[お知らせ] 「ICE半導体株指数(NYSE半導体株指数)」の掲載開始
PR

イールドスプレッド(S&P500と長期金利・10年国債利回り)

米国のイールドスプレッドの概要

イールドスプレッド(米国の株式と長期金利)

イールドスプレッドは、債券と株式を比較してどちらが割高か割安かを示した指標です。イールドスプレッドの中で最も注目されているのが、S&P500と米国10年国債のイールドスプレッドです。当ページではその推移が確認できます。-3%抜けから暴落リスクが高まる傾向があるのでチェックしておきましょう!

  • 当ページは、米国(アメリカ)のイールドスプレッド(S&P500と長期金利)の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
  • 各指数・指標の解説
    イールドスプレッドとは
  • Source:株式マーケットデータ
  • 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は改定値を上書きして掲載しています。
  • Yield spread(us):10-Year Treasury Constant Maturity Minus S&P500(SPX) earnings yield historical data&chart

イールドスプレッドとは?わかりやすく簡単に解説

イールドスプレッド(英語:Yield Spread)とは、債券と債券、あるいは債券と株式を比較して、どちらが割高か割安かを示した指標です。「イールド」とは”利回り”、「スプレッド」とは”金融取引における差”を意味するので、それぞれの利回りの差からどちらが割高か割安かを見る指標です。

イールドスプレッドで債券と株式のどちらが割高か割安かがわかります

イールドスプレッドは、例えば債券と株式で、どちらが割高か割安かを計る際に見るものです。イールドスプレッドで最も一般的によく見られているものは、長期金利(10年国債利回り)と株式益利回りの差を示したイールドスプレッドです。債券の利回りと株式の利回りを比較してどちらが割高か割安かを見る指標です。

長期金利と株式益利回りを比較したイールドスプレッドで最もよく見られて注目度が高いのは、米国の長期金利(米国10年国債利回り)と、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーし、米国株式市場全体の動向を見る際に利用される「S&P500(S&P500種株価指数)」の株式益利回りの差を示したイールドスプレッドですので、当ページではそのイールドスプレッド(米国の長期金利とS&P500の株式益利回りの差)の推移を掲載しています。

長期金利と株式益利回りを比較したイールドスプレッドは、要するに金利対比で(金利と比較して)株式が割安か割高かを計れる(株式のバリュエーションが計れる)指標で、トレーダーやファンドが非常によく用いている指標です。

イールドスプレッドの計算式

長期金利(10年国債利回り)と株式益利回りの差を示したイールドスプレッドは、以下の計算式で算出されます。

イールドスプレッド(単位:%)=長期金利-株式益利回り

イールドスプレッドは「イールドスプレッド=株式益利回り-長期金利」で算出されることもあります。利回りの差なのでどちらでもかまいませんが、当ページでは一般的な「イールドスプレッド=長期金利-株式益利回り」の値を掲載しています。

長期金利の解説

長期金利(読み方:ちょうききんり)とは、お金を貸し出す期間が1年以上の場合に適用される金利です。金利は債券の相場によって動きますので、長期金利も債券の相場によって動きます。長期金利が指標としているのは「新発10年国債」の「利回り」ですので、長期金利と言えば「新発10年国債利回り」のことを指します。ゆえに、当ページでは「米国10年国債利回り」を用いてイールドスプレッドを計算しています。

米国10年国債利回りの推移はこちら

米国10年国債利回りの推移は、以下のページで掲載しています。

米国の国債利回り(2年国債利回り・10年国債利回り・30年国債利回り)と利回り差
米国(アメリカ)の国債利回りの推移(チャートと時系列)です(速報)。2年国債利回り・10年国債利回り・30年国債利回りとその利回り差、中立金利、FF金利(FFレート)や景気後退期、株価、移動平均線との比較チャートも掲載。10年国債は長期金利の指標。

