タームプレミアムの概要

タームプレミアムは、期間のリスクに伴う上乗せの利回りです。タームプレミアムは長期金利の構成要素の一つで、長期金利は予想短期金利の平均とタームプレミアムに分解できます。
タームプレミアムの上昇によって長期金利が上昇している場合、株価はこれを嫌がりますので警戒しておく必要があります。株価にも大きく影響する最重要指標ですので、以下のわかりやすい解説を読んで必ずチェックしましょう。
- 当ページは、米国(アメリカ)のタームプレミアムの解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- Source:Federal Reserve Bank of New York
- NY連銀(ニューヨーク連銀)公表のタームプレミアムを掲載しています。
- 速報値を掲載し、修正があった場合は修正値を上書きして掲載しています。
- 単位:%
- ACMモデル
- Term Premium(us) historical data&chart
タームプレミアムとは?その意味
タームプレミアム(英語:Term Premium)とは、期間(ターム)のリスクに伴う報酬(プレミアム)です。日本語では「期間プレミアム」と訳され、タームリスク(期間のリスク)に伴う上乗せの利回りを意味します。タームプレミアムは、リスクプレミアムの一種です。
リスクプレミアムの推移はこちら
リスクプレミアムの解説と推移(チャートと時系列)は、以下のページで掲載しています。

タームプレミアムで何がわかる?わかりやすく簡単に解説
例えば長期債(長期の債券)を保有する場合、保有する期間が長いので保有リスクが高くなります。リスクが高い分、利回りが高くなければ投資家は魅力を感じませんので、保有期間分のリスクに伴う利回りが上乗せされます。それがタームプレミアムです。
長期債を購入する場合と、長期債と同じ期間だけ短期債を連続して購入する場合を比べると、長期債を保有した方が短期債を連続して購入するよりも価格の変動リスクや流動性リスクなどのリスクが高くなりますので、その分の利回りが上乗せされます。その上乗せ分がタームプレミアムです。購入する長期債の保有期間リスクに伴う上乗せ利回りです。違う言い方をすれば、長期のタームリスクを取る対価がタームプレミアムです。
タームプレミアムはプラスが普通
タームプレミアムはプラスであることが普通です。長期のタームリスクを取る対価がタームプレミアムですので、期間の長い債券になるほど上乗せ利回りが高くなるのが普通だからです。
タームプレミアムのマイナスは何を意味する?
タームプレミアムはマイナスになることがあります。期間の長い債券を買うのですから、それだけリスクを取る、リスクを取るのですからそれだけのリターンがあって当然です。ゆえに、タームプレミアムはプラスが当たり前で、マイナスは「異常」を意味します。
タームプレミアムがマイナスということは、どういう意味なのでしょうか?
タームプレミアムがマイナスということは「リスクを取ればリターンがマイナスになる」ということです。リスクを取っているのにリターンがマイナスになる状態ですので「異常」です。
なぜマイナスになるのか?その原因
タームプレミアムは何故マイナスになるのでしょうか?
米国のタームプレミアムは米国債(米国の国債)への需給が影響しますので、米国債の購入が集中的に増えればマイナスになることがあります。これまで、タームプレミアムがマイナスとなった大きな要因は量的緩和(QE)です。量的緩和によるカネ余りによって資金が国債に集まった時にタームプレミアムがマイナスになりました。
タームプレイミアムと長期金利の関係
タームプレミアムは、長期金利の構成要素とされています。「予想短期金利(投資家が予想する将来の短期金利)の平均(予想平均短期金利ともいう)」と「タームプレミアム」が長期金利の構成要素とされています。予想短期金利は「期待短期金利」とも呼ばれています。
つまり、長期金利は、予想短期金利の平均とタームプレミアムに分解できるということです。短期金利は中央銀行(米国の場合はFRB)が政策金利によって誘導していますので、予想短期金利は「予想政策金利」あるいは「期待政策金利」とも呼ばれています。
長期金利の構成要素の解説は、各中央銀行がレポートで公表していますので、詳しく知りたい方はそちらを参照してください(日本銀行も公表しています)。
予想短期金利の推移はこちら
NY連銀が公表している予想短期金利の平均の推移は、以下のページで掲載しています。

