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スキュー指数

スキュー指数の最新のデータを速報で更新しています。

スキュー指数は、投資家の不安心理を示したボラティリティ指数の代表格です。暴落をことごとく的中させてきた歴史のある指標のため、注目度が非常に高いです。スキュー指数はディープOTMのプットオプションという暴落に備える動きに敏感に反応する指数ですので、スキュー指数を見れば投資家の異常なリスク回避行動が増えているのか減っているのかがわかります。こういった指数は他にありませんので、活用するために是非解説欄を読んでから推移を見て下さい。見方も含め詳しく解説しています。

当ページでは、CBOE公表の過去から現在のすべてのスキュー指数のデータを掲載!米国のS&P500や景気後退期、長期金利、VIX指数との比較チャートも掲載しています。スキュー指数のチャートには、過去すべてのデータから算出した警戒水準や基本レンジ、平均値も表記しています。また、リーマンショック時のスキュー指数の検証も掲載しています。株価の暴落だけでなく”大底はまだ!”のシグナルまで発し的中させてきたスキュー指数をチェックして下さい。

スキュー指数

AIによるスキュー指数の重要度評価

3.7

SKEW指数は、リスク感知のための重要な補完指標。VIX指数が短期的なボラティリティを反映するのに対し、SKEW指数は異常値への感度を示す。SKEW指数が高くVIX指数が低い場合、市場が平穏でも潜在的リスクが高い可能性を示唆する。一方、高いスキュー指数はリスクの高まりを示唆するものの、実際にどのように市場に影響するかは不透明、即座に市場が急変するわけではなく投資判断に直結しにくい面もある。また、市場参加者の中でも一般投資家よりはプロ向けの指標として認識されている点も重要度評価を押し下げる要因。

AIによる指標の重要度評価は”辛口評価”の設定になっています。見方の詳しい説明は「AIによる指標の重要度評価について」を参照。

  1. AIによるスキュー指数の重要度評価
  2. チャート(スキュー指数・長期)
    1. [月次] スキュー指数の長期チャート
    2. [月次] スキュー指数と米国の長期金利の比較チャート
  3. チャート(スキュー指数)
    1. [日次] スキュー指数のチャート
    2. [日次] スキュー指数とVIX指数の比較チャート
    3. [日次] スキュー指数とプットコールレシオ(S&P500)の比較チャート
  4. [速報] 最新データ|スキュー指数の時系列(historical data)
  5. スキュー指数とは?わかりやすく簡単に解説
    1. スキュー指数の計算式・計算方法
  6. スキューとは?その意味
    1. スキュー指数は正規分布から外れて暴落しやすいかを見る指標
  7. スキュー指数の水準と目安・レンジはどれくらい?
    1. スキュー指数は100を切ることはない
  8. 急落・暴落を予兆し的中させてきたスキュー指数!VIX指数と一緒に見よう!高水準の時は株価急落に要警戒!
  9. なぜ?株価が下がっているのにスキュー指数が下がらない?
    1. [理由1] 市場は株価の下落が”調整”と見ている
    2. [理由2] リスクが織り込み済みである
    3. [理由3] オプション市場が閑散
    4. [理由4] 下落が続くと見ている
  10. なぜ?株価が下がっているのにスキュー指数が上がる?その理由
    1. [理由1] 株価のさらなる下落を予想している
    2. [理由2] プットオプションのプレミアムが上がっている
    3. [理由3] 市場の不確実性が高まっている
    4. [理由4] ボラティリティの懸念が高まっている
  11. [さらに深堀り] スキュー指数の仕組み(ディープOTMのプットオプションに敏感に反応する)
    1. ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー(ディープOTM)とは?
  12. プットコールレシオと一緒に見て投資家のリスク回避行動を見よう!
    1. なぜ?スキュー指数が上がっているのにプット・コール・レシオが上がらない?
  13. リーマンショック時のスキュー指数を検証!
    1. リーマンショックの前に株価は既に三尊天井を形成!
    2. スキュー指数は既にリーマンショック前のトレンド転換を予見
    3. スキュー指数はリーマンショック時のさらなる暴落も予見していた
    4. リーマンショック以降、スキュー指数のレンジが切り上がった。その理由は?

