い価値を持つ。資源価格と連動する傾向があり、資源関連や新興国市場のパフォーマンスを分析する上で有用。特に鉄鉱石やエネルギー関連銘柄への影響が顕著。短期的にはボラティリティが高いため、トレンドを見る必要がある。
AIによる指標の重要度評価は”辛口評価”の設定になっています。見方の詳しい説明は「AIによる指標の重要度評価について」を参照。
- AIによるバルチック海運指数の重要度評価
- チャート(バルチック海運指数・現在リアルタイム)
- チャート(バルチック海運指数とコンテナ運賃指数)
- チャート(バルチック海運指数とグローバルサプライチェーン圧力指数)
- チャート(バルチック海運指数と日本の海運業指数・海運株)
- [速報] 最新データ・時系列(historical data)
- バルチック海運取引所の最新の週間レポート(2025年3月21日公表分)
- 今後の見通し
- バルチック海運指数とは?
- バルチック海運指数の構成指数の一覧
- バルチック海運指数をわかりやすく簡単に解説
- バルチック海運指数の日本株の関連銘柄一覧
- 海運株とバルチック海運指数の関係と影響
- 海運の景気サイクルの説明
- バルチック海運指数は経済成長の先行指標!
- バルチック海運指数の上昇要因・下落要因は?
- 中国の製造業PMIと連動しやすい?
- バルチック海運指数が先行指標とならない?その理由は?
- バルチック海運指数の公表日は、いつ?非公表日の一覧
チャート(バルチック海運指数・現在リアルタイム)
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- 日次チャートは最新データがオンタイム(速報)で更新されます。
- 月次チャートは月末値を反映。
- チャートはバルチック海運指数の平均値に黒色の点線、基本レンジ(標準偏差±1σ)に緑色の点線を引いています。
バルチック海運指数の水準と目安
チャートには、過去から現在までのデータから算出したバルチック海運指数の基本レンジや平均値を表記しています。これまでの傾向ではかなり効いていますので、バルチック海運指数の水準と目安はこれを参考に見ていただくといいと思います。バルチック海運指数の基本レンジは標準偏差±1σをレンジの上限・下限として表記しています(基本レンジと平均値は毎月月初にデータ更新しています)。
チャート(バルチック海運指数とコンテナ運賃指数)
- 毎週金曜日時点のデータを反映しています。
- 中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)との比較チャートです。バルチック海運指数はばら積み船の運賃動向を表した指数で、中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)はコンテナ船の運賃動向を表した指数です。
- 相対チャート(パフォーマンス比較チャート)は、基準日(2006年11月10日)=100として指数化しています。相対チャートとは、基準日時点の値を100として各銘柄の変化の増減を表したチャートです。各銘柄のパフォーマンスを比較して見るのに適したチャートです。
- こちらのチャートは、中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)のデータ更新の際に更新されます。中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)は、バルチック海運指数に次ぐ世界第2位の影響力のある貨物指数です。以下のページで掲載しています(解説付き)。
チャート(バルチック海運指数とグローバルサプライチェーン圧力指数)
- こちらのチャートのデータは、グローバルサプライチェーン圧力指数が公表され次第更新。
- 相関係数は期間「1年」で算出しています。
- グローバルサプライチェーン圧力指数の解説と推移は、以下のページで掲載しています。
相関性・連動性と違い(見方の具体例)
バルチック海運指数とNY連銀公表のグローバルサプライチェーン圧力指数(GSCPI)は、比較して見ることが多い指標です。グローバルサプライチェーン圧力指数は、世界全体の供給網(サプライチェーン)におけるストレスの度合いを評価する指標です。指数の輸送コストを追跡する指標としてバルチック海運指数は使用されています。
