
シリコンサイクルと半導体スーパーサイクルの最新データのチャートを速報で掲載しています。
シリコンサイクルとは、半導体産業に特有の景気循環(サイクル)です。通常、3~5年の周期ですが、これが長期あるいは影響範囲が極めて広くなれば「スーパーサイクル」と呼ばれます。半導体のメガトレンドであるスーパーサイクルを読み切れば、投資家は長期的に資産を伸ばすチャンスとなるため、大注目されています。
当ページでは、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)との比較チャートや、SOX指数が大きく上昇しやすいキッカケとなるシリコンサイクルのプラス転換、SOX指数が天井を打ちやすいシリコンサイクルのマイナス転換を表記したチャート、半導体売上高とスーパーサイクルとの比較チャート等も掲載しています。

AIによるシリコンサイクルと半導体スーパーサイクルの重要度評価
AIによる指標の重要度評価は”辛口評価”の設定になっています。見方の詳しい説明は「AIによる指標の重要度評価について」を参照。
チャート(シリコンサイクル)
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- Chart [Silicon-Cycle(YoY)]
- シリコンサイクルは、月次の世界半導体売上高(世界半導体出荷額)が公表され次第データ更新(改定値が公表されれば、過去に遡って最新の改定値が反映されます)。
- 世界半導体売上高の解説と推移は、以下のページで掲載しています。
チャート(シリコンサイクルとSOX指数)
- Chart [Silicon-Cycle(YoY),SOX index(Monthly)]
- シリコンサイクルとSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の比較チャートです。
- [プラス転換]のチャートは、縦の緑線の時点がシリコンサイクルがプラス転換した時点です。近年このプラス転換の時点がSOX指数が大きく上昇するキッカケになりやすい傾向があります。シリコンサイクルは3-5年の周期ですので(スーパーサイクルを除く)、その周期を目安に見るのがいいと思います。
- [マイナス転換]のチャートは、縦の黄色線の時点がシリコンサイクルがマイナス転換した時点です。近年このマイナス転換の時点の数か月前にSOX指数が天井を打つ傾向があります。
- SOX指数の解説と推移と対数チャートの解説は、以下のページで掲載しています。
チャート(半導体スーパ―サイクル)
- Chart [Semiconductor-Super-Cycle(Monthly)]
- 半導体スーパーサイクルの解説は、当ページ下部の解説欄を参照して下さい。
チャート(半導体スーパ―サイクルとSOX指数)
- Chart [Semiconductor-Super-Cycle,SOX index(Monthly)]
シリコンサイクルと半導体スーパーサイクルの解説
シリコンサイクルとは?
シリコンサイクルとは、半導体産業に特有の景気循環(サイクル)のことです。
シリコンサイクルの周期は?その特徴
シリコンサイクルの周期は3~5年程度です。半導体産業には、半導体の需要と供給のバランスにより、3~5年程度の周期で上昇(好況)・下降(不況)を繰り返す構造的な景気循環があります。景気の波のように「拡大→過剰供給→減速→回復」を繰り返します。これを「シリコンサイクル」といいます。半導体の景気が好況時には受注が多く供給が不足し、不況時には需要が減速して供給過剰となるサイクルで、半導体の売上高にもその傾向が出ているため、広く認知されているサイクルです。
シリコンサイクルの背景とメカニズム
シリコンサイクルの背景とメカニズムは、
- 新しい技術や製品が登場(例:スマホ、PC、自動車の電子化)
→半導体需要が急増する - 企業が生産を増やす(設備投資ラッシュ)
→将来を見越して多くの工場が増産する - 供給過剰が発生(作り過ぎ)
→在庫が積み上がり、価格が急落する - 業績悪化、設備投資ストップ
→生産調整、リストラなど
これまでのシリコンサイクルの例
- 2018年:スマホ向け半導体のピーク → 翌年は大幅減速。
- 2020〜2021年:コロナ特需(テレワーク、PC需要)で急拡大。
- 2022年:過剰在庫やスマホ需要鈍化で減速。
半導体は景気の先行指標ともなる
半導体は最終製品に組み込まれているため、最終製品の生産や供給が拡大・縮小する前の段階で半導体の需要は増減するため、シリコンサイクルは景気の先行指標としても捉えられています。つまり、半導体の景気が天井を打てば不況に、半導体の景気が底を打てば好況になると見られています。
シリコンサイクルとiPhoneの販売台数の連動性
世界の半導体の売上高は、これまでの傾向ではiPhoneの年間販売台数と連動しやすい関係があります。近年iPhoneの年間販売台数は2012年・2015年・2018年・2021年にその時点でのピーク水準を迎えましたが、世界の半導体売上高も概ねその近辺でピーク水準を迎える傾向があります。アップルの株価も概ねそこがピークとなりやすい傾向があります。3年周期であることがわかると思いますが、これはスマホの電池の交換時期にあたります(スマホのハードユーザーは3年程度で電池の保ちが悪くなる)。3年程度ですのでシリコンサイクルの周期に沿う形であることがわかります。
シリコンサイクルとパソコン(PC)の関係は?
パソコン(PC)は買い替えのサイクルが概ね7年程度です。パソコン支出は2002年・2009年・2016年・2019年・2023年に底をつけ、2004年・2011年・2018年・2021年にピークをつけています。以下で説明するスーパーサイクルを除けば概ね7年です。このピークとiPhoneのピークから半導体売上高のピークが推測しやすい傾向があります。
シリコンサイクルと半導体関連株の株価の傾向は?