チャート(スキュー指数・長期)

スキュー指数のデータ

過去最高値:180.09|過去最低値:104.09|基本レンジ:110.43~133.22|平均値:121.83

[月次] スキュー指数の長期チャート

スキュー指数の長期チャートとsp500と米国の景気後退期のチャート

[月次] スキュー指数と米国の長期金利の比較チャート

スキュー指数と米国(アメリカ)の長期金利の長期チャート
  • チャート画像クリックで拡大表示します。
  • Chart [CBOE skew index,S&P500,Recession Indicators for the U.S.-Monthly]
  • Chart [CBOE skew index,US long term interest rate-Monthly]
  • チャートは警戒水準として意識されやすいスキュー指数の140ラインと基本レンジ(標準偏差±1σ)に点線を引いています。基本レンジや平均値等は月初更新。
  • S&P500との比較チャートにしています。
  • 月次のスキュー指数のチャートは月末値、長期金利は月平均を反映しています。
  • 灰色の囲みの期間が米国の景気後退期(リセッション期)です。米国の景気後退期間の解説と推移は、景気後退期間(米国・アメリカ)のページを参照してください。
  • スキュー指数と米国の長期金利を比較した日次チャートは、米国の長期金利の以下のページで掲載しています。

チャート(スキュー指数)

[日次] スキュー指数のチャート

スキュー指数と株価(sp500)の比較チャート

[日次] スキュー指数とVIX指数の比較チャート

スキュー指数のチャート
  • Chart [CBOE skew index,S&P500]
  • Chart [CBOE skew index,VIX]
  • VIX指数の解説と推移は、以下のページで掲載しています。

[日次] スキュー指数とプットコールレシオ(S&P500)の比較チャート

スキュー指数とプットコールレシオのチャート
  • スキュー指数と一緒に見られることが多いS&P500とVIX指数、プットコールレシオの比較チャートです。見方の解説は当ページ下の解説欄を参照して下さい。チャートが見にくい場合はチャートをクリックして拡大表示して下さい。
  • スキュー指数とVIX指数の比較チャートには警戒水準として意識されやすいスキュー指数の140ラインに黒色の点線、VIX指数の20ラインにオレンジ色の点線を引いています。
  • プットコールレシオの推移と解説は、以下のページで掲載しています。

[速報] 最新データ|スキュー指数の時系列(historical data)

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スキュー指数とは?わかりやすく簡単に解説

スキュー指数(読み方:すきゅーしすう|英語:SKEW Index)は、S&P500(S&P500種株価指数)のリターンのゆがみを指数化した指標です。スキューとは「ゆがみ」を意味します。「ブラックスワン」と呼ばれる、起こりえないことが起こって、起こった時の衝撃が強い事象や「テールリスク」と呼ばれる、発生する確率は低いですが発生した場合に巨大な損失をもたらすリスクが起こる可能性を示す指標として注目度が高い指標です。スキュー指数は「ブラックスワン指数(英語:black swan index)」とも呼ばれています。スキュー指数は、日銀(日本銀行)も注目している指数として有名です。

スキュー指数の計算式・計算方法

スキュー指数は、CBOE(シカゴオプション取引所)が算出・公表している指数です。S&P500のOTM(アウト・オブ・ザ・マネー)のオプション価格から市場のリターンの歪みを指数化しています。簡単には、コールオプションボラティリティからプットオプションのボラティリティを差し引いて算出される指数ですが、スキュー指数の計算式・計算方法は複雑ですので、詳細を知りたい方はCBOE公表のこちらのPDFファイルを参照してください(英文)。

スキューとは?その意味

スキュー(skew)は「歪み」を意味します。金融市場では資産価格の変化が正規分布からズレることを”スキュー”と言って用いることが多いです。

スキュー指数は正規分布から外れて暴落しやすいかを見る指標

スキュー指数はボラティリティ指数の一つで、資産価格が正規分布から外れて急騰したり暴落したりすることを市場参加者がどのように予想しているのかを見る指標ですが、資産価格が正規分布から外れて急騰するよりむしろ暴落しやすい現象のことを”スキュー”と呼ぶことが多いです。

つまり、スキュー指数はS&P500の歪みを指数化したものですので、米国株が正規分布から外れて暴落しやすいかどうかを見る指標です。

スキュー指数の水準と目安・レンジはどれくらい?