グローバルサプライチェーン圧力指数が上昇すれば物流や供給網の混乱が強まるため、輸送コストが増加し、バルチック海運指数が上昇しやすくなります。また、バルチック海運指数は主に需給バランスを直接反映します。グローバルサプライチェーン圧力指数は物流全体の逼迫度やコストに基づいた指数ですので、バルチック海運指数の動きと連動することが多いです。ただし、短期的には異なる動きをする場合もあります。
一方、バルチック海運指数は海運市場のドライバルクに特化した指数であり、グローバルサプライチェーン圧力指数は航空輸送や製造業指標も含むため、より広範なサプライチェーンの状況を示している点に違いがあります。
バルチック海運指数とグローバルサプライチェーン圧力指数の具体的な使用例としては、バルチック海運指数で短期的な海運市場の動向を見て、グローバルサプライチェーン圧力指数で長期的なサプライチェーン全体の健康状態を把握する、という使い方が一般的です。両指数を比較することで、物流コストや供給網の状況がどの程度経済に影響しているか、また、両指数が上昇していれば世界的にインフレ圧力ともなりますので、インフレ動向を見る指標としても見られています。
チャート(バルチック海運指数と日本の海運業指数・海運株)
- 「海運業指数(TOPIX)」は、TOPIX構成銘柄から選定される東証公表の東証株価指数33業種の業種別の海運業の株価指数です。
- 日本の海運大手3社、[9101] 日本郵船・[9104] 商船三井・[9107] 川崎汽船とバルチック海運指数との比較チャートです。
[速報] 最新データ・時系列(historical data)
日付 | バルチック 海運指数 | 前日比 |
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バルチック海運取引所の最新の週間レポート(2025年3月21日公表分)
バルチック海運指数は、船のサイズごとの指数を複合して測定されている指数です(以下の解説欄を参照)。バルチック海運指数の算出元のバルチック海運取引所は、バルチック海運指数を構成する船のサイズごとのレポートを公表していますので、それを翻訳機で日本語訳したものを以下にそのまま掲載しています。
週間レポートは公表され次第、更新しています。
- 文中でBCIやBPI、BSI、BHSIの文言が出てくることがありますが、それは船のサイズごとの運賃指数です。下の解説欄の「構成指数」の欄に説明がありますので参考にしてください。
- dwtとは、載貨重量トン数という意味です。限度まで貨物を積載したときの全重量から船舶自体の重量を差し引いたトン数、つまり、その船が積むことのできる貨物の重量です。
週間レポート
Capesize(ケープサイズ)
ケープサイズタイムチャーター平均(C5TC)は前週比1,507ドルの下落となり、金曜日には22,190ドルで決済した。北大西洋では、4月中旬積みのINL違反のフロントホール貨物が数個決着し、週末までにC9ルートで42,313ドルとなった。ブラジルでは、4月後半の日付でより多くの貨物が市場に投入されたため、週半ばからレートが改善し始めた。4月末の到着予定日でバラスターリストがタイトになるとの噂があった。C3ルートは0.405ドル上昇し、24.485ドルで週末を終えた。太平洋では、C5レイカンウィンドウが4月の日付に完全に移行した。しかし、鉱山会社がさまざまな理由で週のうち数日間市場から離れていたため、全体的にはかなり低調な週だった。C5ルートは9.35ドルでマークされた。
Panamax(パナマックス)
全体として、パナマックス市場は緩やかな下落の週となった。これは、FFAに対する若干の抵抗と限定的な押し上げがあったにもかかわらずである。ここでも、北大西洋は明らかな需要不足を示し、これが引き続き市場を弱体化させ、注目すべき取引はほとんどなかった。北米発の活動は一部の四半期で依然として不確実性をもたらしていたが、市場が明確なニュースを待っているため、今週はスプレッドがやや落ち着いている。82,000重量トンの船が、ノースカロライナ南米経由のシンガポール-日本往復で17,000ドルを達成した。南米発の取引は活発な週となり、フロントホール航路ではさまざまなレートが見られ、インデックス日付の平均はおよそ12/12,500ドルの水準となった。アジアは、長距離往復航路でさまざまな程度のレートが固定された、まちまちの週となった。期間限定の取引ではあったものの、ハイライトは、3~5か月の期間で17,000ドルを達成した、よく説明された82,000重量トンの中国納品でした。
Supramax(スープラマックス)
