
米国(アメリカ)の連邦債務の対GDP比の最新データを速報で掲載しています。経済規模に対する借金の比率を表した指標です。上昇した後、債務をどのように返すのかが問題になります。

AIによる米国の債務残高GDP比の重要度評価
債務残高GDP比は、政府の債務総額をGDPで割った比率で、国家の財政健全性を示す重要な指標。米国経済の財政的持続可能性や市場への影響を理解する上で不可欠な指標で、この比率が高まると財政リスクが増加し、経済全体への影響が懸念されるため、特に政策決定や市場動向の分析において重要視される。債務比率が高いと、金利上昇による利払いコストの増加が懸念され、財政負担に影響を及ぼす。米ドルの価値や米国債の信用力に影響を与えるため、国際金融市場でも注目される。過剰な債務は将来的な投資や経済成長を抑制する可能性がある。一方、債務が国内投資やインフラ整備に使用される場合、短期的な負担が長期的利益を生む可能性があるが、GDP比ではその違いを考慮しない。景気刺激策や一時的な支出増加(例:パンデミック対応)による債務増加を単純に否定的に捉えるのは適切でない場合がある。比率が高いこと自体より、その増減傾向や背景にある経済状況のほうが重要である。
AIによる指標の重要度評価は”辛口評価”の設定になっています。見方の詳しい説明は「AIによる指標の重要度評価について」を参照。
チャート(米国の債務残高GDP比)
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- 戦時財政の基準106%ラインに赤色の点線を引いています。
- Chart [Total Public Debt as Percent of Gross Domestic Product(us)]
[速報] 最新データ|債務残高GDP比の時系列(historical data)
期間 | 債務残高GDP比(米国) |
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債務残高GDP比とは?わかりやすく簡単に解説
債務残高GDP比(読み方:さいむざんだかじーでぃーぴーひ|英語:Total Public Debt as Percent of Gross Domestic Product)とは、GDP(国内総生産)に対する債務残高の比率です。「債務残高対GDP比」とも呼ばれています。
債務とは、簡単にいうと「借金(しゃっきん)」です。GDPとは、国内で1年間で新しくつくり出された生産物やサービスの金額の総和です。GDPは経済規模を示しますので、債務残高GDP比は経済規模に対する借金の比率です。
債務残高GDP比の計算式
債務残高GDP比の計算式は以下の通りです。
債務残高GDP比の上昇要因・低下要因(長期金利の影響と経済成長)
債務残高GDP比の計算式は分子に債務残高、分母にGDPをとって算出されますので、債務(借金)がGDPに対して増えれば上昇し、債務に対して経済が成長していればGDPが上昇しますので低下します。債務残高は長期金利の影響を大きく受けます。長期金利が低い状況であれば債務残高が増えにくく、長期的に経済成長していれば債務残高GDP比は下がりやすいです。逆に、長期金利が高い状況で経済成長していなければ債務残高GDP比は上がりやすいです。
米国の連邦債務残高GDP比(第二次世界大戦時の水準)
当ページでは、米国(アメリカ)の行政管理予算局公表の連邦債務の対GDP比を掲載しています。これはつまり、米国政府(中央政府)の債務残高GDP比です。米国政府の債務残高GDP比は1946年に106%をつけて過去最高を記録し、これが米国政府の単年度の財政の最悪期でした。これが戦時財政の基準と見られています。
債務残高GDP比が高いとどうなる?影響を解説
債務残高GDP比が高いと、以下のような影響が考えられます。
影響①利払い費が増加する
債務残高が多いと政府は利子を支払うためのコストが増えますので、国の財政に余裕がなくなり、教育や医療など他の分野に予算を割けなくなる可能性があります。
影響②借り入れコスト上昇
債務残高がGDPに対して高いと信用リスクが高まると見なされ、国債の利回りが上昇しやすくなります。これは新たな資金調達がより高コストになり、さらに財政に負担をかけやすくなります。
影響③将来負担が増える
債務が増えるとその返済は将来世代に引き継がれ、将来世代がその負担を背負います。これは経済成長や国民生活への悪影響をもたらすこともあります。
影響④インフレのリスクが高まる
政府が債務を返済するために通貨を発行し続ければ、インフレが進むリスクも高まります。インフレが過度になれば、物価の上昇を引き起こし、国民の購買力を低下させる可能性があります。
影響⑤金融市場が不安定になりやすくなる
債務残高GDP比が高ければ、投資家や他国からの信頼を得にくくなります。国際的な信用が低下すれば、資本の流出や通貨の価値下落を招き、経済全体に悪影響を及ぼしやすくなります。
影響⑥経済成長が止まる?
財政支出の多くが債務返済に使われれば、成長分野への投資が削減されることが多く、経済成長の抑制要因となることもあります。
国ごとに影響の度合いや対応策は異なりますが、基本的には高い債務残高GDP比は経済や国民生活に悪影響を及ぼしやすいため、債務残高GDP比はバランスが求められます。
新型コロナウィルスで債務残高GDP比が急上昇!
1981年以降、米国の債務残高GDP比は右肩上がりで上昇し続けていましたが、新型コロナウィルス感染拡大を受けた大規模な経済対策で財政を出したため、政府の債務がかさみ、債務残高GDP比は急上昇、戦時財政の基準を大きく上回りました。新型コロナが収束した後に経済を回して債務を返していかなくてはならない状況です。
戦争の場合、戦勝国は敗戦国から賠償金を得たり経済の利権を取るので経済は保ちやすい傾向にありますが、新型コロナの場合は賠償金がないので、復興がカギとなると見られています。
債務残高GDP比を下げるには増税で債務を減らす方法がありますが、増税は国民の負担になるためマイナス効果となります。また、米国の場合は今後50年は現役世代が増加します。税収が見込めますので、GDPを伸ばすことによって債務残高GDP比を下げるのが望ましいとの見方が多いです。
通貨切り下げの強硬手段を使うか?(プラザ合意について)
債務残高GDP比を下げるには「通貨切り下げ」という方法もあります。つまりドル安(ドル売り)にして赤字を帳消しにする強硬手段です。米国は歴史的にそれを行っています。1980年代初頭、米国は財政赤が拡大し、長期金利の上昇に伴うドル高によって貿易赤字が増加。1985年のプラザ合意で通貨の切り下げを行い(ドル安)、ドル売り一色として赤字を帳消しにしました。当時は先進5カ国の対ドルの為替レートを上昇させるという合意でしたが、米国は日本に対して対ドルの為替レートを「円高ドル安」にするように要求。実質的には日本が狙い撃ちにされた形でした。現在では対中国でそれと同じことを行うのでは?と懸念されています。つまり、人民元高ドル安にするのではないかとの見方があります。一方、当時の日本と違って中国がそれを受け入れる可能性は低いと考えられるため、冷戦状態になる可能性が指摘されています。また、中国は国際的に人民元の決済システムを拡大させている所ですので、世界的に分断が進む可能性があり、それが現実となれば世界経済にとって大きなマイナスになると考えられています。
- 当ページは、米国の債務残高GDP比の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- 各指数・指標の解説
「債務残高GDP比とは」 - Source:米国行政管理予算局(OMB:U.S.Office of Management and Budget)
- 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は改定値を上書きして掲載しています。
- 単位:%
- 季節調整済み
- Total Public Debt as Percent of Gross Domestic Product(us) historical data&chart