スキュー指数は、オプション市場で大きな価格変動リスクに備える取引が増えると数値が上昇します。つまり、ブラックスワンやテールリスクが起こる可能性が高まっていると予想している投資家が増えると上昇する指数です。

スキュー指数は100がフラットの状態で、100より高ければコールオプション(買う権利)よりプットオプション(売る権利)が買われている状態でプットオプションのボラティリティが上がっていますので、ブラックスワンやテールリスクへの警戒が強まっていることを示します。通常は100から150の範囲で推移する傾向があります。スキュー指数は、英国でブレグジット(英国のEU離脱)が決定された時は153.66まで上昇しました。スキュー指数は、チャートが示すように急落を事前に示唆し、ことごとく当ててきた指標ですので注目度が高いです。

スキュー指数は現在、140を超えると警戒水準と判断することが多いです。当ページで掲載しているスキュー指数のチャートにも140ラインを表記しています。また、スキュー指数の基本レンジや平均値も算出して掲載しています。スキュー指数の基本レンジは、過去全てのスキュー指数の月末値から標準偏差±1σを算出し、スキュー指数の+1σをレンジの上限、スキュー指数の-1σをレンジの下限として掲載しています。スキュー指数の平均値は、過去全てのスキュー指数の月末値から算出しています(スキュー指数の基本レンジと平均値は月1回、月初に算出してデータ更新しています)。

スキュー指数は100を切ることはない

一方、スキュー指数が100を切ることはまずありません。オプションは急落時の保険として使われることが主の金融商品ですので、プットオプションの方が多いことが普通です。ゆえに、スキュー指数は通常は100以上で推移します。

急落・暴落を予兆し的中させてきたスキュー指数!VIX指数と一緒に見よう!高水準の時は株価急落に要警戒!

スキュー指数は、スキュー指数と同様のボラティリティ指数である「VIX指数(恐怖指数)」と一緒に見ることが多いです。スキュー指数とVIX指数は、どちらもボラティリティの高まりが見れる指数で、それぞれ投資家の不安心理が反映される指数です。

ボラティリティ指数としては、一般的にはVIX指数が有名ですが、スキュー指数も注目度が非常に高くなっています。近年では、2018年世界同時株安の暴落と2020年コロナショックの暴落をスキュー指数は的中させていますので、特に注目度が高く人気があります。ゆえに、スキュー指数とVIX指数は一緒に見られることが多く、その数値が高水準に上昇してきた際は急落への警戒が高まりやすいです。

スキュー指数は、ボラティリティの上昇への備えへの動きが高まると上昇する指数でもあります。つまり、投資家が先行きのボラティリティへの懸念を高めている場合、VIX指数とともに上昇しやすいですが、VIX指数が下がっているのにスキュー指数が上昇する場合があります。その場合は、投資家は短期的にボラティリティの低下は見ているものの、長期的には株価のさらなる下落を懸念し、その備えとしてプットオプションを買っている可能性が高いです。

また、スキュー指数は株価急落・暴落をことごとく的中させてきた指標で、株価急落・暴落前には警戒水準を突破してシグナルを出してきた指標ですが、実際の株価急落・暴落時にはスキュー指数はある程度下がっている場合が多いです。これは、投資家が株価急落・暴落前には既にプットオプションを仕込み終えているためです。株価急落・暴落の備えとして投資家はプットオプションを買いますが、買い終わって備えが十分、追加でプットオプションを買う必要がなければスキュー指数はそれ以上上がりませんので、備えの動きがピーク付けるとスキュー指数は下がりやすくなります。よって、スキュー指数が下がったから安心というわけではないので注意が必要です。

なぜ?株価が下がっているのにスキュー指数が下がらない?