全体として、このセクターではわずかにプラスの伸びが見られた週でした。米国湾岸では週の初めにプラスの動きが見られましたが、当面はピークを迎えたとの意見もありました。南大西洋は微妙なバランスを維持しましたが、地中海大陸は新たな勢いを欠いていました。バルト海から西アフリカへの61,000重量トンの航海は14,000ドルで固定されていました。一方、南アフリカ経由で極東に向かう西アフリカへの63,000重量トンの船は15,500ドルで固定されていました。アジア地域では、船主側に有利な需要の増加により、より強い水準が見られました。インドネシア市場は活発で、ここからWCインドへの64,000重量トンの船が17,000ドルで固定され、ECインドへのオプション船は18,000ドルで固定されていました。一方、中国への58,000重量トンの船は15,000ドル台半ばで固定されたと聞かれました。北に向かうにつれて需要は弱まるようだが、63,000 dwt のオープン中国固定船が北太平洋ラウンドで 15,000 ドル近くで取引された。インド洋では活動が増加し、61,000 dwt 固定船がポート エリザベスから中国行きで 15,000 ドル、プラス 150,000 ドルのバラスト ボーナスで取引された。期間取引は引き続き活発で、60,000 dwt のオープン日本固定船が 7/9 か月取引で世界中に 14,000 ドルで取引された。
Handysize(ハンディ―サイズ)
今週、両海域で目に見える動きは最小限にとどまった。大陸と地中海ではレートがサポートされているようで、センチメントは概ねポジティブに推移している。3月20日/21日発のイスケンデルンの3万3000重量トンのオープン船が、穀物を積んでチャナッカレ行き、米国行きで9250ドルで引き渡される予定。米国湾岸ではセンチメントは低調で、トン数が伸び続け、レートにさらなる下押し圧力がかかっている。南大西洋市場のファンダメンタルズは、特に大型船でバランスが取れている。4万重量トンの船舶がレカラダ行きで引き渡され、米国東海岸行きで1万6000ドルで引き渡される予定。アジアでは、トン数が若干増加したとの見方もあるが、まともな貨物量によりレートは健全な水準にとどまっている。3万3000重量トンの船舶がグラッドストーン経由でシンガポール行きで引き渡され、アルミナを積んでサマラジュ行きで1万500ドルで引き渡される予定。
今後の見通し
こちらの「今後の見通し」の欄の更新は不定期です。関連する海運業界各社のレポートが公表され次第、更新します。
以下は、海運業界向けニュースのシートレードマリタイム(Seatrade Maritime)直近公表の今後の見通しを日本語訳したものです。
2025年のシートレードマリタイムの今後の見通しのレポートは5部構成になっています。こちらの欄ではその中から海運市場やドライバルク市況のレポートを掲載します。
2025年の世界のマクロ経済見通しは海運市場にどのような影響を与える?
Maritime Strategies International (MSI)のAdam Kent氏
2024年は海運業にとって再び好調な年であり、多くの部門が平均的に好調を維持したと述べた。貨物の伸びは全般的にプラスの傾向にあり、紅海情勢のトンマイルへの影響が収益を支えている。一部の分野では、昨年1年間で収益や価値、あるいはその両方が50%以上増加した。特にコンテナとオフショア分野で顕著だった。LNGは2024年に収益と価値が下落した唯一のセクターであり、年末に向けてタンカーとドライバルク市場は軟化しました。
「2025年まで見通すと、世界経済は比較的安定し、2024年と同程度の水準で、世界のGDP成長率は約2.7%になると予想しています」潜在的な下振れリスクは数多くある。米国ではドナルド・トランプ政権が誕生する。「これは確かにマクロ経済に何らかの変化をもたらす可能性があり、トランプ政権の初期に見られた状況を考えると、その一部はかなり急速に起こるかもしれない」
関税の問題は議題の上位にあるが、MSIはこれが米国への中国貿易量にとって「あまりに壊滅的」なものになるとは考えていない。「もちろん、私たちはこれまでもトランプ環境や関税環境を経験しており、サプライチェーンは回避策を見つけてきました。2025年、2026年と進むにつれて、そうした回避策のいくつかが再び前面に出てくると予想しています。」中国経済は依然として低迷しているが、今年はさらなる景気刺激策が見込まれており改善の兆しがあると指摘した。一方、欧州経済は2025年に向けて「おそらく脆弱と表現するのが最も適切だろう」「より広い観点から海運業を見れば、今年は貨物の伸びが全分野にわたって全般的にプラス成長となり、再び好調な年になるだろうと我々は考えている。」
