
米国(アメリカ)の求人倍率(失業者1人当たりの求人件数)の最新データを速報で掲載しています。景気後退期間やS&P500との比較チャートも掲載。
求人倍率は、労働需給を示し、FRBが金融政策を決める際の重要指標の一つで、その水準から利上げ・利下げのシグナルとしても使われています。パウエルFRB議長も重視している指標です。求人倍率が高ければ企業は採用に苦労し、人手不足で賃金上昇の圧力がかかり、低ければ雇用環境が厳しく、失業率上昇リスクが高まります。当ページでは、求人倍率の水準と目安の見方の解説も記載していますので、ページ下部の解説欄も参照して下さい。

AIによる米国の求人倍率(失業者1人当たりの求人件数)の重要度評価
米国の求人倍率は、労働市場の需給を端的に示す指標。労働市場の「温度感」をシンプルに把握できる。求人倍率は、FRBの金融政策に影響を与える指標で、求人倍率が高すぎると利上げのシグナル、逆に低下すれば「景気後退の兆候→利下げ検討」につながる。また、景気の先行指標ともなるため、企業の採用意欲の変化を素早く捉えられる。
一方、「失業者数」にカウントされない「求職を諦めた人」や「労働参加率の変化」は考慮されず、求人の質(高給か低賃金か、正社員か非正規か)も反映されないため、「労働市場の実態」を完全には反映しない。また、一部の企業は本当に採用する気がなくても求人広告を出し続ける求人の水増し問題があり、求人数が過大評価されている可能性があるため、労働市場分析では必須の指標だが、他のデータと併用が必要である。
AIによる指標の重要度評価は”辛口評価”の設定になっています。見方の詳しい説明は「AIによる指標の重要度評価について」を参照。
チャート(米国の求人倍率)
- チャート画像クリックで拡大表示します。
- Chart [Job Openings Ratio(U.S.)]
- 「米国の求人倍率(失業者1人当たりの求人件数)の長期チャート」は、米国の景気後退期(リセッション期)との比較チャートにしています。灰色の囲みの期間が米国の景気後退期間です。米国の景気後退期間の解説と推移は「景気後退期間(米国・アメリカ)」のページを参照してください。
- 過去に遡って失業者数及び求人件数の改定があれば、求人倍率も過去に遡って改定されます。当ページの求人倍率のチャートと時系列は、常に最新のデータが反映されます。
米国の雇用指標の推移はこちら
[速報] 最新データ|米国の求人倍率の時系列(historical data)
日付 | 求人倍率(米国) |
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米国の求人倍率(失業者1人当たりの求人件数)の解説
求人倍率とは?
求人倍率(読み方:きゅうじんばいりつ|英語:job openings ratio)とは、失業者1人当たりの求人件数です。失業者(求職者)1人当たりに何件の求人があるかを表した経済指標で、労働需給(労働市場の需給バランス)を把握するのに使われます。米国の求人倍率は、労働市場のひっ迫度や景気動向を判断する重要な指標で、FRB(連邦準備制度理事会)およびパウエルFRB議長も注視しています。2022年以降のFRBの利上げは「高水準の求人倍率がインフレの原因」と判断しています。
求人倍率の計算式
求人倍率=求人数÷失業者数
米国労働統計局公表の失業者数とJOLTS(雇用動態調査)の求人件数から求人倍率を算出しています。
求人倍率の単位
求人倍率は 「失業者1人当たりに何件の求人があるか」を示す比率なので、基本的に無次元数(単位なし)です。米国の公式発表では「1人当たりの求人数」として扱われています。例えば、「米国の求人倍率は現在1.5」と言えば、「失業者1人当たりに1.5件の求人がある」ことを意味します。ただし、日本の有効求人倍率は「倍」の単位で表すため、同様に「求人倍率は現在1.5倍」としても問題ありません。
求人倍率の見方(水準と目安)
求人倍率は、例えば求人数が1000万人で失業者数が500万人であれば、求人倍率は2.00となり、失業者1人当たりに2件の求人があることを示します。
求人倍率は「1」を基準にして見る
求人倍率は1が均衡水準のため、1を基準にしてみる指標です。求人倍率が1ということは、失業者1人につき1件の求人があるということです。
求人倍率が1以上 (求人>失業者) | 求人数が失業者数を上回り、労働需給が逼迫(人手不足)の状態 売り手市場(求職者有利) 企業は人材確保が難しく、賃金上昇の圧力が強まる |
求人倍率が1未満 (求人<失業者) | 求人数が失業者数を下回り、労働需給が緩和(仕事を探している人が多い)状態 買い手市場(企業側有利) 仕事を探すのが難しく、賃金は抑えられやすい |
求人倍率で労働市場の強さを測る
求人倍率が1.5以上 | 企業が人材確保に苦労している→賃金上昇→インフレ懸念 |
求人倍率が2.0以上 | FRBは「労働市場が過熱」と判断し、利上げ継続の可能性が高い |
求人倍率が1.0以下 | 失業者が多く、労働市場が弱い→景気減速の可能性 FRBは「労働市場が弱い」と判断し、金融緩和に転じる可能性がある |
求人倍率の特徴
求人倍率は、短期的な雇用市場の変動を捉えるのに適している指標です。ただし、職種や地域ごとの需給バランスは考慮されていません(例:IT業界は人手不足でも、製造業は求人減少など)。失業率と合わせて分析することで、より正確に労働市場の状況を判断しやすくなります。
景気の影響を受けやすい「景気の先行指標ともなる求人倍率」
米国の求人倍率は、過去の傾向から景気の影響を受けやすい特徴があります。
- 景気が良い→企業の求人数が増加し、求人倍率が上昇
- 景気が悪い→求人数が減り、失業者が増えて求人倍率が低下
リーマンショック(2008年)の時は求人数が急減し、失業者数が増加、求人倍率は0.2を割りました。一方、コロナショック後(2021年以降)は、経済再開に伴い、求人数が急増し、求人倍率は2.0を超える状態になりました。
求人倍率は企業の採用意欲の変化を素早く捉えられるため、景気の先行指標ともなります。求人数が減り始めると、企業が雇用を控えているサインとなり、失業者が増える前に景気後退の兆候をキャッチしやすくなります。
有効求人倍率との違い
日本では、厚生労働省が有効求人倍率を公表しています。これは米国の求人倍率とは異なります。日本の有効求人倍率は、職業安定所(ハローワーク)に登録された求人数と求職者数(新規+既存)から算出されていますが、米国の求人倍率は、失業者数(求職活動をしている人のみ)とJOLTSの求人数から算出している求人倍率です(当ページで掲載している求人倍率です)。米国の指標には「求職者ではない人(労働市場から離脱した人)」が含まれておらず、企業が直接出した求人情報を元にしているため、労働市場の実態に近いです。
米国の求人倍率の公表日
米国の求人倍率の公表日は、労働省労働統計局公表の失業者数とJOLTSの求人数が公表された日(概ね毎月初)に速報でデータ更新しています。JOLTSの求人数は前々月のデータが月初に公表されますので、求人倍率も前々月のデータが最新データとなります。
- 当ページは、米国の求人倍率(失業者1人当たりの求人件数)の解説と推移(チャートと時系列)を掲載したページです。
- Source:労働省労働統計局(BLS:U.S Bureau of Labor Statistics)
- 労働省労働統計局公表の失業者数とJOLTSの求人数から株式マーケットデータが算出。
- 速報値を掲載し、改定値で修正があった場合は上書きして掲載しています。