スキュー指数は通常、株価(S&P500)が下がれば下がりやすい傾向がありますが、株価が下がっているのにスキュー指数が下がらない場合があります。その理由は、主に以下の4つがあります。

[理由1] 市場は株価の下落が”調整”と見ている

投資家が株価(S&P500)の下落を一時的な調整と見なしている場合、極端な下落へのリスクヘッジ需要(プットオプションの需要)が増えない可能性があります。そのため、スキュー指数が下がらないか、変化しないことがあります。

[理由2] リスクが織り込み済みである

投資家が既に多くのリスクを織り込み済みで追加のリスクが限定的である場合、株価(S&P500)が下落してもスキュー指数が下がらない場合があります。投資家が既にリスクヘッジを完了しており、新規にポジションを取る必要がないと考えられます。

[理由3] オプション市場が閑散

スキュー指数はオプション価格から算出する指標であるため、オプション市場の取引の影響を大きく受けます。株価(S&P500)が下落している際、オプション市場での取引が活発でなく閑散状態の場合、スキュー指数は動きにくくなりやすいです(あるいは極端に動く場合があります)。

[理由4] 下落が続くと見ている

投資家が株価(S&P500)の下落が続くと見込んでいる場合、既にリスクヘッジが十分行われているため、プットオプションを追加購入せず、スキュー指数が変わらない場合があります。

なぜ?株価が下がっているのにスキュー指数が上がる?その理由

スキュー指数は、特にアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のプットオプションが増加すれば上昇する指数で、株価(S&P500)が下落しているのにスキュー指数が上昇している場合、投資家が極端な株価の下落リスクに備えていることを示唆しています。

スキュー指数は通常、株価(S&P500)の上昇で上昇し、株価(S&P500)の下落で低下しやすい傾向がありますが、株価(S&P500)が下落しているのにスキュー指数が上昇する場合があります。その理由は、主に以下の4つがあります。

[理由1] 株価のさらなる下落を予想している

株価(S&P500)が下落している時、投資家が株価(S&P500)の下落を一時的ではなく、より大きな下落の前兆と見ており、さらなる株価の下落リスクを懸念していれば、より大きなリスクに対して保険をかけるためにプットオプションを購入します。この時、OTMのプットオプションが買われますので、スキュー指数が上昇します。

[理由2] プットオプションのプレミアムが上がっている

①の理由に付随することですが、投資家がさらなる株価の下落を予想している場合、リスク管理するためにプットオプションを購入し損失に備えますが、同時にプットオプションのプレミアムが推しあがりますのでスキュー指数が上昇しやすくなります。

[理由3] 市場の不確実性が高まっている

株価(S&P500)の下落が経済指標の悪化や地政学リスクの高まりといった特定のイベントやリスク要因によるものである場合、市場の不確実性が増し、極端な動きに備えるためにOTMプットオプションの需要が増えることがあります。そのため、スキュー指数が上昇しやすくなります。

[理由4] ボラティリティの懸念が高まっている

株価(S&P500)の下落でボラティリティが上昇している場合、投資家は極端な価格変動へのリスクヘッジが必要となりますので、スキュー指数を上昇させる要因となります。

[さらに深堀り] スキュー指数の仕組み(ディープOTMのプットオプションに敏感に反応する)

スキュー指数をさらに深堀りしてわかりやすく解説します。

スキュー指数は、S&P500の大きな価格変動リスクに備える取引が増えると上昇すると先述しました。つまり、暴落リスクに対するヘッジの需要を反映する指数ですが、これは、特にディープ・アウト・オブ・ザ・マネー(ディープOTM)のプットオプションに対する需要に敏感に反応するよう設計されている指数だからです。

スキュー指数はS&P500のアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のオプション価格から市場のリターンの歪みを指数化したものですが、このOTM(のプットオプション)というのは、権利行使価格が原資産の現在の市場価格よりも低いプットオプションです。例えば、S&P500が6,000ポイントで取引されている時に、権利行使価格が5,900ポイントのプットオプションはOTMとなります。

では、ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー(ディープOTM)とは何でしょうか?

ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー(ディープOTM)とは?

ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー(Deep Out-of-the-Money/Deep OTM)とは、原資産の現在の市場価格から大きく離れた価格のオプションです。例えば、S&P500が6,000ポイントで取引されている時、権利行使価格が5,000ポイントのプットオプションはディープOTMです。ディープOTMは、権利行使価格がとても低いため、より大きなな価格変動に備えるものです。利益を得るためには市場価格が大幅に下落する必要があります。現在の価格から大きく離れているため行使される可能性は低いですが、安いプレミアム(オプション価格)で取引されています。リスクは大きいものの、もし大きな市場下落が起こった場合にリターンは大きくなります。このディープOTMは暴落リスクに備える際に使用されるのが主で、保険的な役割があります。スキュー指数は、このディープOTMのプットオプションの需要の高まりに敏感に反応する指数になっているのです。

プットコールレシオと一緒に見て投資家のリスク回避行動を見よう!