タームプレミアムの上昇要因・下落要因
タームプレミアムは、米国債の買い手が減れば上がり、買い手が増えれば下がります。つまり、米国債の需給が影響します。
FRBの利上げ・利下げ・量的緩和(QE)とタームプレミアムの需給
タームプレミアムは米国債の需給で上下しますが、その大きな要因となりやすいのがFRBの政策金利引き上げ(利上げ)、政策金利引き下げ(利下げ)、量的緩和(QE)などです。それらへの期待によって米国債への需要が高まればタームプレミアムは低下、逆であれば上昇します。もちろん、その他の要因による米国債への需給によっても上下します。
金利は経済を反映する?しない?
一般的に金利の上昇・低下で米国経済の先行きを測ることが多いですが、米国債の需給関係を表すタームプレミアムによって金利は上昇・低下しますので、金利の上昇・低下だけで単純に米国経済の先行きは測ることはできません。
金融緩和・金融引き締めとタームプレミアムの関係
中央銀行が金融緩和を行えば(米国債を買えば)タームプレミアムを低下、あるいはタームプレミアムの上昇を抑え込むことができます。一方、タームプレミアムの上昇は金融環境が引き締まっている(金融引き締め)ことを意味します。タームプレミアムは国債の買い手が減れば上昇します。つまり、FRBが米国債の購入を減額すれば上昇します。タームプレミアムの上昇によって長期金利(名目金利)が上昇している場合、株価はこれを嫌がりますので警戒しておく必要があります。
タームプレミアムの目安
米国債(10年物)のタームプレミアムの目安となるのは、米国の10年物価連動国債利回り(インフレ連動国債利回り)とされています。当ページのチャートはタームプレミアムと10年物価連動国債利回りの比較チャートを掲載しています。
米国の10年物価連動国債利回りの推移はこちら
米国の10年物価連動国債利回り(インフレ連動国債利回り)の推移は、以下のページで掲載しています(解説含む)。10年物価連動国債利回りの日次データも掲載しています。

タームプレミアムの水準
タームプレミアムの目安となるのは米国の10年物価連動国債利回りですので、タームプレミアムがそれより高い水準か低い水準かを見る必要があります。また、過去のタームプレミアムの水準と比較して高いか低いかも見る必要があります。
例えば、タームプレミアムが低い水準の場合、タームプレミアムは国債の需給によって上下しますので、タームプレミアムが跳ね上がる可能性が出てきます。その場合、長期債の債券価格が急激に下がる可能性があり、そうなると他資産へ大きな影響が出ると考えられます。株価にとっては急落のリスクが高まるため警戒が必要です。
当ページのタームプレミアムについて(NY連銀公表)
当ページで掲載しているタームプレミアムは、米国の金融政策の実務を取り仕切っているNY連銀が公表しているタームプレミアムです。米国のタームプレミアムを見る場合は、通常これを見ます。
NY連銀公表のこのタームプレミアムは、NY連銀のエコノミストであるTobias Adrian、Richard Crump、Emanuel Moenchが5要素の期間構造モデル(ACMモデル)に基づいて算出している推定値です。その分析方法はNY連銀のホームページで公表されていますので、詳しく知りたい方はそちらを参照してください。
タームプレミアムを見る場合の注意点
NY連銀公表のタームプレミアムおよび予想短期金利は、上記の解説の通りACMモデルに基づいた推定値であり、タームプレミアムと予想短期金利で構成される長期金利は、実際の長期金利とは異なります。ACMモデルにおける適合水準ということで、この適合水準(推定値)より高い水準か低い水準かという視点で見るものです。
チャート(タームプレミアム)
タームプレミアムと10年物価連動国債利回り(インフレ連動国債利回り)のチャート

- 拡大表示はこちら
- 「タームプレミアム(10年)」の月次データを掲載しています。
- タームプレミアムは、期間構造モデル(ACMモデル)に基づいた推定値です。これは月に1度の頻度で再推定され、過去の数値は修正される可能性があります。当ページでは修正値を上書きして掲載していますので、常に最新のデータに更新されています。
- チャートは米国の10年物価連動国債利回り(インフレ連動国債利回り)との比較チャートにしています(10年物価連動国債利回りは2003年からのデータを掲載)。米国の10年物価連動国債利回りは月末終値を反映しています。
- Chart [Term Premium(us)]
- チャートの灰色の期間が米国の景気後退期間です。景気後退期間の解説と推移は、以下のページを参照してください。

