米国の中古住宅販売件数の概要
米国のGDPの約7割は個人消費です。その個人消費の中で住宅の割合は非常に大きく、米国の住宅動向は米国の景気と密接に関係します。米国の住宅販売は90%以上が中古住宅で、その規模は新築住宅の10倍程度であることから、米国の住宅市況の行方を見る上で中古住宅販売件数を見るのは最適です。中古住宅は既製品で原材料価格の上昇・低下の影響をほぼ受けないので、米国の消費の強さ・弱さを見ることができ、住宅動向は米国の雇用情勢や住宅ローン金利、景況感も反映されるため、米国経済の今後の強さ・弱さを見る指標としても使われます。米国の経済指標は「雇用」「消費」「住宅」の3つが重要視されます。それらを反映する中古住宅販売件数は注目度が非常に高い指標です。当ページでは、中古住宅販売件数に大きな影響を与える住宅ローン金利との比較チャートも掲載しています。
- 当ページは、米国の中古住宅販売件数の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- 各指数・指標の解説
「中古住宅販売件数とは」 - Source:全米不動産協会(NAR:National Association of Realtors)
- 季節調整済み
- 年率
- 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は上書きして掲載しています。
- U.S. Existing Home Sales historical data&chart
中古住宅販売件数とは?
中古住宅販売件数(読み方:ちゅうこじゅうたくはんばいけんすう|英語:US Existing Home Sales)とは、NAR(National Association of Realtors:全米不動産協会)が毎月公表している、米国全体の中古住宅(一戸建て・コンドミニアム・協同組合含む)の動向を示す指標です。
新築より注目される中古住宅販売動向
米国では、新築より中古住宅の販売動向が注目されます。米国の住宅販売は90%以上が中古住宅となっているためです。その規模は新築住宅の約10倍ですので、中古住宅の販売件数の伸びが米国の住宅の行方を左右します。
米国の景気指標となる中古住宅の販売件数
住宅は非常に大きな買い物です。ゆえに、その動向は米国の景気と密接に関係します。米国の雇用情勢や住宅ローン金利、景況感(センチメント)が反映されるのが住宅市況ですので、中古住宅の動向は住宅指標の中でもとりわけ注目されます。中古住宅販売件数が上昇していれば米国の景気拡大や住宅価格の上昇が見込まれ、低下していれば景気縮小(景気後退)や住宅価格の低下が見込まれます。
原材料価格の影響を受けにくい中古住宅は米国の景気を反映しやすい
中古住宅は既製品ですので、基本的に原材料価格の上昇・下落の影響を受けにくいのが特徴です。たとえ住宅価格が上昇していても消費が旺盛であれば販売件数が伸びることもあります。
中古住宅販売件数の低下は景気後退?
一方、中古住宅販売件数が低下するということは、原材料価格の上昇・下落はほぼ関係ありませんので、純粋に買い控えが起きている可能性が高まります。米国経済を支えているのは内需です。つまり消費です。消費が強ければ米国経済は強いと判断されますが、消費に陰りが出てくれば米国経済が弱くなりますので、中古住宅販売件数の低下局面は米国の景気後退が懸念されます。
リフォームで住宅価値を引き上げる米国
米国では一般的に、リフォームによる住宅価値の最大限の引き上げが積極的に行われます。専門のテレビ番組やインターネットサイトも充実しており、どこをリフォームすれば価値を最大限に引き上げられるかの情報が豊富で、戦略的に価値が引き上げられています。この強いリフォーム需要が継続している場合、中古住宅の価格は下がりにくい傾向があります。
住宅ローン金利による中古住宅販売件数への影響・水準と目安は?
住宅は主にローンで購入しますので、中古住宅販売件数は住宅ローン金利の影響を大きく受けます。
住宅ローン金利が上昇すれば中古住宅販売件数の低下要因、住宅ローン金利が低下すれば中古住宅販売件数の上昇要因となります。住宅ローン金利の目安となるのは4-5%程度です。4-5%を超えてくれば中古住宅販売件数(の低下)に影響が出やすい傾向があります。当ページでは、中古住宅販売件数と住宅ローン金利の比較チャートを掲載しています。
銀行の貸し出し態度と中古住宅販売件数の関係
中古住宅販売件数は、銀行の貸し出し態度も影響します。
銀行が住宅ローンの基準を厳しくすれば、住宅ローンの貸し出しが減るので中古住宅販売件数の低下要因となり、緩めれば中古住宅販売件数の上昇要因となります。住宅ローンの基準は、住宅ローンの延滞者が増えれば厳格化されやすくなります。
住宅の在庫は多いか?不足しているか?
中古住宅販売件数の上昇・低下は、在庫状況も大きく影響します。住宅の在庫が豊富であれば住宅価格の低下要因となり中古住宅販売件数の上昇要因となります。住宅の在庫が不足すれば住宅価格の上昇要因となり中古住宅販売件数の低下要因となります。
ケースシラー住宅価格指数と中古住宅販売件数を比較する
中古住宅販売件数が上昇した要因は住宅価格の低下によるものか、中古住宅販売件数が低下した要因は住宅価格の上昇によるものかを見る場合、中古住宅販売件数とS&Pケースシラー住宅価格指数を比較して見ることが多いです。S&Pケースシラー住宅価格指数の推移と解説は、以下のページで掲載していますので参照してください。
チャート(中古住宅販売件数)
中古住宅販売件数と住宅ローン金利のチャート(米国の景気後退期間と比較)
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- Chart[U.S. Existing Home Sales]
- 灰色の囲みの期間が米国の景気後退期間です。
- チャートは中古住宅販売件数と米国の住宅ローン金利との比較チャートにしています。チャートには、中古住宅販売件数(の低下)に影響が出やすいとされる住宅ローン金利4-5%ラインに黒色の点線を引いています。住宅ローン金利の推移とチャートは、以下のページで掲載しています(解説付き)。
中古住宅販売件数の前月比のチャート
- Chart[U.S. Existing Home Sales-MoM]
中古住宅販売件数の前年比のチャート
- Chart[U.S. Existing Home Sales-YoY]
[速報] 最新データ|中古住宅販売件数の時系列(historical data)
単位:戸
日付 | 中古住宅販売件数 (米国) | 前月比 | 前年比 |
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