- ECB(欧州中央銀行)のバランスシートの概要
- ECBの金融政策の一覧
- ECBの資産買い入れ(資産購入プログラム)をわかりやすく簡単に解説
- 資産買い入れ以外のECBの資金供給策
- AFTとは?アンチフラグメンテーションツール
- TPIとは?(トランスミッション・プロテクション・インスツルメント)
- ECBのバランスシート拡大・縮小でユーロ安?ユーロ高?
- FRB・ECB・日銀のバランスシートと株価の関係・連動性
- ECBの政策金利の推移はこちら
- ECB理事会の推移
- 2024年9月12日のECB理事会
- 2024年7月18日のECB理事会
- 2024年6月6日のECB理事会
- 2024年4月11日のECB理事会
- 2024年3月7日のECB理事会
- 2024年1月25日のECB理事会
- 2023年12月14日のECB理事会
- 2023年10月26日のECB理事会
- 2023年9月14日のECB理事会
- 2023年7月27日のECB理事会
- 2023年6月15日のECB理事会
- 2023年5月4日のECB理事会
- 2023年3月16日のECB理事会
- 2023年2月2日のECB理事会
- 2022年12月15日のECB理事会
- 2022年10月27日のECB理事会
- 2022年9月8日のECB理事会
- 2022年7月21日のECB理事会
- 2022年6月9日のECB理事会
- 2022年3月10日のECB理事会
- 2021年12月16日のECB理事会
- チャート(ECBのバランスシート)
- チャート(ECBのバランスシートとユーロ)
- [速報] 最新データ|ECBバランスシートの時系列(historical data)
ECB(欧州中央銀行)のバランスシートの概要
コロナ危機後にFRB(連邦準備制度理事会)のバランスシートや日銀(日本銀行)のバランスシートを抜いて世界最大となったでECB(欧州中央銀行)のバランスシートの推移を掲載しています。FRB・日銀・ECBのバランスシート合計と、世界の株式の時価総額は連動する傾向があります。ECBが「効果が証明されている」としている資産購入プログラムやTLTROをはじめとした資金供給策の解説や、ユーロはなぜ強いのかの理由などの解説も記載していますので参照してください。当ページでは、ECBのバランスシートとユーロインデックス(ユーロ指数)・ユーロ/ドルとの比較チャートも掲載しています。
- 当ページは、ECBのバランスシートの解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- 各指数・指標の解説
「ECBとは(ECB理事会について)」 - Source:ECB(European Central Bank)
- ECBが公表している毎週金曜日時点のECBのバランスシート(総資産)のデータを掲載しています。
- 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は改定値を上書きして掲載しています。
- 単位:Millions of Euros
- 季節調整なし
- ECB(European Central Bank) Balance Sheet historical data&chart
ECBの金融政策の一覧
現在のECBの主な金融政策のパッケージは、以下のようになっています。
- マイナス金利
- QE(量的緩和政策)ー資産買い入れ(資産購入プログラム)
- TLTROなどの資金供給策
- フォワードガイダンス
- 緩和の副作用の軽減策
このうち、当ページでは主に資産買い入れ(資産購入プログラム)と、TLTROなどの資金供給策の解説を記載します。それ以外の解説は、以下の姉妹サイトの解説ページを参照してください。
ECBの資産買い入れ(資産購入プログラム)をわかりやすく簡単に解説
ECBのプログラムは数が非常に多く複雑でわかりにくいですが、主な資産購入プログラムは、
- APP(拡大資産購入プログラム)・APP追加枠
- PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)
があります。
APPとは?拡大資産購入プログラム
APP(Asset Purchase Programmes|拡大資産購入プログラム)とは、期間を定めない資産買い入れプログラムで、債券の買い入れは加盟国の経済規模や出資比率に応じて買い入れるという制限がついた量的緩和政策の一つです。
APPはECBの金融政策のパッケージの一つで、
- CSPP(企業部門購入プログラム)
- PSPP(公共部門購入プログラム)
- ABSPP(資産担保証券購入プログラム)
- CBPP3(カバードボンド購入プログラム)
で構成されています。それぞれ、企業部門の証券(債券など)の購入・公共部門の証券の購入・資産担保証券の購入・カバードボンドの購入(担保付社債の一種・住宅ローン債権等のリスクの低い資産のプール(カバープール)を担保として発行された証券)が実施されています。
PEPPとは?パンデミック緊急購入プログラム
