
ハイイールド債スプレッド(クレジットスプレッド)の最新データを速報で掲載しています。
ハイイールド債(投資不適格社債・ジャンク債・高利回り債)のスプレッドは、ハイイールド債と国債の金利差(ハイイールド債と米国債のクレジットスプレッド)からハイイールド債の需要の強さを見るための指標で、金融市場のストレスを示す指標です。
当ページでは、米国のハイイールド債全体のスプレッドと、BB格・B格・CCC格以下のハイイールド債スプレッドの推移を掲載しています。米国のハイイールド債の需要を見る際、債券市場で最もよく見られているのは「ハイイールド債スプレッド(全体)」ですので、まずはそちらを見てみましょう。S&P500(米国株)、景気後退期との比較チャートを掲載していますので、株価と比較ながら見ていただくことができます。

AIによるハイイールド債スプレッドの重要度評価
ハイイールド債スプレッドは、信用リスク市場の健全性を測る主要指標。特にリスクオン・リスクオフの転換点や、景気後退の兆候を捉える上で重要な役割を果たす。スプレッドの拡大は信用リスクの上昇、縮小はリスク低下を示し、企業の借入コストや資金調達環境に直結する。スプレッドの動きは、景気の先行指標や金融ストレスの兆候として機能し、高い信頼性を持つ。過去の景気後退局面では、ハイイールドスプレッドの急拡大がその兆候として現れている。クレジット市場だけでなく、株式や為替市場にも波及するシグナルを提供してくれる。流動性危機や信用収縮が発生する際、スプレッドの動きは迅速かつ明確な警告を提供する。ただし、金利動向やインフレ期待の影響を受けやすく、純粋な信用リスクの測定が難しい場合がある。
AIによる指標の重要度評価は”辛口評価”の設定になっています。見方の詳しい説明は「AIによる指標の重要度評価について」を参照。
チャート(ハイイールド債スプレッド(投資不適格社債のスプレッド))
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- Chart [ICE BofA US High Yield Index Option-Adjusted Spread(OAS),S&P500,Recession indicators]
- こちらの「ハイイールド債スプレッド(全体)」のチャートは、米国のハイイールド債全体(投資不適格社債全体)のスプレッドのチャートです。米国の投資不適格社債全体のリスク動向を表しています。投資不適格社債は「BB格・B格・CCC格以下」がありますが、その全体のハイイールド債スプレッドです。
- 月次チャートは月末のデータを反映。
- 月次チャートは、S&P500と米国の景気後退期との比較チャートにしています。
- 月次チャートの灰色の囲みの期間が米国の景気後退期(リセッション期)です。米国の景気後退期間の解説と推移は「景気後退期間(米国・アメリカ)」のページを参照してください。
- 米国のハイイールド債(投資適格社債)の「BB格・B格・CCC格以下」それぞれのハイイールド債スプレッドのチャートです。「BB格・B格・CCC格以下」の違いは、当ページ下の解説欄を参照して下さい。
- 月次チャートは月末のデータを反映。
- それぞれハイイールド債スプレッド(全体)との比較チャートにしています。
- 月次チャートの灰色の囲みの期間が米国の景気後退期(リセッション期)です。
米国の投資適格社債のスプレッドの推移はこちら
当ページでは、米国の投資不適格社債のスプレッドを掲載していますが、米国の投資適格社債のスプレッドである「社債スプレッド」は、以下のページで掲載しています。
HYG・ハイイールド債の利回り・社債市場ディストレス指数(CMDI)の推移はこちら
ハイイールド債の推移を見る際に最も見られる「HYG(iシェア―ズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF)」、「ハイイールド債の指数の利回り」、社債市場のストレスの程度を測る指数「社債市場ディストレス指数(CMDI)」の解説と推移は、以下のページで掲載しています。
[速報] 最新データ|ハイイールド債スプレッドの時系列(historical data)
日付 | 全体 | BB格 | B格 | CCC格以下 |
---|
ハイイールド債スプレッドの解説
ハイイールド債スプレッドとは?(クレジットスプレッドとは?)
