
S&P500構成銘柄の自社株買いの金額の最新データを速報で掲載しています(S&P公表の今後の見通しも掲載)。低金利になると企業が社債の発行を増やしてその資金で自社株買いをして株価が上がった所でストックオプションで売り逃げることが多くなる傾向があります。

AIによるS&P500の自社株買い額の重要度評価
自社株買いは、株主還元の重要な手段であり、S&P500全体の買い戻し額は企業の収益力と株主価値へのコミットメントを示す。特に、買い戻し額が多い場合、市場全体の資金循環を促進する。自社株買いは株式の需給に影響を与えるため、株価を押し上げる効果がある。1株当たり利益(EPS)を増加させることで、株式の価値を向上させ、投資家心理にプラスの影響を与える。自社株買い額が増加する背景には、企業が成長機会を見つけられない場合や、余剰資金を抱えている状況がある。これにより、米国経済全体の投資環境や企業の収益構造を把握できる。機関投資家やアナリストは、自社株買いを収益成長が鈍化している場合の一時的なテクニカルサポートと見る傾向があり、企業の実態を見極める材料として重要視している。一方、自社株買いを過度に実施する企業は、財務健全性を犠牲にして株価を支える場合がある。借入を増やして買い戻しを行う場合は、将来的な財務リスクが増加する。景気低迷時に自社株買いが減少すると、市場全体の下落圧力を強める可能性がある。
AIによる指標の重要度評価は”辛口評価”の設定になっています。見方の詳しい説明は「AIによる指標の重要度評価について」を参照。
チャート(S&P500の自社株買い額)
- チャートは2000年12月31日分から掲載。
- S&P500との比較チャートにしています(四半期ごと月末終値)。
- Chart [S&P500 buybacks-Quartely]
2024年第3四半期の自社株買い額の概要
情報技術の支出は19.3%増加したが、医療と通信サービスはそれぞれ26.2%と23.6%支出を減らした。純自社株買い税1%により2024年第3四半期の営業利益は0.42%減少し、GAAPは0.48%減少した。
今後の自社株買い額の予想(今後の見通し)
2023年に減少した後、企業は自社株買いの支出を増やしましたが、2024年の最初の3四半期はドルの範囲にとどまりました。これは株価が大幅に上昇する中でのことで、その結果、購入された株式数は減少し、EPSの上昇も少なくなっています。さらに、大型株は年初来で30%近く上昇しており、企業が自社株買い予算のこれほどの増加に対応することは困難であり、特に3分の2が自社株買いに加えて配当を支払っている場合はなおさらです。しかし、株価が上昇し、企業が従業員のオプションに必要な銘柄を備蓄していること、そして2025年の自社株買い制限や1%の自社株買い税の引き上げに関する不確実性がなくなることを前に、2024年第4四半期の自社株買いはこれまでのところ増加しているようです。
1%の税金は管理可能な費用であり、現時点では自社株買い全体には影響を及ぼしていない。しかし、当初の1%の自社株買い税は超党派の支持を得て魅力的な現金創出手段であり続けていることから、課税対象となる自社株買いの種類をいくらか引き上げるか、または変更する可能性は、米国の予算交渉が始まると引き続き検討されるだろう。現在の企業のコストに対する敏感さを考えると、自社株買い税率2%~2.5%は自社株買いと、株価上昇によりすでに低い水準にある株式数削減によるEPSへの影響の両方に影響を及ぼすとみられている。増税により、支出の一部は自社株買いから配当にシフトする可能性がある。しかし、配当は長期的な純粋なキャッシュフロー項目であり、企業予算に組み込む必要があるため、シフトはドル単位で行われることはないだろう。
[速報] 最新データ|S&P500の自社株買い額の時系列(historical data)
- 単位:$U.S.Billions(10億米ドル)
日付 | 自社株買い額 (S&P500) | 前期比 |
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自社株買いとは?わかりやすく簡単に解説
自社株買い(読み方:じしゃかぶがい)とは、企業がすでに発行している自社の株式を買うことです。自社株買いをした株式は、企業が金庫株として保有したり消却(自社株消却)することもあります。消却した場合は、買い集めた株数が減少することになります。
自社株買いが実施されるとどうなる?
自社株買いが実施されると、
- 発行済株式数が減少してEPS(1株当たり利益)が上昇
- 株主へ支払う配当総額が減少
- 需給がよくなって株価が上昇しやすくなる
- 株主資本が減少して株主資本比率が低下
- ROE(自己資本利益率)が上昇しやすくなる
自社株買いは理論上、株価に中立と言われていますが、自社の株価下落の対応策としても行われますし、買収時の株式交換に備えるために行われたりします。
金利と社債・自社株買い・ストックオプションの関係
当ページで掲載している自社株買い額(S&P500)の推移を見てもらうと、2022年まで増加していたことがわかると思います。
これは低金利で企業が社債の発行を増やし、その資金で自社株買いを行い、株価を吊り上げてストックオプションで売り逃げることが多くなっていたためです。借金をしてでも自社株買いを行い企業債務も膨張していることから、金利が上昇すれば危ないと見れます。
自社株買いの規制
現在、米国では企業が利益を賃上げでなく自社株買いに使うと株式を持つ富裕層の資産を増やすことに繋がり、格差拡大を招くことから自社株買いの規制導入が提唱されています。一方で、企業は規制強化を見込んで自社株買いを前倒しで行いますので高水準の自社株買いは続くとの見方が多いです。
- 当ページは、S&P500構成銘柄の自社株買い額の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- 各指数・指標の解説
「自社株買いとは」
「S&P500とは(S&P500種株価指数)」 - Source:S&P Global
- S&P500 buybacks historical data&chart