スキュー指数は、スキュー指数と似た指標であるプットコールレシオと一緒に見ると、より投資家のリスク回避行動が見えやすくなります(当ページではスキュー指数とプットコールレシオの比較チャートも掲載していますのでご利用下さい)。

プットコールレシオの解説は、スキュー指数とプットコールレシオの比較チャートの欄のプットコールレシオのリンク先のページを参照して下さい。ここではその説明を割愛し、スキュー指数とプットコールレシオの見方について説明します。

なぜ?スキュー指数が上がっているのにプット・コール・レシオが上がらない?

通常、スキュー指数が上がればプットコールレシオも上昇しやすいです。それが基本形です。ですが、スキュー指数が上がっているのにプットコールレシオが上がらない場合もあります。なぜでしょうか?

先述した通り、スキュー指数はディープOTMのプットオプションに敏感に反応する指数です。一方、プットコールレシオは、プットオプションとコールオプションの全体的な取引量の比率を表す指標で、市場全体の取引量のバランスを反映しています。よって、プットオプションの一部だけ、つまりディープOTMだけが上昇したとしても、プットコールレシオ自体は必ず上昇するというものではありません(一般的なプットオプションの取引が増えればプットコールレシオは上昇します)。

つまり、スキュー指数が上がっているのにプットコールレシオが上がらない場合、ヘッジファンドや大口投資家が暴落リスクに備える動きが出ている一方、個人投資家やその他の投資家など全体的にはそれほどリスク回避の動きに出ていない、といったケースが考えられます。ただし、例えば個人投資家やその他の投資家がオプション以外の手段(先物や株式のヘッジなど)でリスクを回避している場合、プットコールレシオは上昇しませんので、その場合はプットコールレシオで判断するのは難しいです。

一つ明らかに言えることは、スキュー指数が上昇して警戒水準を超えてきた場合、異常なリスク回避行動が多く出ているということです(通常の相場ではディープOTMのプットオプションは行使される可能性が非常に低いため)。ゆえに、スキュー指数が警戒水準を超えてくれば注目されますし、これまで株価の暴落を的中させてきた実績もあるため、より注目度が高い指標となっています。

リーマンショック時のスキュー指数を検証!

2008年9月15日、米国のリーマンブラザーズ(投資銀行)の経営破綻をキッカケに「リーマンショック」と呼ばれる世界金融危機が起こりました。ここではその”リーマンショックをスキュー指数とテクニカル分析で事前に察知できたのか?”を検証してみたいと思います。

当時の流れは、リーマンショックより前に株価は既に天井をつけて下降トレンドに移行していました。そして、それより早くスキュー指数はシグナルを出して既にリスクを察知していました。

チャートを見てみましょう。

リーマンショックの時のスキュー指数と株価(S&P500)のチャート
ポイント
  • リーマンショックより前に株価(S&P500)は三尊天井をつけて下降トレンドに移行していた。
  • スキュー指数は歪みを察知。トレンド転換の前にシグナルを出し続けトレンド転換前にリスクへの備えは既に完了していた。
  • スキュー指数はリーマンショック後、さらなる暴落を予見し再度備えの動き。その後株価は下落し的中させた。その後、スキュー指数のレンジが切り上がった。

大きなポイントを列挙しました。このポイントについて解説します。

リーマンショックの前に株価は既に三尊天井を形成!

上のチャートは、スキュー指数とS&P500の2006年から2009年までの推移を抜粋したものです。リーマンショックが起こった2008年9月15日にオレンジ色の線を引いていますが、それより以前にS&P500は三尊天井を形成し、緑色の星印の箇所で三尊天井が完成して、下降トレンドに移行しています。ただし、紫色の星印の箇所で一度三尊天井のネックラインを上抜けて”だまし”が出てます。チャーチストは三尊天井完成で仕掛けた売りをここで一旦切るか、だましになるかヘッジで様子見の所ですが、すぐにネックライン下抜けのいいシグナルが出たので、再度売り仕掛け、あるいはヘッジ外しの所です。