シリコンサイクルの好況時には半導体関連株の株価は堅調に推移しやすいですが、不況時には在庫調整をして需要回復の見通しが立つまでは株価は弱含みしやすい、調整しやすい傾向があります。あるいは、不況時に半導体関連株が需要の減速を先行して織り込んでしまえば底打ちになる傾向もあります。
シリコンサイクルについて
シリコンサイクルは世界半導体売上高の前年比がその傾向をよく表しており、これがシリコンサイクルのチャートとして最もよく見られますので、当ページでは世界半導体売上高の前年比をシリコンサイクルのチャートとして掲載しています。
スーパーサイクルとは?
半導体のスーパーサイクルとは、半導体の需要が高まる状態が長期に及ぶ現象のことです。半導体は通常、3~5年程度の周期で好況・不況を繰り返しますが(シリコンサイクル)、半導体の需要が高まる状態がより長く続いていたり、影響範囲が極めて広い状態のことを言います。
なぜスーパーサイクルは起こる?
過去の半導体のスーパーサイクルは、以下のような構造変化が背景にあります。これらの構造変化が単なる短期的な景気サイクルを超えて、長期的成長をもたらしました。
原因 | 説明 |
---|---|
スマホ・PCの普及 | 高性能な半導体が必須になった(2010年頃〜) |
クラウド・データセンター | サーバー向け高性能チップの需要拡大 |
車の電子化・EV | 1台あたりの半導体搭載量が増加(ADAS・自動運転) |
AI・生成AI | GPUや専用半導体(TPU、NPU)の爆発的需要 |
脱中国と地政学 | 自国生産(TSMC、Intelなど)の設備投資が過熱 |
5G・IoT | あらゆるモノがネットにつながり、チップが必須に |
スーパ―サイクルは、いつからいつまで?これまでの半導体スーパーサイクルの時期
スーパーサイクル | 時期 | 背景・特徴 |
---|---|---|
第1次スーパーサイクル | 約1980〜1986年 | パソコンの普及(IBM PC・Apple II)、DRAM需要爆発、日本が半導体シェア首位に。 |
第2次スーパーサイクル | 約1993〜2001年 | Windows 95・インターネット革命、携帯電話とサーバー需要急増、Intel全盛。 |
第3次スーパーサイクル | 約2003〜2007年 | ノートPC・携帯・iPod・デジカメ・ゲーム機等でNAND/DRAM特需。 |
第4次スーパーサイクル | 約2016〜2021年 | AI・クラウド・スマホ高機能化・仮想通貨ブームでデータ爆発、メモリ価格高騰。 |
現在:第5次スーパーサイクル? | 2023年~進行中 | 生成AI(ChatGPT)、NVIDIA・TSMC主導、国家補助金とサプライチェーン再構築。 |
※スーパーサイクルは明確な「公式期間」があるわけではありません(議論が分かれる期間もあります)。業界の投資動向、需要拡大、株価や装置投資のトレンドなどを総合的に考慮した実務・市場分析レベルでの推定です。また、スーパーサイクルとして期間が短い場合でも(第3次スーパーサイクル等はミニスーパーサイクルと呼ばれることもあります)、構造的成長があればスーパーサイクルと呼ぶのが業界の通例ですので、ここではカウントしています。
スーパーサイクルの起点月や終了月は、以下を主に参考にしています。
- SOX指数やNASDAQ指数の中期トレンド反転点
- Micron、Samsung、Intel、TSMCなどの設備投資(CapEx)急増月
- DRAMeXchange、TrendForceの価格データでの大底・天井
- 半導体製造装置BBレシオのトレンド変化点
- 日経・Wall Street Journalなどの特集記事タイミング
スーパーサイクルのピークと終焉
回数 | ピーク時の象徴 | 終焉のきっかけ |
---|---|---|
第1次スーパーサイクル | 日本の半導体輸出拡大、DRAM価格上昇 | 米日半導体摩擦、過剰投資と価格崩壊 |
第2次スーパーサイクル | ITバブル、Intel圧倒的 | ITバブル崩壊(ナスダック暴落) |
第3次スーパーサイクル | NAND・DRAMバブル、Samsung躍進 | リーマンショック(2008年)直前の投資加熱 |
第4次スーパーサイクル | DRAM価格最高・TSMC/NVIDIA最高益 | 需要崩壊・価格暴落 |
第5次スーパーサイクル | 未確定(2024年が暫定でピーク) | ※まだ終了していないが、過剰投資・金利・補助金打ち切りに注意 |
スーパーサイクルかどうかを見極めるには、どの指標を見ればいい?
スーパーサイクルかどうかを見極める際によく見られる指標は、主に以下のようなものがあります。
指標 | 注目点 |
---|---|
設備投資額 | Intel・TSMC・Samsungなどの年次投資額 |
在庫回転率 | DRAMやNAND企業の在庫水準 |
需要動向 | Apple・Tesla・OpenAIなどの出荷計画 |
政策 | アメリカ・日本の半導体補助金、工場建設支援など |
- 当ページは、シリコンサイクルと半導体スーパーサイクルの解説と推移(チャートとグラフ)を掲載したページです。
- Source:株式マーケットデータ,SIA(Semiconductor Industry Association:米半導体工業会),WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)
- SIAとWSTSのデータより、株式マーケットデータが作成。
- 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は上書きして掲載しています。
- Silicon-Cycle,Semiconductor-Super-Cycle historical data&chart