PEPP(読み方:ペップ|Pandemic Emergency Purchase Programme|パンデミック緊急購入プログラム)とは、新型コロナウイルス危機に対抗するためにECBが2020年3月に導入したユーロ加盟国の国債などの資産を一時的に購入するプログラムです。ECBが金融市場でさまざまな資産を購入することによって、資産価格を上昇、市場金利を低下させて借入をしやすくすることで経済を支えるプログラムです。ECBは、これは最終的には成長を後押しし、インフレを中期目標の2%に戻す、つまり物価の安定に沿ったものにするとしています。購入する資産の種類や購入する国は柔軟性を持たせるとし、ユーロ圏にとって有利な資金調達条件が維持できるようにするとしています。
PEPPは当初、7500億ユーロが割り当てられましたが、2020年6月にはさらに6000億ユーロ、2020年12月には5000億ユーロが追加されました。
PEPPによる資産購入は少なくとも2022年3月末までとしていますが、ECB理事会でコロナ危機が終わったと判断するまで行うとしています。
※解説欄下部に以後のECB理事会の内容を記載していますので、そちらも参照してください。
PEPPとユーロ圏の金利の関係と影響
ECBはユーロ圏のどの国の金利を見ているのか・・・はいつも問題になりますが、ECBの執行部やECB理事会のメンバーは、実質GDPのウェイトで加重平均した金利を重視しているとしています(議事要旨より)。
PEPPの買い入れ残高とユーロ圏の平均の金利は概ね連動しやすい傾向があります。一方で、ECBがユーロ圏の平均の金利を下げたい局面ではPEPPの買い入れを増やす傾向があります。
資産買い入れ以外のECBの資金供給策
資産買い入れ以外のECBの資金供給策は、TLTROとPELTRO、EUREPがあります。
TLTROとは?
TLTRO(読み方:テルトロ、ティーエルトロ)とは、銀行に超低金利で長期の資金供給を行うプログラムです。日本(日本銀行)でいう「貸出支援策」のようなものです。TLTROの制度は複雑ですが、簡単にいうと金融機関がECBからお金を借りると大きな金利の減免が受けられるというものです。現在はこれにマイナス金利がついていますので、お金を借りればマイナス金利分が貰えることになっています。現在は第3弾となるTLTRO3が実施されています。
TLTROやTLTRO3の解説は、姉妹サイト「株初心者のための株式投資と相場分析方法」の以下のページを参照してください。
PELTROとは?
PELTRO(non-targeted pandemic emergency longer-term refinancing operations)とは、「パンデミック緊急長期資金供給オペレーション」と呼ばれる、ECBが2020年5月に導入した貸出し条件を設定しない長期の資金供給オペです。銀行向け流動性支援が目的の資金供給で、適用金利は-0.25%(政策金利を0.25%ポイント下回る水準)。
EUREPとは?
EUREP(Eurosystem repo facility for central banks)とは、コロナ危機による非ユーロ圏のユーロ流動性不足を防ぐ目的でECBが導入した非ユーロ圏の中央銀行向けの債務証券を担保とした(ユーロシステム・レポ・ファシリティ)ユーロの流動性提供策です。簡単にいうと、ユーロ建て債務と引き換えにユーロを借りることができる、というものです。EUREPは当初、2021年6月までとしていましたが、2022年3月まで延長されました。
AFTとは?アンチフラグメンテーションツール
AFT(anti-fragmentation tool)とは、「分断化防止手段」と訳される、2022年6月のECBの臨時会合で設計を加速させるよう指示した市場が大きく分断した時の補完措置です。
AFTは、ECBが金融政策の正常化を進めた場合にユーロ圏の一部の国債利回りが急上昇するリスクがありますが、それに対応する措置です。ユーロ圏の中で財政状況が強い国と弱い国で金利差が開く可能性があり、金利差が拡大すればユーロ安(ユーロ売り)圧力となるため、それを是正するためのものです。
具体的には、債券をバックストック的に購入するという措置です。
TPIとは?(トランスミッション・プロテクション・インスツルメント)
ECBは2022年7月21日のECB理事会で、不当で無秩序な市場の動きに対抗するために発動することができる「TPI(トランスミッション・プロテクション・インスツルメント)」の導入を決定しました。
TPIは、経済のファンダメンタルで正当化されない無秩序な市場の動きに対応するもので、「EU財政規律の順守」「深刻なマクロ不均衡の不在」「財政の持続性」「健全で持続的なマクロ政策」の4条件を満たした場合に発動するものです。つまり、経済政策にとって失敗ではないもの、市場の失敗によってストレスがかかった時に債券買いを発動できるツールで、これはPEPPの再投資だけでは量的に不足する可能性があることから導入されたのではないかとの見方があります。
ECBのバランスシート拡大・縮小でユーロ安?ユーロ高?