MSI は、喜望峰からの転流が同レベルで継続されれば、紅海の状況に変化が見られる可能性はほとんどないと見ている。「もちろん、トンマイルの観点からはプラスに留まるだろうが、その転流によって純増益が見られるとは予想していない。」供給面では、2024年に新造船の納入が相次ぎ、この傾向は2025年も続くと予想され、さまざまなセクターの需要と供給のバランスに圧力がかかり始める。「つまり、これは2024年の半ばに始まった一連の新造船納入の始まりです。私たちは今後3年間、その波にしっかりと乗っていく。」
2025年のドライバルク海運市場の見通し
Maritime Strategies International (MSI)のWill Fray氏
最後の数か月で運勢が落ち込んだにもかかわらず、2024年はドライバルク輸送にとって実は非常に好調な年であり、市場を支える要因が2つあった。
市場を支えた2つの要因は、中国の鉄鉱石と石炭の備蓄と、スエズ運河と紅海からの迂回を含む非効率性、そして2023年に経験した干ばつ状況による今年初めのパナマ運河の制限であった。
「したがって、これらの要因は、貿易の根底にある経済基盤、特にドライバルクにとって重要な支えである中国が実際にかなり弱かった時期に、ドライバルク市場を本当に助けたのです」とフレイ氏は説明する。
中国は特に建設部門で業績が低迷していたが、ドライバルク需要の伸びの大半は備蓄によって牽引された。「MSIの推定によると、2024年には貨物が1億6500万トン増加する一方、中国の石炭備蓄は1億トン、鉄鉱石備蓄は3000万トン増加した。つまり、中国によるこれらの大量輸入は、基礎的な消費が非常に弱い中で備蓄を積み上げるために部分的に利用されているのだ。」
しかし、2024年末にかけて中国の備蓄が需要を押し上げていた一方で、年間で約3,300万重量トンの船舶が大量に納入されたため、供給が需要の伸びを吸収した。
「では2025年まで見据えると、このような供給増加は2025年まで市場に影響を与え始めるのでしょうか?この点については、私たちは少し慎重になっています」とフレイ氏は言う。
同氏は、中国経済の全体的な回復を示唆するものはほとんどなく、喜望峰の航路変更などの非効率性はすでに市場に織り込まれていると言う。「市場は、2025年に納入が予定されている新造船の3600万載貨重量を吸収するのに苦労するだろう。」
MSI のモデルによれば、2025 年に納入される新造船をすべて吸収するには、2 億 4000 万トンの貨物需要の増加が必要になる。「これはドライバルク部門にとって非常に困難な課題だと思います」と同氏は述べている。
フレイ氏は、2025年に中国が大規模な景気刺激策を講じ、それが鉄鋼需要の底上げにつながる可能性を指摘しているが、中国経済全体の変化も指摘している。MSIは、中国の貿易と経済の構造が変化しており、都市化率が先進国並みの70~80%に上昇していることから、大まかな効果をもたらす景気刺激策ではなく、より的を絞ったアプローチを期待していると指摘している。
「米国はドライバルク輸入の大きな原動力ではない。問題は貿易相手国による潜在的な報復関税だ」とフレイ氏は言う。
これまで市場が最も影響を受けたのは、中国が米国からの大豆輸入を縮小した時であり、これは2018年に見られた。「しかし、実際のところ、今回は中国が以前と同じ条件ではないため、米国産大豆の中国への輸出に対して中国がそれほど劇的な措置を取るとは考えていません。」
フレイ氏は、2024年のドライバルク新造船の発注は、少数の大手船主が大量の船を発注したことが特徴だったと指摘する。2025年にドライバルク市場が軟化すれば、さらなる新造船発注を正当化するのは難しくなるだろう。
受注残は総トン数の10%未満であり、従来であれば新造船投資にとって魅力的なセクターであった。しかし、需要の伸びが鈍化しているため、フレイ氏は受注残が少ないとは言わないだろう。
「全体的に見て、その規模の受注残があることは市場にとって比較的プラスであり、大きな脅威ではない」とフレイ氏は言う。「2025年に受注が低ければ、市場回復の基盤が築かれるか、ドライバルク市場の長期的な崩壊を防ぐことになるかもしれない」
海運市況の見通しは、当ページのチャートの欄で紹介しているコンテナ運賃指数のページで掲載している今後の見通しも参考になりますので是非ご覧ください。
バルチック海運指数とは?