現在のタームプレミアムの値・速報(リアルタイム)
2023年5月31日現在(最新の日次データ) |
---|
-0.6147 |
時系列(historical data)
日付 | タームプレミアム |
---|---|
2023.04.28 | -0.666871 |
2023.03.31 | -0.657967 |
2023.02.28 | -0.425284 |
2023.01.31 | -0.726983 |
2022.12.30 | -0.511476 |
2022.11.30 | -0.679570 |
2022.10.31 | -0.139517 |
2022.09.30 | -0.450093 |
2022.08.31 | -0.689511 |
2022.07.29 | -0.803689 |
2022.06.30 | -0.278649 |
2022.05.31 | -0.322505 |
2022.04.29 | -0.331724 |
2022.03.31 | -0.794646 |
2022.02.28 | -0.723487 |
2022.01.31 | -0.589099 |
2021.12.31 | -0.608143 |
2021.11.30 | -0.650884 |
2021.10.29 | -0.410310 |
2021.09.30 | -0.240631 |
2021.08.31 | -0.413510 |
2021.07.30 | -0.417269 |
2021.06.30 | -0.199333 |
2021.05.28 | 0.204346 |
2021.04.30 | 0.232389 |
2021.03.31 | 0.363950 |
2021.02.26 | -0.037042 |
2021.01.29 | -0.452418 |
2020.12.31 | -0.731028 |
2020.11.30 | -0.885902 |
2020.10.30 | -0.833539 |
2020.09.30 | -1.093191 |
2020.08.31 | -1.026834 |
2020.07.31 | -1.286909 |
2020.06.30 | -1.143812 |
2020.05.29 | -1.166476 |
2020.04.30 | -1.211169 |
2020.03.31 | -1.117826 |
2020.02.28 | -1.202925 |
2020.01.31 | -1.041892 |
2019.12.31 | -0.712381 |
2019.11.29 | -0.933029 |
2019.10.31 | -0.974117 |
2019.09.30 | -1.080085 |
2019.08.30 | -1.210756 |
2019.07.31 | -0.855441 |
2019.06.28 | -0.746178 |
2019.05.31 | -0.749990 |
2019.04.30 | -0.495776 |
2019.03.29 | -0.646669 |
2019.02.28 | -0.458759 |
2019.01.31 | -0.529317 |
2018.12.31 | -0.470468 |
2018.11.30 | -0.318565 |
2018.10.31 | -0.164095 |
2018.09.28 | -0.290675 |
2018.08.31 | -0.396837 |
2018.07.31 | -0.314995 |
2018.06.29 | -0.324990 |
2018.05.31 | -0.358997 |
2018.04.30 | -0.287561 |
2018.03.29 | -0.351570 |
2018.02.28 | -0.149642 |
2018.01.31 | -0.287465 |
2017.12.29 | -0.413501 |
2017.11.30 | -0.295636 |
2017.10.31 | -0.203177 |
2017.09.29 | -0.152550 |
2017.08.31 | -0.265633 |
2017.07.31 | -0.066175 |
2017.06.30 | -0.109946 |
2017.05.31 | -0.145101 |
2017.04.28 | -0.028886 |
2017.03.31 | 0.054163 |
2017.02.28 | 0.072787 |
2017.01.31 | 0.233860 |
2016.12.30 | 0.241171 |
2016.11.30 | 0.190594 |
2016.10.31 | -0.217549 |
2016.09.30 | -0.462712 |
2016.08.31 | -0.557608 |
2016.07.29 | -0.554268 |
2016.06.30 | -0.451868 |
2016.05.31 | -0.227950 |
2016.04.29 | -0.126738 |
2016.03.31 | -0.109169 |
2016.02.29 | -0.184706 |
2016.01.29 | 0.039108 |
2015.12.31 | 0.167783 |
2015.11.30 | 0.187968 |
2015.10.30 | 0.239494 |
2015.09.30 | 0.261479 |
2015.08.31 | 0.321014 |
2015.07.31 | 0.305834 |
2015.06.30 | 0.543598 |
2015.05.29 | 0.305543 |
2015.04.30 | 0.204845 |
2015.03.31 | 0.023161 |
2015.02.27 | -0.000557 |
2015.01.30 | -0.206595 |
2014.12.31 | 0.095752 |
2014.11.28 | 0.328529 |
2014.10.31 | 0.538523 |
2014.09.30 | 0.622450 |
2014.08.29 | 0.496381 |
2014.07.31 | 0.765518 |
2014.06.30 | 0.919726 |
2014.05.30 | 0.931755 |
2014.04.30 | 1.137221 |
2014.03.31 | 1.204354 |
2014.02.28 | 1.393319 |
2014.01.31 | 1.459893 |
2013.12.31 | 1.919189 |
2013.11.29 | 1.833662 |
2013.10.31 | 1.492766 |
2013.09.30 | 1.527805 |
2013.08.30 | 1.532617 |
2013.07.31 | 1.489400 |
2013.06.28 | 1.227427 |
2013.05.31 | 0.938737 |
2013.04.30 | 0.402116 |
2013.03.28 | 0.626446 |
2013.02.28 | 0.687428 |
2013.01.31 | 0.799970 |
2012.12.31 | 0.463076 |
2012.11.30 | 0.251507 |
2012.10.31 | 0.339155 |
2012.09.28 | 0.319528 |
2012.08.31 | 0.221918 |
2012.07.31 | 0.124863 |
2012.06.29 | 0.226025 |
2012.05.31 | 0.139336 |
2012.04.30 | 0.749319 |
2012.03.30 | 1.075273 |
2012.02.29 | 0.745616 |
2012.01.31 | 0.656758 |
2011.12.30 | 0.661398 |
2011.11.30 | 0.959088 |
2011.10.31 | 1.107950 |
2011.09.30 | 0.713306 |
2011.08.31 | 1.329463 |
2011.07.29 | 2.047334 |
2011.06.30 | 2.347840 |
2011.05.31 | 2.143280 |
2011.04.29 | 2.288284 |
2011.03.31 | 2.184613 |
2011.02.28 | 2.212052 |
2011.01.31 | 2.475712 |
2010.12.31 | 2.195427 |
2010.11.30 | 1.889911 |
2010.10.29 | 1.851886 |
2010.09.30 | 1.526119 |
2010.08.31 | 1.326138 |
2010.07.30 | 1.969743 |
2010.06.30 | 1.843482 |
2010.05.28 | 2.101187 |
2010.04.30 | 2.374417 |
2010.03.31 | 2.579764 |
2010.02.26 | 2.620212 |
2010.01.29 | 2.577063 |