ユーロ圏の経済は、輸出依存型の経済です。ゆえに、基本的にはユーロ高を嫌いますので、ユーロ高局面ではユーロ安に持って行くために金融緩和を行いやすいという見方が多いです。つまり、ECBがバランスシートを拡大させればユーロ安になる、という見方が金融市場では多くなる傾向がありますが、量を増やせば通貨安になるという理論はなく根拠はありません。実際、コロナ危機でECBのバランスシートは世界最大となり、FRBのバランスシートとの差が開きましたので、量を増やせば通貨安になるという理屈で言えばユーロ安になる?という局面ですが、実際はユーロ高に振れました。
なぜユーロは強いのか?
ユーロを見る場合、ECBの金融緩和策も大事ですが、それよりもユーロ圏は世界最大の経常黒字・貿易黒字である点が重要ですし、加えて超低金利時代でもあり、金利を下げてユーロ安に持って行くのは難しいので、基本的にユーロは強いとして見ておいた方が妥当であることが多いです。
ECBはユーロ安に持って行きにくいので物価も上がりにくい、ただ緩和は必要、バランスシートは拡大していく・・・という日銀(日本銀行)と似たような道を辿っているのがECBの現状です。
一方で、米国の金利(国債利回り)が上がればドル高でユーロ安になりやすいので、米国の金利動向がカギになりやすいです。
米国の金利(国債利回り)はこちら
米国の金利(国債利回り)は、以下のページで掲載していますのでご利用ください。
FRB・ECB・日銀のバランスシートと株価の関係・連動性
FRB・ECB・日銀(日本銀行)のバランスシート(資産の合計)と、世界の株式の時価総額は連動する傾向が顕著にあります。それぞれの中央銀行は金融緩和でバランスシートを拡大してきましたが、その緩和マネーが株式市場に流入し、株価を押し上げてきました。
当ページでは、ECBのバランスシートのこれまでの推移を掲載していますが、当サイト「株式マーケットデータ」では、以下のページでFRBと日銀のバランスシートの推移も掲載してますので併せて参照してください。
FRBのバランスシートの解説と推移はこちら
日銀(日本銀行)のバランスシートの解説と推移はこちら
世界の株式動向はこちら
世界の株式の動向は「世界株指数」を見るのが一般的です。世界株指数は、上のページで掲載していますので参照してください。
ECBの政策金利の推移はこちら
ECBの政策金利(EU・ユーロ圏)の推移(チャートと時系列)は、以下のページで掲載しています。
ECB理事会の推移
2024年9月12日のECB理事会
2024年9月12日のECB理事会で、0.25%の利下げを決定。利下げは市場予想通り。ラガルド総裁は会見で「今後の利下げの方向は明確」としながらも「進む順序や規模は未定」と述べた。理事会ごとに決定するとのスタンスを維持した。HICPについて、統計上の反動から9月は伸び率が低下する可能性が高く、10-12月は再び高まるだろうと言及した。
2024年7月18日のECB理事会
2024年7月18日のECB理事会で、金利据え置きを決定。利下げ見送りは市場予想通り。ラガルド総裁は会見で今後の政策判断は経済データ次第とする姿勢を改めて強調した。声明では「足元の経済データが理事会の中期的なインフレ見通しをおおむね裏付けるものだった」とした。
2024年6月6日のECB理事会
2024年6月6日のECB理事会で、0.25%の利下げを決定。インフレ見通しが著しく改善したと判断した。利下げは2019年9月以来。数カ月前から示唆していた金融緩和を開始したが、その後の追加利下げの可能性には触れなかった。声明では「引き続きデータに依存し、会合ごとに適切な景気抑制の水準と期間を決定するアプローチを取る」とし、「特定の金利の道筋をあらかじめ約束はしない」とした。四半期見通しによると、2025年のインフレ率を平均2.2%、今年の成長率見通しは従来の0.6%から0.9%に引き上げた。
2024年4月11日のECB理事会
2024年4月11日のECB理事会で、金利据え置きを決定。景気やインフレについては従来認識を踏襲。一方、声明では先行きの政策方針についてインフレが持続的に収まる確信が高まれば金融政策の制約的な水準を引き下げることが適切になるだろうという文言を盛り込んだ。市場は6月利下げ予想が引き続き優勢の状況。
