
OIS金利(スワップ金利)の最新データを速報で掲載しています。
OISは中央銀行の政策金利見通しを取引するもので、日本のOIS金利(スワップ金利)は日本銀行(日銀)の政策金利見通しを強く反映しやすい指標として注目度が高いです。当ページでは、期間(年限)ごとのOIS金利(ドル円や日本国債利回りとの比較チャートを掲載)と、各年限のOIS金利を線で結んだ「OISカーブ(OIS曲線)」を掲載しています。これを見れば、市場が現在予測している今後の日銀の政策金利の動向がわかります。見方の解説欄を参考にチャートをご覧下さい。
最新データと現状評価
2026年10月9日時点の最新の日本OIS金利(スワップ金利)は、1週間が1.22708%、1カ月が1.23780%、 3カ月が1.29910%、6カ月が1.42500%、 1年が1.64375%、2年が1.91188%、 5年が2.35188%、10年が2.89428%です。 現在の日本の政策金利は1.00%です。
1カ月OISは1.23780%で、現在の政策金利1.00%との差は+0.23780ポイントです。1カ月OISとの差は、3カ月が+0.06130ポイント、6カ月が+0.18720ポイント、1年が+0.40595ポイント、2年が+0.67408ポイントです。短中期OISカーブは右肩上がりとなっており、市場は先行き現在より高い短期金利水準を織り込む形状となっています。
前回からの変化は、3カ月が-0.00250ポイント、6カ月が-0.00896ポイント、1年が-0.01603ポイント、2年が-0.02562ポイントです。短中期OISは総じて低下しており、市場が織り込む将来の短期金利水準は下方へシフトしています。
1カ月OISは1.23780%、10年OISは2.89428%で、両者の差は+1.65648ポイントです。OISカーブは全体として右肩上がりとなっており、短期だけでなく中長期にかけても、年限が長くなるほど高い金利水準となっています。

AIによるOIS金利(スワップ金利)の重要度評価
OIS金利は、日銀の政策金利変更の可能性を市場がどのように織り込んでいるかを示す主要指標。短期金利市場の動向を反映し、次回以降の政策決定会合における政策変更の可能性を評価する上で不可欠。OIS金利は、金融機関のリスク回避姿勢や流動性需要を反映。市場のストレスや不確実性が高まると変動が顕著になるため、市場の「温度計」としても機能する。為替市場の実務にも間接的に影響を及ぼす。一方、OIS金利自体が短期的な金利期待を反映するにとどまり、中長期的な経済成長や金融政策の持続可能性を直接評価する指標としては制約がある。
AIによる指標の重要度評価は”辛口評価”の設定になっています。見方の詳しい説明は「AIによる指標の重要度評価について」を参照。
チャート(OISカーブ)
OISカーブ(OIS曲線)のチャートです。OISカーブは期間の異なるOIS金利(スワップ金利)を年限ごとに並べ、市場が織り込む将来の短期金利の水準や金利見通しを確認するためのチャートです。短期ゾーンは日本銀行の金融政策見通しを比較的強く反映し、年限が長くなるにつれて、中長期的な金利見通しや経済・物価見通しなどの影響も大きくなります。OISカーブのチャートは、現在のOISカーブを前営業日および1カ月前と比較しています。カーブ全体が上方へ移動している場合は市場が織り込む金利水準の上昇、下方へ移動している場合は低下を示します。また、短期だけが上昇・低下しているのか、中長期まで同じ方向へ動いているのかを見ることで、金融政策や金利見通しの変化がどの年限に表れているかを確認できます。
Chart [JPY OIS(Overnight Index Swap) Curve]
- OISカーブの見方は、当ページ下部の解説欄を参照して下さい。
チャート(OIS金利/スワップ金利)
- 以下は、主要OIS金利(スワップ金利)のチャートです。日本国債利回りとドル円との比較チャートを掲載しています。
- 各日本国債利回りは、取引が成立せず値が付かなかった日は前営業日など値がついた直前の値を補完してチャートのデータに反映させています。
- 2024年11月25日にOIS金利は急落していますが、その説明は当ページの解説欄の「OIS金利(スワップ金利)の急落ーカウント方法の変更の影響」の欄を参照して下さい。
- 各日本国債利回りの解説と推移は、以下のページで掲載しています。

3カ月OIS金利(3カ月スワップ金利)のチャート