当ページの「ハイイールド債(ジャンク債)のスプレッド」は、公的に発行された投資不適格(BB以下の信用格付け・ムーディーズ、S&P、フィッチの平均に基づく)の社債で構成されるICE BofA 米国ハイイールドインデックス(米ドル建て)と、財務省証券(米国債)のスポットレートのイールドカーブ(利回り曲線)である「スポットトレジャリーカーブ(spot treasury curve)」のスプレッド(金利差)です。「クレジットスプレッド」と呼ばれています。スポットトレジャリーカーブは、債券の価格設定のベンチマークです。
ハイイールド債スプレッドで何がわかる?わかりやすく簡単に解説
ハイイールド債スプレッドは、ハイイールド債と国債の金利差からハイイールド債の需要の強さを見るための指標です。国債の金利と比較して、どれだけハイイールド債の金利が上乗せされているかを見てハイイールド債の需要の強さを測ろう、という指標です。金融市場のストレスを見る際によく使われる指標です。当ページでは、債券市場で最も注目されている米国のハイイールド債のスプレッドを掲載しています。
このハイイールド債スプレッド(クレジットスプレッド)は、企業が社債を発行して資金調達する際のリスクに対する上乗せ金利ですので、企業にとっては資金調達コストが上がってるのか下がっているのかも表しています。
ハイイールド債スプレッドはこう見る!上昇と低下の見方
ハイイールド債スプレッド(クレジットスプレッド)は、上昇するほどハイイールド債が値下がりしていることを示し(売られている)、低下するほど値上がりしていることを示します(買われている)。つまり、高水準であればあるほど安いことを示し、低水準であればあるほど高いことを示します。上昇するほどハイイールド債から資金が流出していることを示し、低下するほどハイイールド債に資金が流入していることを示します。また、ハイイールド債スプレッドが上昇するほど金融市場にストレスがかかっていることを示し、低下するほど金融市場にストレスがかかっていないことを示します。
また、ハイイールド債スプレッドは企業にとっては資金調達コストが上がってるのか下がっているのかも表し、上昇するほど資金調達コストが上がっている、低下するほど資金調達コストが下がっていることを表します。
ハイイールド債スプレッドの上昇要因・低下要因
ハイイールド債は格付け機関に「投資不適格」と格付けされた債券ですので、デフォルトリスクが高い債券です。利回りが高くなければ誰も買ってくれませんので、ハイイールド債は高利回りが期待できる債券です。一方、投機目的の売買が多く、ハイリスクハイリターンの金融商品で流動性が低いため、市況悪化時にはリスク資産(危険資産)である株式より早く売られる傾向があり、危機をいち早く察知することから「炭鉱のカナリア」とも呼ばれています。
よって、ハイイールド債が買われるのはリスクオンの局面で、先行き景気がよくなると見られている時や企業業績が伸びると見込まれている時、信用リスク(クレジットリスク)が低下している時、利回り追求(イールドハンティング)に投資家が動いている時などです。そしてハイイールド債が売られるのはリスクオフの局面で、先行き景気が悪化すると見られている時や企業業績が悪化すると見込まれている時、信用リスクが上昇している時などです。
一方で、先行き景気の悪化や企業業績の悪化、信用リスクの上昇が見込まれないのに売られるような時もあります。例えば、ハイイールド債スプレッドが低水準で推移している時です。低水準であるということは、ハイイールド債が人気を集めて値上がりして高すぎる状況ですので、値上がりが期待できなくなります。その状況下では値下がった時のダメージが大きくなるので、ハイイールド債から降りたくなる金融機関が増えてきます。先行き景気悪化が見込まれていなくても大きな売りが出てくることがありますので注意が必要です。
米国のハイイールド債の値動きは、米国の債券市場だけでなく世界、そして日本の債券市場にも大きな影響を与えるため、金融市場では大変注目されています。
景気後退期に上昇するハイイールド債スプレッドのチャート
こちらのチャートは、1996年から2022年1月までのハイイールド債スプレッド(全体)のチャートです。灰色の囲みで表記されている期間が米国の景気後退期です。
この期間の米国の景気後退期は2001年と2008年から2009年、2020年がありますが、いずれもハイイールド債から資金流出し、スプレッドは大きく上昇しています。
逆張りが使いやすい!
上記のチャートでわかる通り、ハイイールド債スプレッドは景気後退入りする前に上昇しています。予兆・前兆のシグナルとして機能していますが、それ以外の期間でも上昇していますので、一旦天井をつけたのを確認してから逆張りで買いを入れるトレードが最もやりやすいのではないかと思います。天井打ちを確認してからエントリーしても全く遅くない傾向があります。
FRBも注目しているハイイールド債スプレッド
FRB(連邦準備制度理事会)は、限定的ですが社債購入プログラムでハイイールド債を購入しています。主要国の中央銀行は、金融緩和の一環で債券を大量に買い入れる量的緩和政策(QE)を導入しました。対象となるのは原則国債で、社債は信用力が高いものとしていましたが、金融システムの混乱を未然に防ぐため、ハイイールド債といったリスクの高い債券への支援もしています。一方、金融システムで重要度が低いものまで買う必要がないといった指摘や、過剰なリスクテイクを助長してしまうといった指摘もあります。
投資不適格社債の格付け「BB格・B格・CCC格以下」の違い
米国の社債には、大きく分けて「投資適格(Investment Grade)」と「投資不適格(Non-Investment Grade/ハイイールド債)」の2つのカテゴリーがあります。投資不適格社債は、信用力が低く、デフォルト(債務不履行)のリスクが高いと評価された社債です。成長中の企業や、財務リスクを抱える企業が発行するケースが多いです。投資不適格社債は、信用格付けにより「BB・B・CCC以下」の種類があります。
当ページでは、ICE BofAの債券指数のそれぞれのハイイールド債スプレッドを掲載しています。ICE BofAとは、正式名称:ICE Data Indices(旧 Merrill Lynch Indices)で、債券市場を可視化するための指数(インデックス)を作成しています。指数の構成にあたっては、格付け機関のムーディーズ・S&P・フィッチのデータを参考にして分類されています。格付け機関のムーディーズ・S&P・フィッチの投資不適格社債の分類は、以下のようになっています。
Moody’s | S&P / Fitch | 意味 |
---|---|---|
Ba | BB | 投機的要素がある(信用リスクが高め) |
B | B | 更に信用リスクが高い |
Caa | CCC | 非常に信用リスクが高く、債務不履行の可能性が高い |
Ca | CC | デフォルト直前の状態 |
C | C | デフォルト状態に近い |
D | D | デフォルト(債務不履行)状態 |
これら格付け機関の評価を参考にICE BofAの債券指数は分類されますが、格付けの扱いについては「最低格付け」が採用されるのが基本です。例えば、ある社債がムーディーズでは「Ba」、S&Pでは「CCC」、フィッチでは「B」であったとするなら、S&Pの「CCC」が最も低いため、そのハイイールド債はICE BofAでは「CCC」と判断されます。
ICE BofAの債券指数は、毎月末に再構成(リバランス)されており、常に最新の格付けを反映して再計算されています。