バルチック海運指数(英語:Baltic Dry Index)とは、ロンドンのバルチック海運取引所が算出・公表している、外航不定期船の運賃指数です。石炭や鉄などのさまざまな原材料の輸送コストの変化を示す指数で、バルチック海運取引所が海運会社やブローカーなど配送業者から、鉄鉱石・石炭・穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船(ばら積み船)の指定された配送経路の価格などを聞き取って評価し算出された指数です。
バルチック海運指数は船ごとに20を超える経路(ルート)で複数の配送料金を評価して算出され、算出された各指数の複数の地理的出荷経路を分析して指数を複合しており、価格は収集した後に平均化されています。
船のサイズの解説
バルチック海運指数は、船のサイズごと(Capesize・Panamax・Supramax・Handysize)に指数が測定されて複合されている指数です。
- ケープサイズとは?
Capesize(ケープサイズ)とは、最大積載量100,000トン以上の船です。通常は130,000-210,000トン(単位:dwt)の範囲の船です。主に石炭や鉄鉱石を長距離航路で輸送するための船です。時に穀物の輸送にも使用されます。ただし、この船はパナマ運河を渡るには大きすぎる船で、そのサイズのために歴史的に主要な運河を通過することが制限されており、船舶は喜望峰またはホーン岬を経由することを余儀なくされているため、「ケープサイズ」という名前が付けられています。 - パナマックスとは?
Panamax(パナマックス)は、最大積載量65,000-80,000トン(単位:dwt)の船です。主に石炭、穀物、砂糖やセメントなどの少量のバルク製品の輸送に使用されます。この船はパナマ運河を辛うじて渡れるサイズの船で、パナマックスとはパナマ運河を通過する船のサイズ制限の用語です。 - スープラマックスとは?
Supramax(スープラマックス)は、ハンドリーマックスとも呼ばれる、最大積載量52,000-60,000トン(単位:dwt)の船です。パナマックスでは入港できない港で使用されています。インフラが限られている港に適したクレーンが取り付けられているのが特徴で、鉱石、セメント、リン酸塩、鉄鋼製品、肥料、穀物など、さまざまなドライバルク貨物を運ぶ船です。 - ハンディーサイズとは?
Handysize(ハンディ―サイズ)は、最大積載量が18,000-50,000トン(単位:dwt)の船です。ばら積み船としては最も一般的な大きさの船で、世界のほとんどの港に入出港できる手頃なサイズの船であるため「ハンディ―」と呼ばれています。ほとんどの場合、クレーンが取り付けられています。主に鉄鋼製品、穀物、金属鉱石、リン酸塩、セメント、丸太、木材チップ、およびその他の種類のいわゆる「ブレークバルク貨物」の輸送に使用されます。
バルチック海運指数の構成指数の一覧
バルチック海運指数は、上記の船のサイズごとの指数を複合して測定されている指数です。それぞれの指数は以下です。
- BCI(バルチックケープサイズ指数)
BCI(Baltic Capesize Index)とは、「バルチックケープサイズ指数」と呼ばれる、ケープサイズ(大型ばら積み船:ケープサイズバルカー)の運賃指数です。 - BPI(バルチックパナマックス指数)
BPI(Baltic Panamax Index)とは、「バルチックパナマックス指数」と呼ばれる、パナマックスの運賃指数です。パナマックスは、Panamaとmaximumを合わせた造語です。パナマ運河を渡れる船としては最大サイズの船です。 - BSI(バルチックスープラマックス指数)
BSI(Baltic Supramax Index)とは、「バルチックスープラマックス指数」と呼ばれる、スープラマックスの船の運賃指数です。 - BHSI(バルチックハンディサイズ指数)
BHSI(Baltic Handysize Index)とは、「バルチックハンディサイズ指数」と呼ばれる、ハンディサイズの船の運賃指数です。ハンディサイズの船は、世界のばら積み船船腹量の中でも最大の比重を占めています。
バルチック海運指数をわかりやすく簡単に解説
一見すると複雑なバルチック海運指数ですが、バルチック海運指数を簡単にいうと、船の輸送コストを表す指数です。世界の荷動きが同指数に現れるのが特徴です。乾貨物を運搬する船の運賃を加重平均した指数で、その船が何を運んでいるのかというと、鉄鉱石が3割、石炭が2-3割、穀物が1割です。それらの荷動きが活発かどうかがわかる指数です。ただし、バルチック海運指数は「指数」ですので、実際の取引価格ではない点は注意が必要です。
ドライバルクとは?