2024年3月7日のECB理事会
2024年3月7日のECB理事会で、金利据え置きを決定。ECBは、2024-25年経済予測でインフレ率見通しを引き下げ。想定よりも早く鈍化していることを確認した。25年は1.5%、26年は1.6%と従来予測より遅延するものの回復予測。ラガルド総裁は会見で、今回の理事会では利下げについて議論しなかった。ただ(インフレ率がECBが目標とする2%まで低下するという)十分な情報が得られるという条件の下、制約的スタンスの縮小を巡る討議を開始するところだ、と述べた。市場は6月利下げ予想が優勢にの状況。
2024年1月25日のECB理事会
2024年1月25日のECB理事会で、金利据え置きを決定。ECBは、金利をこの水準で十分に長く維持することが、消費者物価上昇の抑制に「大きく貢献する」とし、声明で「入ってきた情報は、中期的なインフレ見通しに関する前回の評価をほぼ裏付けている」「引き締まった資金調達環境が需要を減退させており、これがインフレ率の押し下げに寄与している」と説明した。ラガルド総裁は会見で、夏以降に利下げがあり得るとの自身の考えをあらためて示した。利下げはまだ議論されていないとし、「前に自分が言ったことに変わりはない」と述べた。利下げ開始時期について夏の可能性が高いとしダボスでの発言に言及した。利下げを議論するのは時期尚早としたが、ユーロ圏経済の苦境やインフレ見通しの改善も強調した。
2023年12月14日のECB理事会
2023年12月14日のECB理事会で、利上げ見送りを決定。ユーロ圏のインフレ率は2%台まで低下しているものの警戒を緩めない。ラガルド総裁は会見で、「利上げについて全く議論しなかった」と明言した。
2023年10月26日のECB理事会
2023年10月26日のECB理事会で、利上げ見送りを決定。政策金利据え置きは22年6月以来。PEPPも少なくとも24年末まで償還があった分の再投資を続ける方針を維持。ラガルド総裁は会見で、PEPP見直しの議論はなかったと説明した。
2023年9月14日のECB理事会
2023年9月14日のECB理事会で、0.25%の利上げを決定。ラガルド総裁は会見で「政策金利を必要な限り長く十分に引き締め的な水準に設定する」と強調。物価目標を達成するためには、水準と期間の両方が重要だが「焦点は期間のほうに少し移っているのは明らかだ」と述べ、追加利上げではなく金利水準を維持する長さを重視する考えを示した。利上げサイクル終了は明確にせず「(金利が)ピークにあるとは言えない」とし、利上げ再開の選択肢は残した。物価目標達成に必要な水準や期間は特定できず、会合のたびにあらゆるデータや情報を基に評価を続けていくとした。ECBはユーロ圏の成長率予想を2023-25年で6月時点から下方修正、消費者物価指数(HICP)はエネルギー価格の上昇を反映して23年と24年を上方修正、25年を2.1%と6月(2.2%)から下方修正した。
2023年7月27日のECB理事会
2023年7月27日のECB理事会で、0.25%の利上げを決定。ラガルド総裁は会見で「インフレは減退を続けているが、以前高すぎる状態が長期間続くと予想する」と指摘。基調インフレは全体的になお高水準にあるとし、賃金上昇が堅調な利益率によるユーロ圏内の物価圧力がインフレへの影響を大きくしていると述べた。次回以降の政策運営方針については「データ次第」とした。ただ、次回の追加利上げの可能性について予告しなかったのは今年では初。
2023年6月15日のECB理事会
2023年6月15日のECB理事会で、0.25%の利上げを決定。インフレ見通しも上方修正。声明文では、インフレは減速しているが高インフレが長期間続くことが見込まれるとした。ユーロ圏の消費者物価指数見通しは、コアの上方修正幅が23年と24年で0.5ポイントと大きく、25年時点でコアは2.3%とした。ラガルド総裁は会見で「7月利上げを続ける可能性が非常に高い」と述べ、来月の利上げを示唆。利上げ停止やスキップは全く議論していないとし、考え始めることもしていないと強調した。ECBは今回、国際など保有資産の再投資を7月で完全に終了することも確認した。6月下旬には、TLTROで貸し出した4768億ユーロが満期を迎え量的な引き締まりが進みやすい。