3カ月OIS金利の推移を示したチャートです。今後3カ月程度の無担保翌日物金利の平均的な水準について、市場がどのように見ているかを反映する短期金利です。現在の政策金利に近い期間を対象とするため、日銀の近い将来の金融政策に対する市場の織り込みを確認する際に有用です。チャートでは日本3カ月国債利回り、ドル円と比較できます。また、「3カ月OIS金利-日本3カ月国債利回り」のスプレッドも掲載しています。スプレッドが拡大してOISが国債利回りを上回るほど、国債市場と比べてOIS側の金利が相対的に高い状態を示します。ただし、この差は金融政策の織り込みだけで決まるものではなく、国債固有の需給や流動性などの影響も受けるため、利上げ・利下げ確率そのものではなく、両市場の金利形成の違いを見る指標として利用します。
Chart [3month-JPY OIS(Overnight Index Swap)]
- チャート上部のタブ(ボタン)や凡例、チャート下部の期間ボタンをクリックするとチャートが切り替わります。
- 国債の取引不成立のデータ欠損日は、チャートでは前後の観測値を線で結んで表示しています。
- スプレッドは原則として同じ日付にOIS金利と国債利回りの値が存在するときだけ算出しています(取引不成立のデータ欠損日は算出していません)。
6カ月OIS金利(6カ月スワップ金利)のチャート
6カ月OIS金利の推移を示したチャートです。今後6カ月程度の無担保翌日物金利の平均的な水準について、市場がどのように見ているかを反映します。3カ月OISより先の期間を含むため、直近の政策金利だけでなく、半年程度先までの日銀の金融政策に対する市場の見方を確認するのに適しています。
Chart [6month-JPY OIS(Overnight Index Swap)]
1年OIS金利(1年スワップ金利)のチャート
1年OIS金利の推移を示したチャートです。今後1年間の無担保翌日物金利の平均的な水準について、市場がどのように見ているかを反映します。数カ月先だけでなく、今後1年程度の日銀の利上げ・利下げや政策金利の経路に対する市場の見方を確認する際に重要な年限です。チャートでは1年OIS金利、日本1年国債利回り、ドル円を比較し、「1年OIS金利-日本1年国債利回り」のスプレッドも表示しています。OISの上昇は市場が織り込む将来の短期金利水準の上昇、低下はその水準の低下を基本的に示します。一方、国債利回りには金融政策見通し以外の国債需給なども反映されるため、OISとのスプレッドを見ることで両市場の金利形成の違いを確認できます。
Chart [1year-JPY OIS(Overnight Index Swap)]
2年OIS金利(2年スワップ金利)のチャート
2年OIS金利は、今後2年間の無担保翌日物金利の平均的な水準について、市場がどのように見ているかを反映します。目先の政策変更だけでなく、その後の政策金利がどの程度まで上昇・低下し、どのような水準で推移すると市場が想定しているかを見るうえで有用です。2年OIS金利と2年国債利回りはともに金融政策見通しの影響を受けますが、国債には需給や流動性など固有の要因も加わります。このため、スプレッドの拡大・縮小を見ることで、OIS市場と国債市場の金利形成がどの程度乖離しているかを確認できます。
Chart [2year-JPY OIS(Overnight Index Swap)]
5年OIS金利(5年スワップ金利)のチャート
5年OIS金利の推移を示したチャートです。今後5年間の無担保翌日物金利の平均的な水準に対する市場の見方を反映します。5年OIS金利は短期OISと比べて目先の日銀会合の影響だけで動く性格は弱まり、中期的な政策金利の水準や金融政策の正常化、物価・景気見通しなどを含む、より長い時間軸の金利観を確認する指標となります。短期OISが大きく動かず5年OISだけが上昇・低下する場合などは、目先の政策変更というより、中期的な金利水準に対する市場の見方が変化している可能性があります。
Chart [5year-JPY OIS(Overnight Index Swap)]
10年OIS金利(10年スワップ金利)のチャート
