米国の社債スプレッド(社債の信用スプレッド)の概要
米国企業の社債(投資適格級)のスプレッドは、社債と国債の金利差から社債の需要の強さを見るための指標で、社債の信用スプレッドです。FRB(連邦準備制度理事会)は、株価よりもこのスプレッドを重視しやすいので注目度が高い指標です。
- 当ページは、米国企業の社債スプレッドの推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は改定値を上書きして掲載しています。
- 米国企業の社債スプレッド(オプション調整済み)
- 単位:%
- 季節調整なし
- ICE BofA US Corporate Index Option-Adjusted Spread(OAS) historical data&chart
社債のスプレッドとは?
当ページの社債のスプレッドは、公的に発行された投資適格(BBB以上の信用格付け・ムーディーズ・S&P・フィッチの平均に基づく)とみなされる社債で構成されるICE BofA米国企業インデックス(米ドル建て)と、財務省証券(米国債)のスポットレートのイールドカーブ(利回り曲線)である「スポットトレジャリーカーブ(spot treasury curve)」のスプレッド(金利差)です。スポットトレジャリーカーブは、債券の価格設定のベンチマークです。
社債スプレッドをわかりやすく簡単に解説「社債の信用スプレッド」
社債スプレッドは、簡単に言うと米国の社債と米国債の金利差から米国の社債の需要の強さを見るための指標です。国債の金利と比較して、どれだけ社債の金利が上乗せされているかを見て社債の需要の強さを測ろう、という指標です。社債スプレッドは「社債の信用スプレッド」と言われています。
社債スプレッドはリスク資産の需要が測れる指標!
金融市場で取引されている大半の資産はリスク資産(危険資産)で、その代表は株式ですが、社債もリスク資産に分類されます。リスク資産とは、将来得られる収益が不確実性を伴う資産ということですが、これは「無リスク資産」に対して言われるものです。無リスク資産とは、将来的に価格変動リスクがない資産です。つまり、リスクがない資産です。リスクがない証券は存在しませんが、中でもリスクが少ない安全資産として捉えられているのが国債ですので、一般的に無リスク資産と言う場合は長期の国債を指すことが多いです。
このリスク資産と無リスク資産の金利差からリスク資産の需要を測る指標が「社債スプレッド」です。
FRBが株価より重視する傾向がある社債スプレッド
FRB(連邦準備制度理事会)が株価よりも重視する傾向があると言われているのが、当ページで掲載している米国企業の社債スプレッド(社債と国債の金利差)です。FRBは金融緩和の一環「社債購入プログラム」で社債を購入しています。リスク資産への需要を重視する傾向があり、社債が大きく売られると金融システムの混乱を招くため、それを未然に防ぐ目的で支援をしています。
社債スプレッドの水準と目安とFRBの利上げ・利下げの関係
社債スプレッドが上昇すると、企業の債務(借金)が問題となってきますので、FRBはこの水準を重視しています。社債スプレッドは1.5%がFRBが警戒する目安の水準と言われており、1.5%以下であれば利上げはしやすい、1.5%を超えてくれば利上げはしにくく利下げに動くべき水準、と見られています。これは過去に1.5%を超えた1年後にはFRBが利下げに動いたことが多かったことからそう見られるようになりました。
ISM非製造業景況指数と社債スプレッドは逆相関しやすい
社債スプレッドは、ISM非製造業景況指数と逆相関しやすい傾向があります。ISM非製造業景況指数は景況感、つまり景気を示す指標です。景気が悪化すれば社債スプレッドは上昇しやすく、景気が回復すれば社債スプレッドは低下しやすい傾向があります。
ISM非製造業景況指数は、以下のページで掲載しています。
社債スプレッドはこう見る!上昇・低下の意味
社債スプレッドは、
- 上昇するほど社債が売られて値下がりしていることを示します(社債から資金流出)
- 低下するほど社債が買われて値上がりしていることを示します(社債に資金流入)
社債の需要と景気後退のチャート
1996年から2022年1月までの社債スプレッドのチャートです。灰色の囲みの期間が米国の景気後退期を示しています。いずれも景気後退期前から社債の資金流出が見られます。リスク資産への需要が後退すると社債の利回りは上昇することから、社債スプレッドも水準を切り上げる傾向があり、景気後退が懸念される頃からその動きが出ていることがわかります。これはハイイールド債のスプレッドと同様の動きです。
ハイイールド債のスプレッドは、以下のページで掲載しています(解説付き)。
LQD(投資適格社債ETF)の推移と解説はこちら
投資適格社債(BBB以上の信用格付け)で構成されるETF「LQD(投資適格社債ETF)」は、以下のページで掲載しています(解説付き)。LQDはFRBも購入しているETFで、社債のETFでは最も巨大で流動性も最大であることから社債の動きを見る場合に最も見られているものです。「投資適格」の社債の解説も記載していますので、参考にしてください。LQDと社債スプレッドの比較チャートも掲載しています。
CMDI(社債市場ディストレス指数)の推移はこちら
社債市場が機能しているか機能不全に陥っているか、窮迫度を測る指標「CMDI(社債市場ディストレス指数)」は、以下のページで掲載しています(解説付き)。
チャート(社債スプレッド)
[月次] 社債スプレッド(OAS)とS&P500と景気後退期のチャート
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- Chart [ICE BofA US Corporate Index Option-Adjusted Spread(OAS),S&P500,Recession indicators-Monthly]
- 月末のデータを反映。
- S&P500との比較チャートにしています。
- 社債スプレッドの警戒水準である1.5%に黒色の点線を引いています。
- 灰色の囲みの期間が米国の景気後退期(リセッション期)です。米国の景気後退期間の解説と推移は、以下のページを参照してください。
[日次] 社債スプレッド(OAS)のチャート
- チャート上のピンク色の期間は、社債スプレッドが警戒水準である1.5%以上をつけた時です。
- Chart [ICE BofA US Corporate Index Option-Adjusted Spread(OAS)-Daily]
[速報] 最新データ|社債スプレッドの時系列(historical data)
日付 | 社債スプレッド |
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