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CIE(共通インフレ期待指数)

共通インフレ期待指数の概要

共通インフレ期待指数(CIE)

CIE(共通インフレ期待指数)の最新データを速報で掲載しています。

市場が最もよく見ている期待インフレ率(BEI)は、原油価格に連動する傾向がかなり強いです。これは本当の期待インフレ率なのか?実際は違うのではないか?そこでFRBは独自に期待インフレ率の指標を開発しました。それが当ページで掲載している「CIE(共通インフレ期待指数)」です。

  • 当ページは、FRBが算出・公表しているCIE(共通インフレ期待指数)の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
  • Source:Board of Governors of the Federal Reserve System
  • 各四半期(1月、4月、7月、10月)の第3金曜日(米東部時間)公表予定
    ただし、この日がFOMC直前の金曜日にあたる場合は、FOMC後の最初の金曜日に変更となります。
  • 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は改定値を上書きして掲載しています。
  • CIEは実験的な研究シリーズですので、算出・公表が中止される可能性があります。
  • CIE(Common Inflation Expectations) historical data&chart

共通インフレ期待指数とは?

共通インフレ期待指数(CIE:Common Inflation Expectations:読み方:きょうつういんふれきたいしすう)とは、「一般インフレ期待」とも呼ばれる、FRB(連邦準備制度理事会)が2020年9月から公表を開始したインフレ期待を示す指標です。共通インフレ期待指数は、ミシガン大学調査やコンファレンスボード調査、BEI(ブレークイーブンインフレ率)など8系列からなる21の指標を一定の手法(動的因子モデル)を用いて合成されて算出されている指数です。

21の指標は、家計や企業、金融市場の参加者、専門家(経済学者やアナリストなど)のインフレ期待を示す指標で構成されているため、共通インフレ期待指数は家計や企業、市場参加者、専門家の短期と長期のインフレ期待を含む指標となっています。この場合の「短期」というのは通常は1年先の予測、「長期」は5年から10年の一定期間となっています。共通インフレ期待指数は、具体的には以下のインフレ期待指標が用いられています。

共通インフレ期待指数のインフレ期待指標のリスト

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指標関連するインフレの概念予測期間
Blue Chip survey消費者物価指数(CPI)1年先;長い期間(7-11年先)
Conference Board survey一般的な価格1年先
Consensus EconomicsCPI6年から10年先
TIPSCPI5年;10年;10年、10年先;5年、5年先
LivingstonCPI1年先;10年先
Michigan survey一般的な価格次の12か月;次の5年から10年
Michigan survey (25,75 percentile)一般的な価格次の5年から10年
Survey of Professional Forecasters (SPF)CPI1年先;6年から10年先、次の10年
Survey of Professional Forecasters (SPF)個人消費支出(PCE)1年先;6年から10年先、次の10年
Survey of Professional Forecasters (SPF)コアPCE1年先
インフレ期待指標の一覧

これらの様々な指標を含めることで、経済全体にわたるインフレ期待の幅広い変化に対応する指標になっています。共通インフレ期待指数の算出手法は複雑ですが、簡単にいうと21の指標を加重平均した指数となっています。

期待インフレ率と共通インフレ期待指数の違い

一般的によく見られている期待インフレ率は、市場参加者が予測する将来の物価上昇率です。期待インフレ率を示す指標としてBEI(ブレークイーブンインフレ率)があり、期待インフレ率と言えばこれを見るのが通常ですが、これは物価連動国債利付国債の金利差から市場が予測している将来の物価上昇率です。つまり「債券市場が見る物価上昇率」が期待インフレ率です。

期待インフレ率の解説と推移は、以下のページで掲載しています。

期待インフレ率(BEI・米国)
米国(アメリカ)の期待インフレ率(BEI・ブレークイーブンインフレ率)のチャートと時系列です。10年期待インフレ率と5年期待インフレ率、5年先5年期待インフレ率、ミシガン大学の期待インフレ率(1年先・5年先)を掲載。長期金利と実質金利の関係や計算式も掲載。