10年OIS金利の推移を示したチャートです。今後10年間という長い期間の無担保翌日物金利の平均的な水準に対する市場の見方を反映します。短期OISのように直近の日銀の利上げ・利下げを直接読む指標というより、中長期的な政策金利、インフレ、経済成長などを背景とした金利水準を確認するための指標として見るのが適切です。チャートでは日本10年国債利回りや「10年OIS金利-日本10年国債利回り」のスプレッドも表示しています。10年国債利回りには国債需給やタームプレミアムなどの影響も含まれるため、OISとの乖離を見ることで、長期ゾーンにおけるOIS市場と国債市場の金利形成の違いを確認できます。
Chart [10year-JPY OIS(Overnight Index Swap)]
30年OIS金利(30年スワップ金利)のチャート
30年OIS金利の推移を示したチャートです。非常に長い期間の金利見通しを反映する超長期OISです。短期・中期OISとは性格が大きく異なり、日銀の直近の金融政策を読み取るための指標としてではなく、超長期の金利水準やOISカーブの形状を確認するための参考指標として位置づけるのが適切です。超長期OISは短中期ゾーンに比べて取引の流動性が低く、市場環境によって価格形成が不安定になりやすいため、30年OISやその対国債スプレッドの短期的な変動を過度に重視せず、中長期的な方向や他年限との相対比較を中心に見る必要があります。
Chart [30year-JPY OIS(Overnight Index Swap)]
[速報] OIS金利(スワップ金利)データ
単位:%
| 2026年10月09日 | |
|---|---|
| 1D | 1.22800 |
| 1W | 1.22708 |
| 2W | 1.22750 |
| 3W | 1.23000 |
| 1M | 1.23780 |
| 2M | 1.24543 |
| 3M | 1.29910 |
| 4M | 1.35000 |
| 5M | 1.38104 |
| 6M | 1.42500 |
| 7M | 1.46476 |
| 8M | 1.50065 |
| 9M | 1.53958 |
| 10M | 1.57990 |
| 11M | 1.61241 |
| 1Y | 1.64375 |
| 15M | 1.72775 |
| 18M | 1.79625 |
| 2Y | 1.91188 |
| 3Y | 2.08375 |
| 4Y | 2.22438 |
| 5Y | 2.35188 |
| 6Y | 2.47063 |
| 7Y | 2.58438 |
| 8Y | 2.69438 |
| 9Y | 2.79813 |
| 10Y | 2.89428 |
| 11Y | 2.98313 |
| 12Y | 3.06438 |
| 15Y | 3.26467 |
| 20Y | 3.48963 |
| 25Y | 3.59875 |
| 30Y | 3.63810 |
| 35Y | 3.64563 |
| 40Y | 3.63250 |
OIS金利の解説
OISとは?
OIS(読み方:おーあいえす|英語:Overnight Index Swap)は、固定金利と変動金利を交換する金利スワップ取引の一種です。異なる金利(固定金利と変動金利または変動金利同士)を一定期間毎に交換する取引で、日本では固定金利と変動金利(一定期間の無担保コール翌日物金利(TONA))を交換する取引が行われています。両者は信用リスクが低く、OISの固定金利は「OIS金利(OISレート)」と呼ばれ、無担保コール翌日物金利に対する日本銀行(日銀)の政策金利見通しを強く反映しやすいとして注目度が高い指標となっています。日本では、固定金利と無担保コール翌日物金利を交換する取引が「OTC(店頭における相対取引)」で行われています。
無担保コール翌日物金利
無担保コール翌日物金利の解説は、以下の「日本の政策金利」ページで掲載しています。

OIS金利とは?(スワップ金利とは?)
OIS金利(読み方:おーあいえすきんり|英語:OIS rate)とは、「OISレート」「スワップ金利」とも呼ばれる、金融機関同士のお金の貸し借りにつく金利です。お金の返済期間がどれくらいかで返済期間ごとに相対で金利を決めていますが、この金利は各金融機関が今後の日本銀行(日銀)のスタンスを予測して決めているため、OIS金利は日本銀行(日銀)の政策金利見通しを強く反映しやすい指標となっています。ただし、OIS市場は幅広い年限の取引が存在するものの、取引主体が一部の金融機関に限られており、取引量は低調で(取引主体は外資系および国内大手の証券会社が大半)、あくまで期間全体の平均金利期待の予測ですので、必ずそうなるというものではありません。
OISカーブとは?(OIS曲線とは?)