2023年5月4日のECB理事会
2023年5月4日のECB理事会で、0.25%の利上げを決定。利上げ幅縮小も利上げは今回が最後でないことを強調した。インフレ目標2%に戻すのに十分に景気抑制的な水準まで政策金利を引き上げるとした上で、そこへ向けた将来の決定はデータ次第とした。ラガルド総裁は会見で「停止しない。それは極めて明白だ」と述べた。資産購入プログラム(APP)で購入した債券の満期償還金再投資を7月に停止する方針も示した。停止は平均で月額250億ユーロに相当する。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)下の保有債券の再投資は計画通り少なくとも2024年末まで続けるとした。短期金融市場が織り込むターミナルレートは3.7%と、先週の3.9%から低下。9月までに達すると見込まれている。
2023年3月16日のECB理事会
2023年3月16日のECB理事会で、0.50%の利上げを決定。米銀行破綻とクレディスイスの経営不振で欧米の金融市場が混乱している中、大幅利上げを断行した。ただ、今後の金融政策についてはデータ次第とし、明確な方針は示さなかった。ユーロ圏のCPIは前回の2025年2.3%から2.1%に下方修正された。ラガルド総裁は会見で「基調的物価圧力は引き続き強い」と指摘し、利上げ継続が必要であると示唆した。
2023年2月2日のECB理事会
2023年2月2日のECB理事会で、0.50%の利上げを決定。主要政策金利は3.0%ととなった。次回理事会でも0.5%の利上げを実施する意向を表明した。ただ、ラガルド総裁は会見で「インフレ見通しに対するリスクは特に短期的に、より均衡が取れたものになっている」とし、インフレ上方リスクが改善している認識を示した。
2022年12月15日のECB理事会
2022年12月15日のECB理事会で、0.50%の利上げを決定。利上げ幅は0.75%から縮小した。主要政策金利は2.5%ととなった。ラガルド総裁は会見で「政策を方向転換していない」と強調し、0.5%の利上げを続ける可能性を示唆した。理事会では保有資産圧縮(量的引き締め)の基本原則も議論し、2023年3月から削減を開始する予定で、米国と同じように市場で売却するのではなく満期償還を通じて実施し、毎月の減少額を段階的に引き上げるとした(現時点では2023年3月から150億ユーロとしている)。
2022年10月27日のECB理事会
2022年10月27日のECB理事会で、0.75%の利上げを決定。主要政策金利は2.0%ととなり、約13年ぶりの高水準となる。景気後退懸念が強まる中でインフレ抑制を優先したが、声明文では「3回連続の大幅利上げで、理事会は金融緩和からの撤退を相当程度進められた」と指摘した。一方、ラガルド総裁は会見で「インフレ率が依然として高いため、さらなる利上げを行う可能性もある」とした。また、新型コロナ対策で各国銀行に行っている低金利長期貸し出し(TLTRO3)を厳しい条件に変更することを決定した(TLTRO3の適用金利を引き上げて銀行に返済を促す、つまり有利な条件でお金を借りれなくする)。
2022年9月8日のECB理事会
2022年9月8日のECB理事会で、0.75%の利上げを決定。3つの政策金利全てを0.75%引き上げる。声明文では「今後数回の会合で需要を抑制し、インフレ期待が持続的に上方にシフトするのを防ぐため、金利をさらに引き上げる見込み」とした。
2022年7月21日のECB理事会
2022年7月21日のECB理事会で、0.50%の利上げを決定。2000年以来となる大幅利上げに踏み切り、ユーロ圏はマイナス金利を脱した。事前に示唆していた0.25%の利上げ幅の2倍で、声明では「マイナス金利からの脱却を前倒しで今回進めたことで、政策委員会は会合ごとに金利を決定するアプローチへの移行が可能になる」とし、将来の利上げ幅についてのガイダンスは示さなかった。フォワードガイダンスを示さないという点で、これまでよりも「はるかに柔軟になる」と総裁は主張。最終的に目指すのは「総じて中立の設定」へと金利を漸進的に引き上げることだと述べた。
