逆イールド発生!
当サイト「株式マーケットデータ」の公式ツイッターの方で、2022年4月1日あたりに米国の10年国債利回りと2年国債利回りで長短金利差がマイナスとなる「逆イールド」が発生した旨をお伝えしました。
米国の10年国債利回りと2年国債利回りの長短金利差の推移は、以下のページで掲載しています(解説付き)。
この10年国債利回りと2年国債利回りで逆イールドが発生した場合、過去の傾向では100%の確率で景気後退入りしています。
それが確認できるチャートを上記の「長短金利差(米国10年国債利回りと2年国債利回り)」のページに掲載しましたが、当ブログでも同じチャートを以下に掲載します。
逆イールドと景気後退入りのチャート
こちらのチャートが1976年からの米国の10年国債利回りと2年国債利回りの長短金利差の推移です(セントルイス連銀公表分)。グレー(灰色)の囲みの期間が米国の景気後退期間です。
長短金利差がマイナス(逆イールド)になった後、必ず景気後退入りしていることが一目瞭然です。
ゆえに、逆イールドは100%で景気後退入りの予兆シグナルとなっている、という判定になります。
逆イールドの特徴と考察
この逆イールドが100%の確率で景気後退入りを示唆するのは過去傾向からしてそうなりますが、加えて、逆イールドが発生してから期間をおいて景気後退入りする傾向や、逆イールドが発生してからの長短金利差が急角度で上昇している傾向も見て取れると思います。この逆イールド発生の後の急角度の長短金利差の上昇が危ない!それがシグナルになる!と指摘する方は多いです。
果たして今回は?
という所ですが、今回はこれまでと違うことがあります。
過去との違い
まず、今回はFRBの利上げの最終局面で逆イールドが発生したわけではないということ、バランスシート縮小を伴うこと、FRBの無茶苦茶な金融緩和でインフレが加速していること、現時点では逆イールドの期間が2日で終わったこと等いろいろあります。
全然違うと言えば全然違いますので異なる動きになる可能性は十分あります。例えばここから景気後退で利下げに動こうとしても利下げ余地がありませんので、逆イールドから急角度で長短金利差が上昇するというパターンは今回はないかもしれないなと思います。
また今回特徴的なのは、10年債と2年債の長短金利差の次に注目される10年債と3カ月債の長短金利差が、10年債と2年債の逆イールドに反して上昇していたこと。過去3回の景気後退入り前には、10年債と2年債の長短金利差と10年債と3カ月債の長短金利差は同時に逆イールドが発生していました。
10年債と3カ月債の長短金利差は、以下のページで掲載しています。
他方、FRBはこの逆イールドに対してどう言っているのかというと、FEDS Notesの投稿で景気後退入りのシグナルは3カ月債と1年半3カ月債の金利差が重要と記載しています。そちらではシグナルは出てないよ!とのこと。
FRBはFRBにとって都合のいい指標を見ろと言いがちなので、これまで100%当たってる10年国債利回りと2年国債利回りの長短金利差よりそちらを重視しなきゃいけないというのは厳しい話で、そんな誰も見ない金利差を出されても・・・と思います。
過去100%当ててきている10年債と2年債の長短金利差を見ない道理はなく、10年債は世界最大の金融商品、その利回りは長期金利の指標で米国経済を反映する金利です。2年債の利回りは今後のFRBの金融政策を織り込む金利ですので、ここで逆イールドが発生したということは、米国経済以上の利上げが行われることを示唆していると思います。
って、インフレを抑えるために利上げをするわけで、利上げで過熱を抑える、景気を抑えようとすることに間違いはなく、この一瞬の逆イールドが景気後退入りまでを示唆しているかはわかりませんが、景気が抑えられることは示唆しているはずです。
注目は現時点でタカ派となってインフレを抑えようとしているFRBが、いつハト派に転じるかかなぁと思います。その局面で景気後退入りするかだと思いますが、その時点でインフレが抑えられているかどうか。インフレが抑えられていなければ利下げできませんので。
現時点で、米国の消費者物価指数は22年3月時点の前年比で8.5%、コアCPIは6.5%という状況です。それぞれ以下のページで掲載しています。
一方のFF金利は、2022年4月14日時点で0.33%と、話にならない金利状況です。FF金利は以下で掲載しています。
これを3%弱に引き上げるわけですが、テイラールールではFF金利は今でも3%程度低いとの試算をセントルイス連銀のブラード総裁は公言してますし、このインフレを抑えるには10%程度必要との試算もあり、なかなか現時点でインフレが抑えられるとは思えない所です。って、その試算があってるのかは知りませんが・・・
一方、米国では中古車価格が落ちていたり住宅賃料の伸びが鈍化していたりと、インフレがピークアウト?の見方もチラホラあります。原油もピークアウトしたとの見方も多くなってますよね。
ただ、現時点でCRB指数は反して高値を抜いてきましたし(以下のページで掲載)、
そもそも原油は需給がタイト、サウジかナイジェリアの省庁あたりが200ドル程度まで行くとの試算も出していたと思いますので、ピークアウトを見るのは早いかもしれません。
なんにせよインフレ動向を見ていく所ですが、現時点ではインフレが抑えられるような状況とは全く思えないです。CPIが8%だ9%だと言っている時に政策金利が0.3%、今後0.25%か0.5%ずつ上げていきます、っていう牛歩の状況でインフレが抑えられるとは思えず、この状況が変わらないのであれば景気後退入りは普通かなと思います。日経新聞の何かの記事で3月ごろだったかな?2025年がヤバイ、大不況が来る!みたいな記事があったように思いますが、そうなっても全然おかしくはないなぁとは思います。
現時点で利上げは3%弱でなんとかなるというFRBの見方で市場も織り込んでますが、さらなる利上げが必要となった場合、金利が上がれば資産の理論価格が下がりますので、株も下がって普通だと思います。そこで利下げしたいと思ってもインフレだと下げれないのでヤバイという感じです。
一応、筆者は姉妹サイト「株初心者のための株式投資と相場分析方法」の方で、毎週テクニカル分析を書いていて、当サイト「株式マーケットデータ」の公式ツイッターの方でも去年末ぐらい?に書いたのですが、1年以上前からテクニカルの予想で相場の壊滅予想をしてまして、現時点で20%程度下がったのですが、「壊滅」ですから50%程度は下がってもらわないと困る所です。本心では今後どんどん下がることを願っていますが、果たして?
と、そんな予想はどうでもいいですが、ずっと前から姉妹サイトで何百回も書いてることを再度こちらでも書いておきたいですが、米国株は半値になっても全く驚かない水準です。バフェット指標は現時点で190程度と、これが半分になってようやく適正水準ですし、CAPEレシオ(シラーPER)も35倍でバブってる水準です。それらは以下のページで掲載していますので参考にしてください。
ゆえに、半値になって適正と言えますし、突っ込むならもっと行っても普通ですので、そういう水準にあるということは踏まえておいた方がいいと思ってます。
何にせよインフレ。
米国も官製相場ですが、これが崩れる、コントロールできなくなるのはインフレですから、とにもかくにもインフレ動向だと思います。あとはウクライナ。
というわけですが、何か状況が変わればブログを書かせてもらうか、ツイッターでつぶやきますので、また読んでいただけたらなと思います。
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