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リスクプレミアム(米国)

米国のリスクプレミアムの概要

米国(アメリカ)のリスクプレミアム

投資家が将来のリスクに対して要求する金利の上乗せ分が「リスクプレミアム」です。金利対比(金利と比較して)の株式のバリュエーションが測れる指標で、株が割安か割高かが判断できます。株がバブル状態かどうかが測れますので注目度が非常に高いです。

  • 当ページは、米国(アメリカ)のリスクプレミアムの解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
  • 各指数・指標の解説
    リスクプレミアムとは
  • Source:株式マーケットデータ
  • 米国のS&P500種株価指数と名目金利から株式マーケットデータが算出。
  • 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は改定値を上書きして掲載しています。
  • S&P500 Equity Risk Premium(US) historical data&chart

リスクプレミアムとは?

リスクプレミアム(英語:risk premium)とは、安全資産(無リスク資産)リスク資産(危険資産)の市場利子率の差です。

リスクプレミアムは、ポートフォリオ理念の概念で、リスクが低い金融商品とリスクが高い金融商品には、それぞれ期待される収益率に比例した価格差が生まれるという考え方を基にしており、この考え方ではリスクの低い金融商品の方がリスクの高い金融商品より価格が高くなります。

リスクプレミアムをわかりやすく簡単に解説

リスクプレミアムは、「リスクに対する見返りに相当する部分」のことをいいます。「リスク」は”不確実性・危険性”を意味し、「プレミアム」は”おまけ”を意味します。

リスクが高い金融商品への投資はお金がかえってこなくなるリスクが高いので、その分だけ金利に”おまけ”がつく、その”おまけ”が「リスクプレミアム」です。この”おまけ”、つまり「リスクプレミアム」は、投資家が将来のリスクに対して要求する金利の上乗せ分であることを意味します。

リスクプレミアムの例

例えば、長期の国債と短期の国債に投資する場合、長期の国債の方が将来の金利の不確実性が高いのでリスクが高くなります。ゆえに、短期の国債に比べて長期の国債の方がリスク相当分だけ金利が高くなります(長期の国債の金利の方が高くなければ、投資家はリスクを取って長期の国債へ投資しません)。その金利の上乗せ分が「リスクプレミアム」です。違う言い方をすれば、リスクへの対価が「リスクプレミアム」です。

株式の場合も考え方は同様ですが、難しい言い方をすれば、リスクフリーレート(無リスク利子率・安全資産利子率)に対する株式の超過リターンが「リスクプレミアム」です。

リスクプレミアムの計算方法

株式のリスクプレミアムを算出するは、以下のような計算方法があります。

  • その株式の過去のリターンとリスクフリーレートから算出
  • 市場のコンセンサスデータから算出
  • 投資家が要求するプレミアムの推定(デマンドサイドアプローチ)
  • その株式のファンダメンタルズからプレミアムを推定(サプライサイドアプローチ)

ただし、これらの方法はどれも算出が困難であるため、一般的には株式の益利回り長期金利から算出します。

当ページのリスクプレミアムについて

当ページの米国(アメリカ)のリスクプレミアムは、S&P500種株価指数(毎週末時点の数値で計算)と、名目金利米国10年国債利回り(長期金利)から算出しています。米国のリスクプレミアムを見る場合、このリスクプレミアムを見るのが最も一般的ですので、当ページではその推移を掲載しています。

リスクプレミアムで何がわかる?見方をわかりやすく解説

リスクプレミアムは、金利対比(金利と比較して)の株式のバリュエーションを示しています。

と、少し難しい言い方になりましたが、簡単にいうと、リスクプレミアムを見れば株式が割高か割安か、買われ過ぎているのか売られ過ぎているのかがわかります。

安全資産である国債の金利(利回り)に対して、リスク資産である株式の金利(利回り)にどれだけ金利を上乗せするか、の上乗せ部分が「リスクプレミアム」ですので、リスクプレミアムの低下は、上乗せ部分の低下を意味し、株式が買われていることを示します。リスクプレミアムが下がり過ぎると、上乗せ部分が低過ぎることを意味しますので、株式が買われ過ぎているシグナルとなります。

安全資産よりリスク資産の方が金利が高くて当たり前ですので、リスクプレミアムは通常はプラス、それはバリュエーションとして真っ当なリスクプレミアムがついていることを示しますが、過去、リスクプレミアムはマイナスになったこともあります。これは通常ないことですが、株式が買われ過ぎていることを示します(その解説は以下に記載します)。

リスクプレミアムがマイナスの意味・株式のバブルを見極める!