OIS金利(OISレート)は返済期間ごとに相対で金利を決めていますが、その期間(年限)ごとのOIS金利を線で結んだ曲線が「OISカーブ(OIS曲線)」です。「OIS金利(OISレート)のイールドカーブ」とも呼ばれています。
期間(年限)は1D・1W・2W・3W・1M・2M・3M・4M・5M・6M・7M・8M・9M・10M・11M・1Y・15M・18M・2Y・3Y・4Y・5Y・6Y・7Y・8Y・9Y・10Y・11Y・12Y・15Y・20Y・25Y・30Y・35Y・40Yがあり、それぞれのOIS金利を線で結んだ曲線がOISカーブです。当ページでは、このOISカーブを掲載しています。
- D(Day):日
- W(Week):週
- M(Month):月
- Y(Year):年
OIS金利とOISカーブの上昇と低下の見方
OISは中央銀行の政策金利見通しを取引するものですので、OIS金利の上昇・低下は今後の利上げ(政策金利の引き上げ)と、利下げ(政策金利の引き下げ)の見通しが強く反映されやすいです。
- 上昇していれば利上げが見込まれていることを示します。また、以前より上昇していれば利上げ前倒しが見込まれていることを示します。
- 低下していれば利下げが見込まれていることを示します。また、以前より低下していれば利下げ前倒しが見込まれていることを示します。
OISカーブは期間ごとのOIS金利の曲線ですので、
- OISカーブが右肩上がりであれば、今後日本の金利は上がっていく(日銀は利上げ)
- OISカーブが横ばいであれば、今後日本の金利は横ばい(現状維持)
- OISカーブが右肩下がりであれば、今後日本の金利は下がっていく(日銀は利下げ)
と市場が予測していることを表しています。
例えば、OISカーブが以下のようになっていた場合、

横ばいから右肩上がりになっていますので、今後日本の金利は1年程度横ばいの後に上がっていくだろう、と市場が見ていることがわかります。
OISカーブは期間ごとのOIS金利の曲線ですので、各期間を見ればどのくらいの時期から金利が上がる・下がると市場は見ているのかがわかります。
上画像のOISカーブでは、1Y(期間1年)あたりからじわり右肩上がりになっています。OIS金利は市場が予測している日銀の政策金利が反映されていますので、日本の金利は1年程度金利は横ばいの後に上がっていくだろうと予測していることがわかります。
[重要] OIS金利は「その期間の平均金利」を表す指標
当ページで掲載しているOIS金利は、東京証券取引所や大阪取引所などを傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)子会社の中央清算機関公表のOIS金利です。このOIS金利は、
「市場が予想している将来の短期政策金利の平均水準」
を反映しています。清算価格ベースの日次確定値で、満期ごとの固定金利という特徴があります。これは、実際の市場取引を反映した信頼性の高いデータとして重要です。
例えば、3MのOIS金利が0.85%で現在の政策金利が0.75%であれば、市場は今後3か月の間に利上げが行われる可能性を予想しているという意味です。
OIS金利で最も重要なのは、
「その満期までの期間における“翌日物金利の平均値”を市場がどの水準と見ているかを表している」
という点です。
3MのOIS金利が0.85%であれば、「今から3か月間の翌日物金利(政策金利)の平均が0.85%程度になる」と市場が予想している、という意味になります。これは「すぐに0.85%」になるという意味ではなく、0.75%のままの期間と1.00%に上がる期間などを平均した結果が0.85%になる、ということです(OIS金利はその期間全体の平均金利を表しています)。平均が現在より高いということは、どこかの時点で金利が引き上げられる想定が織り込まれているからです。
金融機関や情報ベンダー(ブルームバーグなど)は、このOISカーブをもとにフォワードレートを計算し、ディーラー気配(ビッド/アスク中値)やインターバンク実勢を考慮して利上げ確率などを推計しています。
なぜ短期OIS金利が現在の政策金利より低くなるのか?