また、ECBは「トランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI)」を導入するとし、「不当で無秩序な市場の動きに対抗するために発動することができる」と説明した。これに基づく債券購入の規模は「あらかじめ」制限されることはないと指摘した。
総裁はTPIについて、以下の説明をした。
- 全てのユーロ圏メンバー国に適用可能
- 利用するかどうかは政策委員会が単独で決定(EU財政規則の順守状況など「複数の指標」を考慮する)
- 利用に当たっては「適切な金融政策姿勢を妨げないようにする」(購入の不胎化を示唆)
- 政策委員会はTPIの利用を望まないが、必要なら利用をためらわない
2022年6月9日のECB理事会
2022年6月9日のECB理事会で、7月に0.25%の利上げをすると表明。2011年以来11年ぶりとなる利上げで高いインフレ率を抑える狙い。5月のユーロ圏消費者物価指数は前年比8.1%増と過去最高となっており、ラガルド総裁は記者会見で、9月の理事会で中期的なインフレ見通しが低下しない場合、0.5%の利上げに踏み切る可能性に言及。9月末までにマイナス金利を終了する方針を示唆しました。また、7月1日に量的緩和政策を終了することも決定しました(保有資産の再投資は継続)。
2022年3月10日のECB理事会
2022年3月10日のECB理事会で、量的緩和縮小加速を決定。ウクライナ情勢を背景にエネルギー価格の急騰がインフレに拍車をかけると懸念し、量的緩和策(APP)終了は経済指標次第で早ければ2022年7月から9月にも終了するとし、前倒しの終了を決定しました。政策金利は0%で据え置き、利上げは量的緩和終了後しばらくしてから実施するとしています。PEPPは予定通り2022年3月末で終了するとしました。
2021年12月16日のECB理事会
2021年12月16日のECB理事会で、PEPPで購入する資産規模を2022年1-3月期に減額し、2022年3月末に終了することを決定。ただし、新型コロナの状況次第では再開する可能性もあるとしました。また、PEPPの終了に伴い、従来型(APP)の量的緩和策を2022年に一時的に拡大するとしました。APPは2022年4-6月に現行の月額200億ユーロから400億ユーロに拡大、2022年7-9月に月額300億ユーロ、2022年10月-12月は月額200億ユーロにするとしました。
チャート(ECBのバランスシート)
[週次] ECBのバランスシートのチャート
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- ECBが公表している毎週金曜日時点のデータを反映しています。
- Chart [ECB(European Central Bank) Balance Sheet-Weekly]
チャート(ECBのバランスシートとユーロ)
[週次] ECBのバランスシートとユーロインデックス(ユーロ指数)のチャート
- Chart [ECB(European Central Bank) Balance Sheet,Euro Index-Weekly]
- ECBのバランスシートとユーロインデックス(ユーロ指数)の毎週金曜日時点のデータを反映しています。
- ユーロインデックス(ユーロ指数)の解説と推移は、以下のページに掲載しています。
[週次] ECBのバランスシートとユーロ/ドルのチャート
- Chart [ECB(European Central Bank) Balance Sheet,EUR/USD-Weekly]
- ECBのバランスシートとユーロドルの毎週金曜日時点のデータを反映しています。
[速報] 最新データ|ECBバランスシートの時系列(historical data)
単位:百万ユーロ
日付 | ECBの バランスシート | 前週比 |
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