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悲惨指数(ミザリーインデックス)

悲惨指数の概要

悲惨指数

悲惨指数は、インフレ率と失業率から算出される国民の経済的な悲惨度合いを測る指標です。10%を超えると経済政策への不満が高まり、20%を超えると時の政権のリスク要因になると見られています。スタグフレーションを測る指標としても用いられています。悲惨指数は米大統領選を読む指標としても認知されているため、当ページでは歴代の米大統領の悲惨指数の表も掲載しています。

  • 当ページは、米国(アメリカ)の悲惨指数の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
  • Source:労働省労働統計局(BLS:U.S Bureau of Labor Statistics),株式マーケットデータ
  • 単位:%
  • 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は上書きして掲載しています
  • misery index(us) historical data&chart

悲惨指数とは?

悲惨指数(読み方:ひさんしすう|英語:misery index)とは、ミザリーインデックス(ミザリー指数)とも呼ばれる、1960年代後半に米国(アメリカ)の経済学者のアーサー・オークン氏(Arthur M. Okun)が考案したインフレ率と失業率を合計した国民の経済的な悲惨さを数値化した指数です。つまり、国民の生活困窮度を示す指数です。国民が実感しやすい物価と失業率の両方を考慮して、生活実感を数値化しています。通常は消費者物価指数(CPI)の前年比の上昇率と失業率を合計して算出されます。

消費者物価指数(CPI)の推移はこちら

米国の消費者物価指数の解説と推移は、以下のページで掲載しています。

消費者物価指数(CPI・米国)
米国の消費者物価指数(CPI)のチャートと時系列です。過去データ全て掲載。住居費・帰属家賃・賃貸料のCPIの推移も掲載。FRBの金融政策に影響するため注目度が非常に高い。インフレ・デフレ・ドル買い(ドル高)・ドル売り(ドル安)、原油との関係の解説も。

失業率の推移はこちら

米国の失業率の解説と推移は、以下のページで掲載しています。

失業率(米国)
米国の失業率のチャートと時系列です(過去から現在まで)。失業率の先行指標の貸出態度指数や景気後退期(リセッション)、FF金利(政策金利)との比較チャートを掲載。政治やFRBの金融政策を左右するため注目度が非常に高い。水準や完全雇用の目安・計算式・GDPとの相関性など解説

悲惨指数の計算式

悲惨指数の一般的な計算式は以下の通りです。

悲惨指数=消費者物価の上昇率(前年比)+失業率

悲惨指数のシグナルの水準はどれくらい?

悲惨指数はインフレ率や失業率が上昇すれば上昇する指数で、その数値が高いほど国民の経済的な悲惨度合いが高いことを示します。10%を超えると国民の間で経済政策への不満が高まってくるとされています。20%を超えると時の政権のリスク要因になるとされています。悲惨指数は消費者マインドと逆相関する傾向があります。

悲惨指数と米大統領選の関係

2000年以前、悲惨指数はアメリカの大統領選を読む確度が高い指標として重宝され、「悲惨指数が高ければ現職の大統領は再選しない」というアノマリーが広く知られていました。実際、ジミー・カーター大統領(Jimmy Carter|1977年1月20日から1981年1月20日|民主党)や、ジョージ・H・W・ブッシュ(George Herbert Walker Bush|1989年1月20日から1993年1月20日|共和党)はその通りの結果となりました。ただ、2000年以降はインフレが高くなりにくくなったため注目度は下がりましたが、インフレ率が上がった近年、注目されています。

以下に歴代の米大統領の悲惨指数のデータを表にして掲載していますが、悲惨指数が高い米大統領は落選しやすい傾向があります。ただ、トランプ大統領は歴代の米大統領の中でも悲惨指数が低い大統領でしたが(歴代2位の低さ)落選しました。この時は新型コロナの影響が大きかったと考えられます。

歴代の米大統領と悲惨指数のデータ一覧

米大統領当落在任期間就任時の悲惨指数終了時の悲惨指数変化平均値
Richard M Nixon
(リチャード・M・ニクソン)
辞任1969-01 – 1974-077.8017.019.2110.57
James E Carter, Jr.
(ジェームス・E・カーター・ジュニア)
落選1977-01 – 1980-1212.7219.727.0016.26
Dwight D Eisenhower
(ドワイト・D・アイゼンハワー)
再選1953-01 – 1960-123.287.964.686.26
Lyndon B Johnson
(リンドン・B・ジョンソン)
再選1963-11 – 1968-127.028.121.106.77
Donald J Trump
(ドナルド・J・トランプ)
落選2017-01 – 2020-127.308.060.766.91
George H.W. Bush
(ジョージ・H・W・ブッシュ)
落選1989-01 – 1992-1210.0710.300.2310.68
George W Bush
(ジョージ・W・ブッシュ)
再選2001-01 – 2008-127.937.39-0.548.11
Joseph R Biden Jr.
(ジョセフ・R・バイデン・ジュニア)
2021-01 – 2023-107.707.14-0.5610.00
Barack H Obama
(バラク・H・オバマ)
再選2009-01 – 2016-127.836.77-1.068.83
John F Kennedy
(ジョンF.ケネディ)
×1961-01 – 1963-108.316.82-1.497.14
William J Clinton
(ウィリアム・J・クリントン)
再選1993-01 – 2000-1210.567.29-3.277.80
Gerald R Ford
(ジェラルド・R・フォード)
落選1974-08 – 1976-1216.3612.66-3.7016.00
Ronald W Reagan
(ロナルド・W・レーガン)
再選1981-01 – 1988-1219.339.72-9.6112.19
Harry S Truman
(ハリー・S・トルーマン)
再選1948-01 – 1952-1213.633.45-10.187.88
米大統領別の悲惨指数のデータ

米大統領選の悲惨指数の警戒水準

悲惨指数が高い場合、現職の米大統領は大統領選で落選しやすい傾向があります。傾向では、悲惨指数の平均値が10%を超えてくると警戒水準で再選しにくい水準として見られています。

レーガン大統領は悲惨指数の平均値が12.19%と高いですが、就任時の悲惨指数が19.33%とそれ以上に高く、12%台まで下げたことへの評価で再選したとも考えられます。

悲惨指数はスタグフレーションを測る指標となる

悲惨指数は、スタグフレーションを測る指標としても用いられています。10%を超えてくるとスタグフレーションのリスクが高まってきていると見るのが一般的です。1970年まで遡った過去の傾向では、米国がスタグフレーションに陥った時、悲惨指数は20%程度を記録しています。

チャート(悲惨指数)

悲惨指数のチャート

悲惨指数のチャート
  • Chart [misery index(us)-Monthly]
  • チャートは経済政策への不満が高まりやすい悲惨指数10%ラインに黒色の点線を引いています。

[速報] 最新データ|悲惨指数の時系列(historical data)

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