ご覧の通り、チャーチストでリーマンショックで大損した人はいないです。既に天井をつけて下降トレンドに移行していましたし、テクニカル分析で最もメジャーな三尊天井のシグナルが出て、ネックラインの上抜けのだましも発生、ダブルでシグナルが出ていましたので、この相場で買いで入るチャーチストはいないです。緑色あるいは紫色の星印の箇所は絶好の仕掛けポイントですので、リーマンショックはチャーチストにとって大儲けできた相場です。テクニカル分析についての詳しい解説は姉妹サイト「投資戦略」の”charTrade”をご覧ください。リスク管理の仕方まで詳しく記載しています。また、当サイトのX(旧ツイッター)で実際の相場について書いています(時間がない時は書いていませんが、全てcharTradeに基づいたものですのでcharTradeで網羅的に見てもらうのがいいと思います)。

スキュー指数は既にリーマンショック前のトレンド転換を予見

まず始めに、スキュー指数は時々によって目安となる水準は変わりますので、上のチャートに表記しているスキュー指数のレンジの上限・下限等について説明します。スキュー指数の上限・下限のラインは、スキュー指数算出されてから最も古いデータである1990年から2008年までのデータの標準偏差±1σを上限・下限として表記しています。また、スキュー指数130ラインは当時の危険水準です。

それを踏まえて上のチャートを見ていただければ、リーマンショック前に株価(S&P500)が三尊天井を形成してトレンド転換する前に、スキュー指数はシグナルを出していたことがわかると思います。スキュー指数は株価暴落リスクに備える動きが高まれば上昇する指数です。リスクの備えですから「保険」です。つまり、保険をかける投資家が増えれば上昇する指数です。三尊天井前に株価が上昇しているにも関わらずスキュー指数はシグナルを出していますが、2006年から米国では住宅バブルがはじけていましたので、その歪みを察知した投資家が保険を増やしていた状況がここで読み取れると思います。

スキュー指数は投資家が保険をかけ切った後や保険の解消が出れば低下します。おそらく三尊天井前はそのどちらも出ていたと推察しますが、株価が三尊天井形成から下降トレンドに移行している間にスキュー指数は低下しているので、スキュー指数はリーマンショック前のトレンド転換は予見していた、投資家は下落の保険はかけていた、ということがわかります。また、株価が三尊天井を作っている最中のスキュー指数の動きを見る限り、株価上昇局面ではグッと上昇していますので、トレンド転換は読み切っていたように思います。

スキュー指数はリーマンショック時のさらなる暴落も予見していた

上のチャートのリーマンショック時の株価とスキュー指数の動きを見てもらうと、リーマンショック時に株価はグッと下がる一方、スキュー指数は低下しています。これは普通の動きですが、そこからいったん株価がもたつきます。チャートでは細くてわかりにくいですが、株価は小さな逆三尊をつけそうになります。そこでスキュー指数は逆に急上昇。「いや違う、底はまだだ!」といったような動きで、その後に株価はさらに下落します。これもスキュー指数は的中させています。そして、さらに大底をつける前もシグナルを出してくれてますので、スキュー指数は相場をかなり読み切っていた動きをしています。ただ、その後に株価が2009年6月にかけて大きな逆三尊に近い型を形成し、スキュー指数はここで上昇しますが、株価はその後に上昇しましたので、これはおそらく間違っていたんじゃないかなと思います。

リーマンショック以降、スキュー指数のレンジが切り上がった。その理由は?

リーマンショック前後の動きはそのような形でしたが、その後にスキュー指数はレンジの水準が切り上がりました。掲載しているスキュー指数の月次チャートを見てもらえればそれがわかりやすいですが、これは投資家のリスク意識が変わって、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のプットオプションの需要が高まったことが大きな要因と考えられます。

あるいは、リーマンショックから各国中央銀行が大規模金融緩和を開始したためバブルに警戒する動きや、アルゴリズム取引や高頻度取引(HFT)が普及し、それらはテールリスクに備えており、急な下落に備えるためのプットオプションを大量に取引することが増えたためと考えられます。一度金融ショックが起こると潜在的にテールリスクへの警戒心が高まるため、スキュー指数の水準は切り上がりやすいです。

  • 当ページは、スキュー指数の解説と過去と最新年の推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
  • 各指数・指標の解説
    スキュー指数(skew指数)とは
  • Source:CBOE(Chicago Board Options Exchange)
  • CBOE skew index historical data&chart