中立金利の概要
中立金利は、貯蓄と投資を均衡させる名目金利です。つまり、景気を刺激も抑制もしない、景気に対して中立的な金利を意味します。FRB(連邦準備制度理事会)は金融政策で中立金利と政策金利(FFレート)の距離を調整して雇用の最大化と物価安定を図っています。中立金利は金融緩和あるいは金融引き締めを判断する金利であり、金融政策の基準となる最重要指標です。
- 当ページは、米国(アメリカ)の中立金利の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- 各指数・指標の解説
「中立金利とは(水準と計算・調べ方をわかりやすく解説)」 - Source:Federal Reserve Bank of New York
- 単位:%
- 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は改定値を上書きして掲載しています。
- 当ページでは、市場で最も注目されるジョン・ウィリアムズ現ニューヨーク連銀総裁のLaubach-Williamsモデルの自然利子率とセントルイス連銀公表の期待インフレ率から算出した中立金利と、FOMCで公表されるFOMC参加者が見ている中立金利(Longer run・ロンガーランレート)を掲載しています。
- 小数第3位を四捨五入して掲載しています。
- neutral rate of interest(us) historical data&chart
- Longer Run(FOMC Summary of Economic Projections for the Fed Funds Rate, Median) historical data&chart
中立金利とは?わかりやすく簡単に解説
中立金利(読み方:ちゅうりつきんり|英語:neutral rate of interest)とは、貯蓄と投資を均衡させる名目金利です(中立金利は名目ベースの自然利子率です)。景気を刺激も抑制もしない、景気に対して中立的な金利を指します。
と、少し難しいですが、まずは「自然利子率」についてわかる必要があります。自然利子率がわかれば、その名目ベースが中立金利ですので、まずは以下のリンク先の「自然利子率(米国)」のページの”自然利子率とは(わかりやすく簡単に解説)”の欄を読んでください。中立金利の解説を含め解説しています。また、同ページには自然利子率の推移(チャートと時系列)も掲載していますので、併せて参照してください。
自然利子率の推移と解説はこちら
中立金利の計算方法(計算式)
上記の解説のように、中立金利は「名目ベースの自然利子率」で、理論上は以下の計算式で定義されています。
期待インフレ率の推移と解説はこちら
期待インフレ率の推移と解説は、以下のページを参照してください。
中立金利と政策金利の関係(金融緩和と金融引き締めの見方)
中央銀行の金融政策は雇用の最大化と物価を安定させるために、この中立金利と政策金利の距離を調節しています。
当ページでは、以下のチャートの欄に中立金利とFRB(連邦準備制度理事会)の政策金利(FF金利・FFレート)の比較チャートを掲載していますので参考にしてください。
FRBの中立金利の中央値と推定レンジ
FRBはFOMC後に、FOMC参加者が見ている中立金利(Longer run「ロンガーランレート」と呼ばれる長期のFF金利の見通し)の中央値と推定レンジを公表しています。以下のページで掲載していますので参考にしてください。
中立金利の中央値と推定レンジの表の見方
この表は、上記のリンク先のページで掲載している表の画像です。表の下部の赤色の囲み部分が、FOMC参加者が見ている中立金利(Longer run)の中央値と推定レンジです。
このFOMC参加者が見ている中立金利の中央値と推定レンジですが、上記の表を例に説明すると、中立金利の中央値が「2.5%」となっています。この時点のFRBの物価目標(中長期的なインフレの平均値)は2%ですので、自然利子率は「0.5%」と推計していることがわかります。このFOMC参加者が見ている中立金利(Longer run)の中央値と推定レンジですが、これは名目の中立金利(Longer run)です。経済に影響を与えるのは「実質」ですので、この名目の中立金利からインフレ率を差し引いた実質中立金利(自然利子率)が重要です。
Laubach-Williamsモデルの自然利子率から算出する中立金利について
中立金利は「自然利子率+期待インフレ率」と定義されており、需要と供給が均衡するという仮想の世界を前提とした自然利子率の推計が基になっています。ゆえに、様々な手法やモデルによって推計結果が異なり、手法等についてのコンセンサスも確立されていないため、それぞれの推計結果は大きく異なることがあります。よって、中央銀行(米国の場合はFRB)はそれらの異なる推計結果の傾向と水準を見て総合的に判断しています。
このように、中立金利は基となる手法やモデルの推計値にバラツキが出てきますので、当ページで掲載しているLaubach-Williamsモデルの自然利子率から算出する中立金利もあくまで一例・目安となります。
当ページのLaubach-Williamsモデルの自然利子率から算出する中立金利は、市場でも最も注目されるLaubach-Williamsモデルの自然利子率(自然利子率の研究の第一人者であるジョン・ウィリアムズ現ニューヨーク連銀総裁が考案)と、米国の期待インフレ率を見る場合に最も一般的に見られているセントルイス連銀公表の期待インフレ率から算出される中立金利の推移を掲載しています。これは、米国の中立金利の目安を見る上で最も一般的なものです。
当ページでは、FOMC後に公表されるFOMC参加者が見ている中立金利(Longer run)も掲載していますので、比較して見ていただくことができます。
更新の停止と再開
COVID19パンデミックに関連するGDPの変動性の高まりによって、Laubach-Williamsモデルの自然利子率の推計値の定期的な更新が2020年2Qから停止されていましたが、2023年5月から定期更新が再開されました。それに伴い、中立金利の算出も再開しました。
中立金利の公表日(発表日)
米国(アメリカ)の中立金利の公表日(発表日)は四半期毎です。Laubach-Williamsモデルの自然利子率から算出する中立金利は自然利子率の公表とともに算出しますので、中立金利の公表日は自然利子率の公表日と同じになります。自然利子率の公表日は、上記で紹介した「自然利子率の推移と解説はこちら」のリンク先のページに記載しています。
チャート(中立金利)
中立金利のチャート(Laubach-Williamsモデルの自然利子率から算出)
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- Chart [neutral rate of interest(us)]
- チャートの灰色の期間が米国の景気後退期間です。景気後退期間の解説と推移は、以下のページを参照してください。
中立金利とFF金利のチャート
- Chart [neutral rate of interest(us) and federal funds rate]
- FF金利は四半期平均を反映しています。
- FF金利は米国の中央銀行にあたるFRBの政策金利です。FF金利の推移と解説は以下のページに掲載しています。
チャート(ロンガーランレート)
中立金利(ロンガーランレート)のチャート(FOMC公表分)
- FOMC後に公表されるFOMC参加者が見ている中立金利(Longer run「ロンガーランレート」と呼ばれる)の中央値のチャートです。
- ロンガーランレートはチャートのみ掲載しています。
- Chart [Longer Run(FOMC Summary of Economic Projections for the Fed Funds Rate, Median]
中立金利(ロンガーランレート)とFF金利のチャート
- Chart [Longer Run(FOMC Summary of Economic Projections for the Fed Funds Rate, Median]
[速報] 米国の中立金利の時系列(historical data)
[最新データ] 米国の中立金利
[最新データ] 米国の中立金利 (2024年8月30日公表の自然利子率から算出) | |
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日付 | 中立金利(米国) |
[前回データ] 米国の中立金利
[前回データ] 米国の中立金利 (2024年5月31日公表の自然利子率から算出) | |
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日付 | 中立金利(米国) |