ドライバルクとは、鉄鉱石・石炭・穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船(ばら積み船)のことです。この運賃指数がバルチック海運指数です。
バルチック海運指数の日本株の関連銘柄一覧
バルチック海運指数の日本株の関連銘柄は以下です。
証券コード(銘柄コード) | 銘柄名 |
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9101 | 日本郵船 |
9104 | 商船三井 |
9107 | 川崎汽船 |
9110 | NSユナイテッド海運 |
9115 | 明治海運 |
9119 | 飯野海運 |
9127 | 玉井商船 |
9130 | 共栄タンカー |
9171 | 栗林商船 |
9173 | 東海汽船 |
9176 | 佐渡汽船 |
9179 | 川崎近海汽船 |
9193 | 東京汽船 |
9308 | 乾汽船 |
9363 | 大運 |
9367 | 大東港運 |
9067 | 丸運 |
海運大手3社の特徴
日本の海運大手3社は、日本郵船・商船三井・川崎汽船です。それぞれの特徴は以下。
- 日本郵船の特徴
日本郵船は、総合海運大手です。日本郵船は海運だけでなく、航空運送・物流・客船など経営多角化をしていることが特徴です。また、環境負荷の相対的に低いLNG(液化天然ガス)を燃料にした船舶を竣工するなどESG経営にも注力しています。 - 商船三井の特徴
商船三井は、世界最大級の航路網に強みのある企業です。ドライバルクやエネルギー輸送に強みがあります。経常利益の大半を海運業で稼いでいます。 - 川崎汽船の特徴
川崎汽船は、海運大手3社の一角ですが、相対的に財務体質の劣後性が目立つため、今後は財務体質強化が求められています。
海運株とバルチック海運指数の関係と影響
海運とは?海運業とは?
海運とは「海上を利用した旅客や貨物の輸送」ということです。海運業とは海運の業界ですが、船で大量の物資を運ぶ仕事です。数量ベースでは、日本の貿易の9割以上を占めています。海上輸送量は物流全体の7割を占めているため、世界のサプライチェーンの中心となっています。
海運は世界経済・市況、資源価格次第で業績が大きく変わる業種で、為替動向で収益構造が変化しやすく、安全保障問題や地政学リスクに大きな影響を受けることもあり、先行きの予想など大きく狂うことが多い傾向があります。基本的には世界経済の成長に伴って拡大する業種です。世界景気が拡大していれば輸送需要が増えるため運賃は上昇し、海運株の上昇要因となり、世界景気が減速していれば運賃は低下し、海運株の低下要因となります。
旅客に関しては、航空機の成長とともに海運は衰退しましたが、貨物の輸送は活発であり、コストの安さや海上輸送のメリットである重量のあるものや大きなものまで制限がかかりにくいことから、物流の国際間の貿易の中心は海運です。ただし、輸送に時間がかかるというデメリットもあります。
海運と原油の関係
船は原油を燃料としますので、海運株にとって原油安はメリットと考えられています。原油価格の推移は以下のページで掲載しています。

ただし、企業側はデリバティブ取引によってリスクを軽減しているため、原油安が収益増にそのままつながるかといえばそうではありません。逆に原油高はコスト高となりデメリットとなりやすいです。
海運の業績の先行指標「バルチック海運指数」
さて、海運株の業績の先行指標として見られているのが、当パージで掲載しているバルチック海運指数です。運賃上昇・低下による業績拡大・縮小から、外交不定期船と関連のある企業の株価への影響が大きい指標として認知されています。海運株にとって運賃動向は業績に直結します。バルチック海運指数の上昇は運賃の上昇を意味しますので、業績拡大期待から海運株は買われやすくなる傾向があります。
もちろん運賃だけが影響するのではなく、海運株は中国動向に振らされやすい面もあります。中国の経済動向は特に影響が大きいですし、例えば中国が長期休暇になる国慶節や春節なども海運の動きがスローダウンする要因となりますし、これらは運賃の低下要因ともなります。また、海運業の好不況サイクルも株価動向に影響しやすい傾向があります(以下で解説)。
コンテナ船市況とドライバルク市況が注目される
海運業の業績を測る上で注目されるのが、コンテナ船の市況とドライバルクの市況です。
コンテナ船市況とは、コンテナ(ボックス)を大量に輸送する船のことで、市況というのはここでは「運賃」を指します。市況と業績は概ね連動しやすいので注目されます。
ドライバルク市況とは、乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃のことです。
海運の景気サイクルの説明
海運の環境規制による影響
脱炭素を目的に、大型外航船へのCO2(二酸化炭素)削減の国際ルールが2023年から開始されます。既存の船も対象となっており、この規制に対応できない古い船はスクラップされる可能性が高いです。船が少なくなりますので供給が絞られると考えられ、海運の好不況サイクルにも変化を及ぼす可能性があると指摘されています。つまり、強制的に船が足りない状況が作り出されるということで、海運業の業績にはプラスになりやすいとする向きが多いです。
バルチック海運指数は経済成長の先行指標!