長期金利の上昇要因や下落要因は、以下の解説を参考にしてください。

株式益利回りの解説

株式益利回り(読み方:かぶしきえきりまわり)とは、「益利回り」「株式の益利回り」「株式益回り」とも呼ばれる、株価に対して1株当たり純利益がどれぐらいかを「%」で示した指標です。株価のバリュエーションを見るにはPER(株価収益率)が有名で、PERは利益に対する株価の比率で簡単なようでその解釈は難しい面がありますが、株式益利回りは、企業の利益を投資リターンの源泉と解釈するなら期待投資利回りとして考えることができます。それを国債利回りを比較して、どれだけ期待利回りを上乗せすべきかのリスクプレミアムと解釈することができますので、イールドスプレッドは有効な指標として広く知られています。

株式益利回りの計算式

株式益利回りの計算式は以下の通りです。

株式益利回り(%)=(1株当たり純利益÷株価)×100

あるいは、株式益利回りはPER(株価収益率)の逆数(1÷PER)ですので、以下の計算式でも表されます。

株式益利回り(%)=1÷PER×100

当ページのイールドスプレッドの計算式

当ページのイールドスプレッドは、米国の長期金利(米国10年国債利回り)からS&P500の株式益利回りを引いて算出しています。

イールドスプレッド=米国の長期金利-S&P500の株式益利回り

※S&P500の株式益利回りは、毎週末時点の数値で計算しています。

イールドスプレッドの上昇・低下の意味

イールドスプレッドが縮小していれば(低下していれば)、国債と比較して株式が割安な状態になっていることを示しています。株式が金利対比で割安であることを示します。逆に、イールドスプレッドが拡大していれば(上昇していれば)、国債と比較して株式が割高な状態になっていることを示しています。

イールドスプレッドの水準と目安(過去の傾向・平均はどれくらい?)

イールドスプレッドは、何%で債券が有利・不利、株式が有利・不利という観点で見るものではなく、過去の傾向から見て水準や目安は判断した方がいい指標です。

米国の長期金利とS&P500の株式益利回りのイールドスプレッドは、過去20年の傾向では概ね-2%から-4%の間で推移しやすく、大きく低下する際は-6%から-8%程度まで突っ込む傾向があります。基本レンジは「-2%から-4%」、突っ込む時は「-6%から-8%」程度と見てよさそうです。大きく上昇する時は+2%程度まで突っ込んだことがあります(ITバブル時代。以下で解説)。

イールドスプレッドは近年、概ね-3%程度の水準がポイントとなりやすく、-3%抜けから半月から1カ月後程度で株が暴落しやすい傾向があります。-3%抜け程度から株式が割高と見られ、暴落の前兆として警戒しておいた方がよい傾向があります。

イールドスプレッドが0%を超えると?株式はバブル?ITバブルとリーマンショックの水準は?

イールドスプレッドの基本レンジは-2%から-4%ですが、イールドスプレッドが上昇して0%を超えることもあります。

イールドスプレッドが0%ということは、長期金利(国債利回り)と株式の益利回りが同水準ということです。安全資産(無リスク資産)である国債とリスク資産(危険資産)である株式の利回りが同水準であることを表しています。

イールドスプレッドが0%を超えるということは、国債の利回りより株式の利回りの方が低いということです。安全資産よりリスク資産の利回りの方が低い状況ですので、理屈では説明できない水準です。この状況の際は、概ね金利の上昇とともに株価が上昇していると状況であると思いますが、金利の上昇を株価が織り込み切らずに上昇を続けている状況であると考えられます。

過去においてイールドスプレッドが0%を超えてきた場面はITバブル時代にありました。この時はイールドスプレッドが+2%まで上昇しました。

イールドスプレッドが0%を超える状況は、株式が理屈では説明できない割高な状況であることを示しますので、この状況はそう長くはもたないと判断できます。ITバブル時代は+2%台まで上昇した後にバブルが崩壊し、その後10年程度低下を続け、リーマンショックも相まって最終的に-8%台まで低下しました。