例えば、利上げ局面で現在の政策金利が0.75%なのに、
- 1DのOIS金利
- 1WのOIS金利
が0.75%より低くなることがあります。これは異常ではありません。
そもそも政策金利と翌日物実勢金利は同じではありません。日本の場合、政策金利は日本銀行が誘導目標として示す水準です。一方、OISの変動金利側は「実際に市場で成立した翌日物金利(TONA)」の平均値です。実勢金利は需給で決まるため、政策金利と完全一致はしません。また、日本の短期金融市場は、大量の準備預金残高と資金余剰状態が続いていますので、資金の借り手が少なく貸し手が多い構造になりやすいので、実勢の翌日物金利(TONA)は政策金利をやや下回る水準で推移しやすいです。あるいは、1Dや1WのOIS金利は「これからの数日間の翌日物金利の平均」ですので、足元のTONAが政策金利0.75%を下回っている場合は、短期OIS金利はそれを織り込みます。と、これらは利上げ局面を前提としましたが、例えば近い将来に利下げの可能性があると市場が考えている場合は、もちろん短期OIS金利はそれを織り込んで政策金利を下回る水準で即座に反応します。
その他にも、短期市場では決算期・国債発行・日銀オペ・税支払期などの影響で需給が一時的に緩和・逼迫します。その結果、実勢金利が政策金利から乖離することがあります。短期OIS金利はその平均を取るため、政策金利を下回ることがあります。
これらの要因から、概ね短期OIS金利は1bpから3bp(0.01~0.03%程度)の下振れは自然乖離の傾向があります。
下振れの水準を見る上で明確な基準ないのですが、1Wあたりを自然乖離水準で見てもらうのが安定的です。基準を1Dにすると資金需給やオペレーションなどのノイズが入りやすいので、1Wあたりが実務的です。
長期OIS金利は別物!
日本のOIS市場は1年未満(1Y未満)は流動的で、2Yから5Yまでそこそこ、10Yを超えてくると流動性がかなり薄くなります。流動性が薄いと市場コンセンサスというより「清算上の理論値」に近づきます。そのため、
超長期は“政策金利期待”ではない
例えば10YのOIS金利が2.0%でも、それは10年後の政策金利が2%という意味にはなりません。
長期OIS金利には、
が含まれます。
短期ゾーンは「政策会合の織り込み」ですが、長期ゾーンは「マクロ経済の世界観」です。また、長期OIS金利は流動性が薄いため、中央清算機関のモデル補完の影響が大きくなることがあります。よって、長期OIS金利は日銀金融政策決定会合の利上げを読む用途では意味を持たないということになります。
実務的な具体的な使い分けは、以下の表のようになります。
| 期間 | 用途 |
|---|---|
| ~6M | 会合織り込み分析 |
| 1~2Y | 累積利上げ回数 |
| 5Y超 | 中立金利・構造期待 |
| 10Y超 | マクロ長期世界観 |
スプレッド(OIS金利-国債利回り)とは?
当ページのチャートには、「スプレッド(OIS金利-国債利回り)」も算出して表示しています。
「スプレッド(OIS金利-国債利回り)」は、同じ年限のOIS金利(スワップ金利)から国債利回りを差し引いたものです。スプレッドは「差」です。
スプレッド = OIS金利 - 同年限の国債利回り
例えば、2年OIS金利が1.50%、日本2年国債利回りが1.20%の場合、スプレッドは+0.30ポイントとなります。
OIS金利と国債利回りは、どちらも金融政策や将来の金利見通しの影響を受けます。しかし、OIS市場と国債市場はそもそも異なる市場であり、それぞれ価格を動かす固有の要因があります。そのため、同じ2年や5年といった年限でも、OIS金利と国債利回りが常に同じ水準・同じ方向に動くわけではありません。
OIS金利と国債利回りは何が違う?
OISは、固定金利と一定期間の無担保翌日物金利を交換する金利スワップです。OIS金利には、その期間における翌日物金利の平均的な水準についての市場の見方が反映されます。
特に3カ月、6カ月、1年、2年などの短中期OISは、中央銀行の政策金利と密接な関係があるため、市場が将来の政策金利や短期金利をどのような経路で想定しているかを見る際に有用です。
例えば、市場参加者が「今後、日銀が追加利上げを行い、短期金利が上昇する」と予想するようになれば、将来の翌日物金利の上昇が意識され、短中期OIS金利には上昇圧力がかかります。反対に、利下げや金融緩和が予想されれば、OIS金利には低下圧力がかかります。
一方、国債利回りは、実際に市場で取引されている国債価格から形成される利回りです。
国債利回りにも政策金利見通しや景気・物価見通しは反映されますが、それだけではありません。国債そのものに対する需給、流動性、安全資産需要、投資家のポジション、発行量、中央銀行による国債買い入れなど、国債市場固有の要因によっても変動します。
つまり、OISと国債は同じ「金利」を扱っていても、価格形成の仕組みが異なります。
なぜOIS金利と国債利回りに乖離が生じる?