共通インフレ期待指数と期待インフレ率の特徴・動きの違いをわかりやすく解説

共通インフレ期待指数と期待インフレ率は、長い目で見れば相関する傾向がありますが、そこには動き方の違いがあります。期待インフレ率の方が短期的な動きが大きくなる傾向があります。

期待インフレ率は、原油価格地政学リスクなどの極端な一時的なイベントに振らされやすい傾向があります。一方、共通インフレ期待指数は、長期的なインフレ期待の変化を研究することに焦点が充てられた指数で、他の指標と連動する傾向がある指標についてはウェイト付けされて算出されており、長期のインフレ期待のベースライン指標にPCE(10年先)を用いているため、原油価格や一時的なイベントに敏感に反応しない指数となっています。

ミシガン大学消費者調査とTIPS・SPFの比較

共通インフレ期待指数とミシガン大学消費者物価指数と期待インフレ率のチャート

参考までに、FRBが公表している各インフレ期待指標の比較チャートを載せておきます。「Michigan survey」というのはミシガン大学の消費者物価調査、「TIPS」というのは物価連動国債(インフレ連動国債)、「SPF」というのはコアPCEのパーソナルフォーキャスターズの短期調査です。SPFは短期と長期が示されています。長期のSPFは、他の長期指標とは異なる経路で推移していることがわかります。SPFもミシガンもTIPSも、過去10年間で低下傾向ですが、SPFは上下あったものの2%程度でほぼ横ばい。ミシガンは長期にわたる低下を示していますが、TIPSは石油価格の下落に合わせて劇的に低下し、その後回復する経路をたどっています。共通インフレ期待指数は、長期的なインフレ期待の変化を研究することに焦点を当て、金融政策によって直接固定され、石油価格の動きや9.11などの極端なイベントなどの一時的な要因にあまり敏感にならないように、SPFの10年先のPCEインフレ予想を投影しています。つまり、長期インフレ期待のベースライン指標として、SPFの10年先のPCEインフレ期待を選択しています。これはプロの予測者のインフレ期待が家計のインフレ期待よりも正確である可能性があるためです。

共通インフレ期待指数の問題点

FRBは、全体として共通インフレ期待指数は長期的なインフレ期待の指標の一般的な動向を上手く捉えられているとしています。ただし、関連する機能のすべては捉えることはできないとし、短期のインフレ期待の指標は長期のインフレ期待指標とは異なる動きをする傾向があり、短期と長期の間の挙動の違いは捉えていないとしています。また、長期のインフレ期待指標は、それぞれ低下するタイミングやパターンが異なるため、将来予測の信頼性は低くなる可能性があるとしています。

2022年4月の変更点

共通インフレ期待指数は2022年4月に以下の追加・削除が行われました。

  • CIEの計算に使用されるデータセットに、ニューヨーク連邦準備銀行の消費者期待調査からの1年先と3年先の測定値を追加。
  • ミシガン大学の消費者予想調査から、今後12か月間のインフレ予想の25パーセンタイルと75パーセンタイルを追加。
  • TIPSから導き出された今後5年間のBEI(ブレークイーブンインフレ率)の指標を削除。
  • 調査日から12か月後の月までの期間の成長率に対応するように、Livingston Surveyの1年先の測定値を再定義。

これにより、CIEは21の指標から24の指標のデータから算出されるようになりました。より消費者目線にウェイト付けされている指数に変更されています。

チャート(共通インフレ期待指数)

[四半期] 共通インフレ期待指数(CIE)のチャート

共通インフレ期待指数(CIE)のチャート
  • チャート画像クリックで拡大表示します。
  • Chart [CIE(Common Inflation Expectations) Index-Quartely]

[速報] 最新データ|CIE(共通インフレ期待指数)の時系列(historical data)

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