上記の解説の通り、リスクプレミアムは通常プラスで出ますが、ITバブル期にはマイナスで推移していました。

リスクプレミアムがマイナスということは、リスク資産である株式の利回りが安全資産である国債の利回りより低い、すなわちそれだけ株式が買われ過ぎていたことを意味しますので”異常事態”と捉えられます。株式のようなリスク資産が安全資産より低い利回りでも買われていたということです。これは、つまり株式が「バブル」であったことを示します。

リスクプレミアムの水準と目安はどれくらい?

リスクプレミアムは何%だから国債が有利・株式が有利といった観点で見るものではなく、過去の傾向から水準や目安を判断するのが一般的です。過去20年でリスクプレミアムは概ね2-4%で推移しやすく、大きく上昇する時は6%程度まで突っ込むことがありました。近年は概ね3%の水準がポイントとなりやすく、3%を割ってくると株式の割高が意識されて急落リスクが高まり、暴落の前兆となりやすい傾向があります。ただし、すぐに急落が来るというものではなく、1カ月程度ラグがあるのが普通で、一旦急落があった後は、その約半年後にも大きな下落がくる傾向もあります。ただし、必ずそうなるというものではなく、あくまで傾向です。

リスクプレミアムの水準と目安は変わる!

上記の「リスクプレミアムの水準と目安」の欄でリスクプレミアムの水準の具体的な数字を書きましたが、これはあくまで過去の傾向です。水準と目安は変わると考えられます。その時々によって市場は将来のリスクに対して要求する金利の上乗せ分への見方を変えて厳しく見ることもあります。つまり、市場がリスクプレミアムをより要求することがあるのです。

それはリスクプレミアムのチャート上に現れてきます。

例えば、リスクプレミアムのボトム(底)が切り上がりながら上昇している場合です。例として、リスクプレミアムのボトムが「3.1→3.2→3.3」と切り上がっていた場合、これは市場が要求するリスクプレミアムが切り上がっていることを現わしています。この時、もしリスクプレミアムが何かのキッカケで下がって「3.1→3.2→3.3」のボトムラインを割ってきたら、以後、株式の魅力がなくなって急落リスクが高まりやすくなるので警戒しておいた方がいいでしょう。

長期金利(名目金利)の決定要因

名目金利(10年国債利回り)は、実質金利と期待インフレ率、そしてリスクプレミアムの3要素で決まるとされています。

米国の実質金利の推移はこちら

米国の実質金利の推移は、以下のページで掲載しています(わかりやすい解説付き)。

実質金利(米国)
米国の実質金利(5年・7年・10年・20年・30年実質金利)のチャートと時系列です。名目金利(長期金利)や潜在成長率、自然利子率(Rスター)、株価との比較チャート、実質金利の移動平均線も掲載。米ドルの強弱やFRBの金融緩和度合いも計れる。計算式や水準など解説付。

米国の期待インフレ率の推移はこちら

米国の期待インフレ率の推移は、以下のページで掲載しています(わかりやすい解説付き)。

期待インフレ率(BEI・米国)
米国(アメリカ)の期待インフレ率(BEI・ブレークイーブンインフレ率)のチャートと時系列です。10年期待インフレ率と5年期待インフレ率、5年先5年期待インフレ率、ミシガン大学の期待インフレ率(1年先・5年先)を掲載。長期金利と実質金利の関係や計算式も掲載。