OIS金利と国債利回りは、金融政策に対する市場の見方が変化した場合には同じ方向へ動くことがあります。しかし、OIS市場では金融政策や将来の短期金利見通しが変化している一方、国債市場では強い国債需要によって利回り上昇が抑えられる、といったこともあります。逆に、OIS市場で政策金利見通しがほとんど変わっていなくても、国債の需給悪化や発行増加などによって国債価格が下落すれば、国債利回りだけが上昇することがあります。
このような「金融政策・短期金利を中心に形成されるOIS」と「金融政策に加えて国債固有の需給なども反映する国債利回り」の違いが、OIS-国債スプレッドの変動として表れます。
どう見ればいい?スプレッド(OIS金利-国債利回り)の見方
OIS金利が上昇し、国債利回りが横ばいの場合
OIS金利が上昇している一方、同年限の国債利回りがほとんど動いていない場合、OIS市場では将来の短期金利水準が上方修正されている一方、国債市場ではその動きが十分に表れていない可能性があります。短中期ゾーンであれば、追加利上げや高い政策金利が続くとの見方がOIS市場で強まっている一方、国債への需要などが国債利回りの上昇を抑えているケースなどが考えられます。この場合、
OIS金利上昇 + 国債利回り横ばい → OIS-国債スプレッド拡大
となります。ただし、スプレッド拡大だけを理由に「利上げ確率が上昇した」と断定することはできません。OIS自体の動きやOISカーブなども併せて確認する必要があります。
OIS金利が横ばいで、国債利回りが上昇する場合
反対にOIS金利がほとんど変化していないのに国債利回りが上昇している場合、政策金利に対する市場の見方には大きな変化がない一方で、国債市場側の要因が利回りを押し上げている可能性があります。例えば、国債需給の悪化、国債発行増加への警戒、投資家の国債売りなどです。特に長期・超長期ゾーンでは、こうした国債市場固有の要因の重要性が高くなります。この場合、
OIS金利横ばい + 国債利回り上昇 → OIS-国債スプレッド縮小(またはマイナス方向へ拡大)
となります。
OIS金利が低下し、国債利回りが横ばいの場合
OIS金利だけが低下している場合、短中期ゾーンでは、市場が想定する将来の短期金利水準が低下している可能性があります。例えば、追加利上げ観測の後退、利下げ観測の強まり、あるいは将来の政策金利が従来想定より低くなるとの見方などです。国債利回りが横ばいであれば、こうした政策期待の変化が国債市場には同程度には反映されていない可能性があります。この場合、
OIS金利低下 + 国債利回り横ばい → OIS-国債スプレッド縮小(またはマイナス方向へ拡大)
となります。
OIS金利が横ばいで、国債利回りが低下する場合
OIS金利が横ばいなのに国債利回りだけが低下している場合、政策金利見通しそのものよりも、国債市場側の要因によって国債が買われている可能性があります。安全資産需要の高まり、国債への資金流入、需給改善などによって国債価格が上昇すると、国債利回りは低下します。この場合、
OIS金利横ばい + 国債利回り低下 → OIS-国債スプレッド拡大
となります。
このように、スプレッドの拡大・縮小を見るだけでなく、「OISが動いた結果なのか」「国債利回りが動いた結果なのか」「両方が異なる速度で動いた結果なのか」まで分解して見ることが重要です。
スプレッドがプラス・マイナスであること自体をどう見る?