バルチック海運指数は世界の需給動向を示す指数として、将来の経済成長の先行指標として捉えられています。株価はグローバル市場が成長している時に上昇し、失速している時に下落しやすいですが、バルチック海運指数は需給要因に依存している指数である点に違いがあります。
バルチック海運指数は、2008年の景気後退局面(リーマンショック)を察知した指数として注目度が高い指数となっています。
バルチック海運指数の上昇要因・下落要因は?
バルチック海運指数は、海上の荷動きの量であったり、主要港湾の船腹の沖待ち増加を受けた滞船、荷役のためのインフラ能力の過不足、天候要因で変動します。
バルチック海運指数は乾貨物を運搬する船の運賃を加重平均した指数ですが、その船が運搬しているのは鉄鉱石が3割、石炭が2-3割、穀物が1割です。これら鉄鉱石・石炭・穀物の最大の輸入国は「中国」です。ゆえに、バルチック海運指数の上昇は、中国のこれらの輸入が活発化していることを反映しやすいです。
一例を挙げると、中国の石炭の需要が上がっていたり、中国の生産が減少して在庫が減少したため石炭の輸入を増やしていたり、LNG(液化天然ガス)価格が下落して石炭価格が下落して割安になったため石炭の輸入が増えているなどすれば、バルチック海運指数の上昇要因となります。逆であれば下落要因となります。
中国の製造業PMIと連動しやすい?
バルチック海運指数は上記のように中国の輸入動向を反映しやすいため、中国の製造業PMIと相関しやすい傾向があります。中国の製造業PMIは、以下のページで確認することができます。


バルチック海運指数が先行指標とならない?その理由は?
バルチック海運指数は、テクニカル要因で一時的に上がったり下がったりもしやすい指数でもあります。ゆえに、単に将来の経済成長の先行指標として見ていると、それを反映していない可能性もあるので注意が必要です。また、鉄鉱石・石炭・穀物に関する規制があって、生産を減らして在庫が減ったので輸入を増やして積み増しているだけであった場合は、それを指数が反映せず、将来の経済成長の先行指標とはなりませんので、バルチック海運指数が上昇・下落している場合は、その背景を考えながら見る必要があります。
バルチック海運指数の公表日は、いつ?非公表日の一覧
バルチック海運指数は、バルチック海運取引所が毎営業日算出・公表しています。以下は、バルチック海運取引所が予定しているバルチック海運指数の非公表日(公表しない日)です。
- 2024年1月1日
- 2024年3月29日
- 2024年4月1日
- 2024年5月6日
- 2024年5月27日
- 2024年8月26日
- 2024年12月25日から31日
- 2025年1月1日
- 2025年4月18日
- 2025年4月21日
- 2025年5月5日
- 2025年5月26日
- 2025年8月25日
- 2025年12月25日から31日
※2024年12月時点で発表されている非公表日です。
- 当ページは、バルチック海運指数(BDI)の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- Source:The Baltic Exchange
- バルチック海運指数は、外航不定期船の運賃指数であるため、外航不定期船と関わりの深い企業の株価と連動性が高い指数です。特に運賃上昇による業績拡大が期待される海運株への影響が大きいです。ただし、同指数は指数であり、実際の取引価格とは異なります。
- 1985年1月4日=1000を基準として算定されています。
- BDI(Baltic Dry Index) historical data&chart