名目金利と実質金利・期待インフレ率とリスクプレミアムの見方

名目金利は「実質金利+期待インフレ率」で説明されることが多いですが、実質金利は潜在成長率を反映するとされており、潜在成長率は経済の基礎体力なので景気の浮き沈みに影響されず、例えば米国の経済指標でいい数字が出たとしても急激に変化するものではありません(減税などで上がる場合はあります)。加えて、期待インフレ率も上がっていない状況にも関わらず、名目金利が上昇する場合があります。つまり、実質金利も期待インフレ率も上がっていないのに名目金利が上がっている状況です。

その場合、リスクプレミアムを市場は意識している可能性が高いです。米国の減税などによる財政悪化、つまり財政赤字増によるリスクプレミアムの上昇で名目金利が上昇している可能性が高いです。米国の財政の悪化を市場が織り込んで名目金利が上昇していると考えられます。これは、基本的には悪い金利上昇と考えられ、米ドルも弱くなりやすいと考えられます。ただし、それぞれ需給が影響しますので、特殊要因下(カネ余りなど)では測れないことも多く一概に言えません。

FRBの融資によるリスクプレミアムへの影響

2020年、新型コロナウィルス感染拡大で経済活動が止まったことから、FRBはバランスシートを拡大させ、企業支援策を大規模に実施。「大企業向け」「中堅企業向け」「中小企業向け」と規模に応じた対策を行いました。それぞれが数千億ドル規模の対策で、大企業向けは社債コマーシャルペーパー(CP)の買い入れ(低格付け債含む)、中堅企業向けは貸出債券の買い入れ、中小企業向けは貸出しを行った適格金融機関への融資、といった対策で、それぞれ企業にお金が入る仕組みですが、それだけ直接的に企業を支援するというのは前代未聞です。

FRBのバランスシートはこちら

FRBのバランスシートの推移は、以下のページで掲載しています(解説付き)。

FRBのバランスシート(総資産)
米国(アメリカ)のFRBのバランスシート(総資産)のチャート・グラフと時系列です(速報)。名目GDP比のチャートやFF金利・長期金利(10年国債利回り)、株価(ナスダックやS&P500)との比較チャートも掲載。バランスシート拡大・縮小局面の傾向。

FRBが信用リスクに直接介入

ここで懸念されるのが、FRBが信用リスクに直接介入しているということです。FRBが企業に融資するということは信用リスクをFRBが引き受けるということで、安全資産の金利に対してリスク資産の金利にどれだけ金利を上乗せするかの「リスクプレミアム」にFRBが直接介入していることを意味します。リスクプレミアムは企業の信用度や規模によって異なるのが通常ですが、そこにFRBが介入してコントロールするということです。市場によってリスクに対する正当な評価がされることで淘汰されるべき企業が淘汰されて経済が効率化されますが、それが阻害され市場メカニズムが崩れることが懸念されています。

日本のリスクプレミアム

日本のリスクプレミアムは、以下のページで掲載しています。

リスクプレミアム(日本)
日本のリスクプレミアムの推移(チャートと時系列)です。日経平均株価や米国のリスクプレミアムとの比較チャートも掲載。リスクプレミアムの水準や目安、過去の平均値も掲載。リスクプレミアムは株式のバリュエーションも計れる注目度が高い指標です。

チャート(米国のリスクプレミアム)

[日次] 米国のリスクプレミアムのチャート(S&P500と比較)

米国(アメリカ)のリスクプレミアムのチャート
  • Chart [S&P500 Equity Risk Premium(US)-Daily]
  • チャートは過去20年の基本レンジ2%と4%ラインに黒色の点線を引いています。
  • 米国のリスクプレミアムと米国の長期金利の比較チャートは、以下のページに掲載しています。
長期金利(米国・アメリカ)
米国(アメリカ)の長期金利のチャートと時系列です。FF金利や実質金利、リスクプレミアム、景気後退期、NYダウやナスダック、S&P500、SOX指数、NYFANG指数、ROE、ドル円、ドル指数など金利や債券、株価、株価指標、為替の比較チャート掲載。

[速報] 最新データ|米国のリスクプレミアムの時系列(historical data)

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