スプレッドがプラスの場合はOIS金利が国債利回りを上回り、マイナスの場合はOIS金利が国債利回りを下回っています。
ただし、「プラス=利上げ」「マイナス=利下げ」という意味ではありません。
OISと国債にはそれぞれ異なる価格形成要因があるため、スプレッドの絶対的な水準だけから金融政策を判断するのは適切ではありません。
重要なのは、過去と比較してスプレッドがどの方向へ動いているのか、そしてその変化がOIS側と国債側のどちらによって生じているのかを見ることです。
年限によってスプレッドの意味合いは異なる
3カ月、6カ月、1年、2年などの短中期ゾーンでは、OISが将来の短期金利や金融政策の影響を比較的強く受けるため、OIS-国債スプレッドは金融政策の織り込みと国債市場の動きの違いを確認するうえで特に有用です。
一方、5年や10年など年限が長くなるほど、目先の政策金利だけでなく、中長期的な景気・物価・金利見通しなどの影響も大きくなります。さらに国債側では需給や長期債固有の要因も重要になります。
30年などの超長期OISについては、短中期OISより流動性が低いことにも注意が必要です。そのため、超長期のOIS-国債スプレッドは、金融政策の織り込みを直接判断する指標というより、超長期ゾーンにおける両市場の相対的な金利水準を確認する参考指標として見るのが適切です。
スプレッドを見る際のポイント
スプレッドは、単独で利上げ・利下げを予測するための指標ではありません。OIS市場と国債市場という異なる市場で形成される金利を比較し、両市場の金利形成がどの程度一致・乖離しているのか、その乖離がどちらの市場の動きによって生じているのかを確認するための指標です。
そのため、スプレッドを見る際は、OIS金利、国債利回り、スプレッドの3つをセットで確認することが重要です。さらに金融政策の織り込みを判断する場合は、現在の政策金利やOISカーブ、短中期OISの変化なども併せて確認することで、市場が金融政策や将来の金利をどのように見ているのかをより立体的に捉えることができます。
OIS金利(スワップ金利)の急落ーカウント方法の変更の影響
2024年11月25日、JSCCは金利スワップ取引清算業務の統計情報について、海外清算機関における同様の開示情報との数値比較を容易にする観点から、債務負担件数・金額及び債務負担済残存取引件数・残高のカウント方法を、片道(原取引)ベースから清算約定ベースに変更しました。
この影響と思われますが、2024年11月25日にOIS金利(スワップ金利)は急落しました。この点について考察を記載しておきます。
OISは市場取引に基づく金利の指標であり、統計データのカウント方法の変更とは本質的には直接的な関係はないはずですが、統計の表示方法変更に伴う市場参加者の解釈が影響を与える可能性がありました。推察ですが、2024年11月25日の急落は、清算約定ベースで統計上の残存取引件数や金額の影響か、その流動性の低下を懸念した影響かのどちらかであると思います。
片道(原取引)ベースから清算約定ベースのカウント方法変更について
金利スワップ取引清算業務の統計情報におけるカウント方法が片道(原取引)ベースから清算約定ベースに変更されたことについて記載します。
国際標準(多くの海外清算機関)は、清算約定ベースです。これに合わせたカウント方法に変更となりましたので、統計データの比較が直接的に行いやすくなり、透明性と整合性が向上することが見込まれます、清算約定ベースでは、片道ベースよりもカウントが増加する傾向があり、統計上の取引件数や金額が膨らむ可能性があります。見かけ上の取引量が増加することが見込まれますので、流動性が高い市場として認識されやすくなる可能性があります。これが新規参入を促し、取引量や市場参加者が増加する効果をもたらす可能性があります。一方で、投資家や清算機関は新基準に対応するための一時的な調整が必要になる可能性があります。また、清算約定ベースでは、実際の取引量やリスク量の「正味の影響」を反映する傾向があります。清算機関が取引のリスクを相殺(ネット化)する過程で、報告される取引残高が大幅に減少することがあります。ネット化された取引は、原取引ベースと比較して、債務負担残高や取引量が小さくカウントされるため、統計上の数値が低下します。清算約定ベースでは、ネット化が進むほど、長期金利スワップ(10Y)のようなデリバティブ商品で、清算機関を通じた取引残高が大きく減少することがあります。これは「リスク削減」や「取引の効率化」を反映しており、必ずしも市場活動が減少したことを意味しません。表面上の数値の急減により、流動性や市場規模が縮小しているように見えますが、実際には清算システム内でのネット化の結果である可能性が高いです。数値が半減することで、「取引が縮小している」という誤解が生じるリスクがあり、特に長期物(10Y)は金利スワップ市場における指標的存在のため、この変化は投資家の市場観に影響を及ぼす可能性があります。
- 当ページは、日本のOIS金利(スワップ金利)とOISカーブの解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- Source:JSCC(Japan Securities Clearing Corporation)
- JPY OIS(Overnight Index Swap) historical data&chart