ITバブル時代にイールドスプレッドが+2%台に達した後、バブル崩壊とともに株価(S&P500)も下落しました。株価の下落は止まりませんでしたが、株価が底打ちしたのはイールドスプレッドが-3%に達した辺りです。ここでもやはりイールドスプレッドは-3%が基準になっていました。そこからイールドスプレッドは数年間-2%から-4%のレンジで推移し、それと同時に株価も上昇トレンドに移行しましたが、その後リーマンショックが起こってイールドスプレッドは-8%まで低下(株価も下落)しました。リーマンショック時に株価が底打ちしたのは、イールドスプレッドが-7%台に達した所でした。

金融相場で効果的に機能するイールドスプレッド

イールドスプレッドはどんな相場局面でも効きやすい指標か?といえば、そうではありません。イールドスプレッドがより効果的に機能しやすい相場は「金融相場」です。

金融相場は「金利が上がって株価が下がり株式益利回りが上昇する」、あるいは「金利が下がって株価が上がり株式益利回りが上昇する」といった特徴がある相場ですので、それを参考に金融相場を見分けた上でイールドスプレッドで割高・割安を見るのが効果的です。

金融相場では、金利と株式益利回りが同方向に動きますので、どちらが行き過ぎているのかが判断しやすいです。よってイールドスプレッドは効きやすい指標となります。

株式益利回りと金利の推移はこちら

S&P500の株式益利回りと金利の推移は以下のページで掲載していますので(チャートで確認できます)、是非ご利用下さい。

株式益利回り(ナスダック100・S&P500・ラッセル2000)
ナスダック100(NASDAQ100)・S&P500・ラッセル2000の株式益利回り(益回り)のチャートと時系列です(速報)。米国10年国債利回りや実質金利との比較チャートも掲載。株式益利回りは期待投資利回りですので、株価の割高・割安が判断できます。

なぜ?業績相場でイールドスプレッドが効きにくい理由

一方、業績相場ではイールドスプレッドは効きにくい指標になりやすいです。というのも、業績相場では金利と株式益利回りが逆方向に動きますので、どちらが行き過ぎているのかが判断しにくくなります。よってイールドスプレッドは判断材料とはなりにくい指標となります。

基本的に金融相場では物価が乱高下しやすく、業績相場では物価が安定していますので、物価動向も見ておいた方がいいでしょう。米国の物価動向は消費者物価指数(CPI)や個人消費支出(PCE)で確認できます。基本的にはコアCPI、PCEコアデフレータを見ます。それぞれ以下のページで掲載していますのでチェックしておきましょう。

コアCPI(米国)
米国(アメリカ)のコアCPI(コア消費者物価指数)のチャートと時系列です。過去データ全て掲載。FF金利やPPI(生産者物価指数)との比較チャートも掲載。FRBの利上げや利下げと物価の推移がわかり注目度が高い。インフレ・デフレ・ドル買い(ドル高)・ドル売り(ドル安)の解説も。
PCEコアとPCEスーパーコア(米国)
米国(アメリカ)のPCEコア(PCEコアデフレーター)とPCEスーパーコアのチャートと時系列です。コアCPIやFF金利との比較チャートも掲載。FRBがインフレ・デフレをはかる指標、過去から現在までの全てのデータで物価と利上げ・利下げの推移がわかる。

近年のイールドスプレッドは周期が約半年

イールドスプレッドは、-3%抜けあたりから株価が暴落した場合、概ねその約半年後には株価は2番底を試しに行く傾向もあります。つまり、一度株価の大きな暴落が起きると約半年後にも大きな下落が起きる傾向があります。これは、リーマンショックやチャイナショック(中国株の大暴落。中国株のバブルが引き金となった株価の大暴落)の時も同様の動きでした。もちろん、以後も必ずそうなるというものではありませんが、投資判断の参考になる傾向だと思います。

株価が上昇している時のイールドスプレッドは、どう見る?

イールドスプレッドは、違う見方をすれば、株価が上昇している局面(S&P500が上昇している局面)でも、-3%を抜いてくれば安全資産である国債と比較して割高水準になりますので、過去の傾向からそこからの株価の持続的な上昇は難しくなってきやすく、そこからはイールドスプレッドの改善がなければ株価は厳しくなってきやすいです。

イールドスプレッドが上昇してくれば、そこからの株価上昇には株式益利回りが上昇するか、長期金利が低下が必要になってきます。株式益利回りは株価に対する1株当たり純利益ですので、株式益利回りの上昇は利益の観点で企業業績の上振れ期待が必要になります。金利の上昇要因は様々ありますが、そもそも金利は「名目金利実質金利+期待インフレ率+リスクプレミアム」で決まりますので、これらが上昇する必要があります。

金利の見方(実質金利・期待インフレ率・リスクプレミアム)

金利は「名目金利=実質金利+期待インフレ率+リスクプレミアム」で決まりますので、金利の上昇は実質金利・期待インフレ率・リスクプレミアムの上昇が必要となります。実質金利は潜在成長率を反映すると言われていますので、潜在成長率の上昇、景気拡大期待からの期待インフレ率の上昇、そしてリスクプレミアムの上昇があるかを見ておく必要があります。

ただし、気を付けておきたいのは、実質金利は潜在成長率を反映すると言われていますが、潜在成長率というのは経済の基礎体力のようなもので、一時的な景気拡大・後退の循環的な景気サイクルと潜在成長率は異なります。ゆえに、直近で経済指標がいい数字だったからと言って、潜在成長率が高まるといった解釈は間違える可能性がありますので注意が必要です。例えば、減税で一時的に実質金利が上がっているという場合もあります。また、リスクプレミアムは減税や財政支出拡大で財政が悪化していれば上がりますので、こういった要因であったり、債券の買い手不在によって長期金利が上がっているのだとすれば「悪い金利の上昇」ですので、株式が割安と見れても株価の上昇が見込めなくなる可能性が高まります。

株式益利回りと長期金利と株価の関係

株式益利回りと長期金利との差が縮小する、つまり株式益利回りに対して長期金利が上昇する局面は、景気拡大、企業業績が増加するサイクルで、株価が上昇しやすい傾向があります。

イールドレシオはこちら

イールドスプレッドと似た指標で、長期金利と株式益利回りの”比率”であるイールドレシオは、以下のページで掲載しています(解説も掲載しています)。

イールドレシオ(米国の長期金利とS&P500)
イールドレシオのチャートと時系列です。米国(アメリカ)の長期金利(10年国債利回り)とS&P500の株式益利回りから算出。イールドレシオの計算式や水準、見方のわかりやすい解説も掲載。これを見ればお金の流れとリスクオン・リスクオフが測れます。

米国REIT指数のイールドスプレッドの推移はこちら

米国REIT指数と長期金利(米国10年国債利回り)のイールドスプレッドは、以下のページで掲載しています。

米国REIT指数(US REIT)
米国(アメリカ)のREIT(リート)指数のチャートと時系列です。移動平均線や分配金利回り(配当利回り)、PER、PBR、PSR、PCFR、イールドスプレッド、長期金利(10年国債利回り)との比較チャートも掲載。不動産や株価の先行指標で注目度が高い。

チャート(イールドスプレッド)

[日次] イールドスプレッドのチャート(S&P500と比較)

イールドスプレッドのチャート
  • Chart [Yield spread(us)-Daily]
  • チャートは過去20年の基本レンジ-2%と-4%ラインに黒色の点線を引いています。

[速報] 最新データ|イールドスプレッドの時系列(historical data)

WordPress Tables Plugin